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楽しさ溢れる後輪駆動のドライビング体験

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translationKenji Nakajima(中嶋健治)

 
もし今、新しいBMW 3シリーズを考えているなら、アルファ・ロメオジュリアも一度は試乗しておいた方がイイ。2020年に向けて、マイナーチェンジを受けている。内容は小さいものの、有意義なアップデートだ。

スポーツ・サルーンというカテゴリーは、縮小傾向。目を引くスタイリングと鋭い操縦性が、燃費と同じくらい重要視される。滑らかに動く、タッチモニター式のインフォテインメント・システムも。

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アルファ・ロメオジュリア・スプリント(英国仕様)

BMWでもアルファ・ロメオでも、費用次第で500psを越えるハイパフォーマンス・サルーンを選ぶことは可能。しかし両ブランドのポイントは、200ps前後の身近なグレードでも、楽しさ溢れる後輪駆動のドライビング体験が手に入るということにある。

今回試乗するジュリア・スプリントも、トップグレードと比べればだいぶ穏やかな部類。英国価格は3万7000ポンド(499万円)からだから、少し割高に感じられるかもしれない。

直接のライバルとなるBMW 320i Mスポーツより、ジュリア・スプリントの方が値段は高い。しかし最高出力200ps、最大トルク33.5kg-mは、320iを少し上回る。0-100km/h加速時間は6.6秒で、競合グレードの中では俊足と呼べる。

このスペックで不満なら、1つ上のアルファ・ロメオジュリア・ヴェローチェが選べる。価格は4万2575ポンド(574万円)へ膨らんでしまうが、同じ2.0Lのターボエンジンは280psへ引き上げられている。

大幅に質感を高めたインテリア

ヴェローチェは見た目でも、大径のテレダイヤル・デザインのアルミホイールや、よりアグレッシブバンパー周りのデザインで差別化されている。スプリントでも、ルックスは充分に魅力的ではあるけれど。

ZF社製の8速ATを採用し、フロント・サスペンションアルミが多用されたダブル・ウイッシュボーン式。ハード面でも、スプリントに不足はないと思う。多くのドライバーの場合、スプリントは充分だと感じる速さを備えている。

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アルファ・ロメオジュリア・スプリント(英国仕様)

マイナーチェンジを受け、インテリアにも数多くの小さな変更が加えられた。上質なBMW 3シリーズやアウディA4を脅かせるほど、車内の雰囲気は良くなった。

実際に触れてみると、まだライバルに及ばない品質面での課題はある。しかし、安っぽい見た目のプラスティック製部品は大幅に刷新され、印象の良いテクスチャが幅広く投入された。色使いはモノトーンではあるが、豪華さは増したといえる。

そうそう、シフトノブの付け根には、小さなトリコロールのエンブレムがあしらわれている。全体的にはシックでも、気持ちをくすぐってくれるディテールだ。

イタリア人はナショナルカラーで、クルマ好きを引き寄せようとする意識をまだ忘れていない。ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテや、フィアット500も同様。イタ車は、昔から特別なのだ。

優れたシャシーが生む驚くほどの速さ

ダッシュボードの中央には、8.8インチのインフォテインメント・システム用モニターが収まる。今回はタッチ式にアップデート。ソフトウェアも刷新され、メニュー構造はわかりやすくなった。端的に操作しやすい。

スマートフォンとのミラーリング機能として、アンドロイド・オートを実装する点も有効。トランスミッション・トンネルには改良を受けたロータリー・コントローラーが残っていて、操作性を高めている。

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アルファ・ロメオジュリア・スプリント(英国仕様)

運転してみると、ジュリア・スプリントは驚くほどに速い。エンジンが生み出すパワーとトルクが充分なだけでなく、優れたシャシーが、高い速度域を維持した走りを叶えている。

トランスミッションは、素早さよりもスムーズさを優先した味付け。不足ないトルクを滑らかに伝え、扱いやすい。排気音は静かに調律されている。

ただし、フライホイールの慣性がやや強い様子。クランクシャフトが、ピストンでははなくトランスミッションに動かされているような感覚を受ける瞬間がある。パワートレインを操る楽しさを、減じてしまうフィーリングだ。

それでも、ジュリア・スプリントのドライビング体験は素晴らしい。シャシーは、引き締められたスプリングへ過度に頼らず、落ち着きを保ってくれる。路面の管理状態が悪い、郊外のカーブが連続する道でも、バランスを崩すことはない。

この続きは後編にて。


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