元大関・照ノ富士の優勝で幕を閉じた大相撲7月場所。新型コロナウイルスの影響による苦境を乗り越え、観客を入れての開催になんとかたどり着いた同場所だが、幕内力士の阿炎(あび)が接待を伴う飲食店で会食をしていたことが発覚。強制休場となった。


 実はこの阿炎、相撲ファンの間では「やらかし」の常連としてもお馴染みになってしまっている。今回は、過去にもいた「やらかし力士」を番付形式で紹介していく。

チャラい?現代っぽさ溢れる阿炎のやらかし

 場所中と場所前に知人と会食(キャバクラだとも言われている)に出かけた阿炎。なんとか本場所開催にこぎつけ、感染対策に尽力している関係者の顔を踏みにじるような行動で、発覚直後に休場させられることとなった。


 しかし、阿炎のやらかしはこれが初犯ではない。昨年11月、自身のインスタグラムに不適切動画を投稿。これが発端となって、相撲協会は力士のSNSを全面的に禁止し、今年2月にはSNS研修会を開催。

 しかしその席で阿炎は爆睡し、研修会後には報道陣に対し「寝てたし、何も聞いてねーし」と吹聴して厳重注意をうけている。とはいえ、やらかし番付があるならば、この程度は「小結」といったところだろうか。

朝青龍はやらかしも派手


 相撲ファンでない人にも、お騒がせ力士として記憶に新しいのは朝青龍であろう。2007年朝青龍は骨折など複数の怪我を理由に夏巡業を休んだのだが、巡業期間中にモンゴルで開催されたイベントで元気にサッカーをしていたことが判明。ピッチを駆け回り、卓越した身体能力を見せつけるように、華麗なシュートまで決める映像まで出てきて「ズル休み」がバレてしまう結果になった。

 これを受けて相撲協会から下された処分により、横綱として初めて出場停止になるという不名誉な歴史を残す。さらに朝青龍は、2010年一般人である飲食店のオーナーに鼻骨骨折を負わせるほどの暴行をくわえ、これが原因で引退に追い込まれる。なお、この被害男性が関東連合の元リーダーだった川奈毅だったともいわれている。

 朝青龍は当時29歳の全盛期で、相撲ファンの筆者は膝から崩れ落ちるほどショックを受けたが、今振り返るとかなりのやらかし度なので「関脇」としておこう。

ロシア力士の大麻事件

 阿炎の会食や朝青龍サッカーは法に触れるものではないが、ここから先は違法行為のやらかしだ。2008年、当時前頭だったロシア出身力士の若ノ鵬が落とした財布から、大麻成分を含んだ植物片が見つかる。これを受けて警察が家宅捜査をしたところ、若ノ鵬が所属する間垣部屋や自宅から吸引具が発見され、結果的に若ノ鵬は現役力士で初めての解雇処分となった。

 その後すぐさま、相撲協会が協会員に抜き打ちの尿検査を行なうと、同じくロシア出身の露鵬と白露山から陽性反応が検出。こちらも解雇となった。当時、世界的にも大麻合法化の流れがあり、世間からは大麻取締法の不当性を訴える声もあがったが、相撲ファンからすればその法律が不当か以上に、「法を犯す」ことで、彼らの相撲が見られなくなる残念さは大きなものだった。違法行為ということもあり「大関」としておく。

◆あの歴史的大横綱も…

 昭和の時代「巨人・大鵬・たまご焼き」という言葉があったほど、相撲は国民的な人気スポーツだった。その頂点に君臨し、史上最強とまで謳われた昭和の大横綱である大鵬にもやらかしのキャリアがある。

 1965年、そんな大横綱がやらかしたのは驚くべきことに「拳銃密輸」。すでに廃業していた元大関の若羽黒が拳銃の不法所持で逮捕されたことから調査がはじまり、大鵬とともに柏鵬時代と呼ばれる黄金期を築いたライバル横綱の柏戸、そして現在はNHK大相撲中継の解説でもお馴染みで、当時幕内だった北の富士(のちに横綱)も不法所持をしていたことがわかった。

 前年に日本人の海外旅行が自由化されたことから、日本にないものを土産に海外から持ち帰ることがブームになっていた。大鵬と柏戸は海外巡業で手に入れて所持をしていたといい、国内で川や座布団に試し打ちまでしている。もし今、横綱が拳銃を密輸し国内で発砲しようものなら、大変なニュースになっていただろう。しかし当時は違った。発覚は本場所中だったが横綱たちは土俵に上がり続け、取り調べも本場所が終わってからに後回しされた。相撲も横綱だが、やらかしとしても「横綱」と言える。

 拳銃を密輸してほとんど罰せられなかったことを考えると、阿炎が会食をしただけでこれほどまでに追い込まれるのは、不当なようにも見えるが、それだけ時代が変わり相撲協会がクリーンに変わりつつあるという証左だろう。さらにクリーンになり、無駄な雑音なしで集中して相撲を見られる時代がくることを、私たち相撲ファンは望んでいる。<文/Mr.tsubaking>

Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

画像:日本相撲協会公式Twitter