ETCを用い、不正に安い料金で高速道路を通行し、逮捕や送致に至った事例が報告されています。どのような手口なのでしょうか。「うっかり」では済まされない、ドライバーが知っておくべき事項もあります。

ETC車載器の車種情報を偽る

静岡県警が2020年7月22日(水)、高速道路ETCレーンで不正通行を行っていた者を、整備特別措置法(第24条第3項)違反の容疑で送致しました。このことは同日に、道路管理者であるNEXCO中日本も発表しています。

容疑者は、高速道路の通行料金が割安な「軽自動車等」の情報が登録されていたETC車載器を、普通車に取り付けて走行していました。NEXCO中日本が警察へ通報し、送致に至ったとしています。このような不正通行者の逮捕や送致といった事例はしばしば起こっており、今回の件についてもNEXCO中日本は、「通行料金負担の公平性の確保および不正通行抑止につながるものと考えています」とコメントしています。

過去には、同様のETC車載器の「載せ替え」によるケースとして、ETC障がい者割引制度の不正利用や、バスにおいて、実際は「特大車」区分(乗車定員30名以上)にもかかわらず、座席数を偽って割安な「大型車」の情報が登録されたETC車載器を取り付けて走行していた例などもありました。

クルマが変わったらETC「再セットアップ」 しないのはルール違反

NEXCO中日本によると、車両のナンバープレートを変更したり、ETC車載器をほかの車両に付け替えたりするなどして、車載器の登録情報に変更が生じた際には、カーディーラーなどで「再セットアップ」の手続きが必要だといいます。このことはETCシステムの利用規約にも明記してあるそうです。

特に、「軽自動車から普通車に乗り換えた」「自動車を改造して車種が変わった」「第三者からETC車載器だけ譲り受けた」場合などに、車載器の情報と実際の車種との相違が起こりやすいといい、注意を呼び掛けています。「不正通行は、あらゆる手段で把握しています」(NEXCO中日本)とのこと。

このほか、不正に料金の支払いを免れる目的でETCカードを複数枚使用し、通行区間を偽って走行するといった行為で逮捕に至った事例も、しばしば報道されています。

もちろん、ETCレーンのバーを強硬突破するといった不正利用も犯罪です。万が一、バーを押し破ってそのまま通行した場合などには、至急連絡するよう呼び掛けられています。NEXCO中日本は、ここで連絡をしなかった場合も含め、不正通行には本来の通行料金に加え、免れた通行料金の2倍に相当する額を合わせた割増金を請求するとしています。

ETCレーンのイメージ(画像:写真AC)。