人気シリーズの最新作『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が7日(金)から公開になる。本作は記念すべき映画40作目で、今年は『ドラえもん』誕生から50周年を迎える記念すべき年。ドラえもん役の水田わさびと、のび太役の大原めぐみシリーズに参加してからもすでに16年が経過しているが、ふたりはいまも長編映画を“特別なもの”と捉えているようだ。

藤子・F・不二雄の名作漫画『ドラえもん』の始まりは短編作品で、1980年に初めての長編『のび太の恐竜』が製作された。その後、スタッフキャストが一新されたタイミングで『のび太の恐竜2006』が製作。映画ドラえもんにとって恐竜は特別な存在だ。

最新作では、のび太が恐竜博で偶然に拾った化石から双子の恐竜キューミューが誕生。のび太ドラえもんたちは小さな恐竜を生まれた時代に返すために恐竜たちが暮らしていた6600万年前に旅立つが、そこにはこれまで以上の試練と冒険が待ち構えていた。

毎春の映画ドラえもんは、作品ごとに監督や脚本家が異なるため、参加するスタッフによって作品の個性やカラーが異なる。本作を担当した監督:今井一暁×脚本:川村元気2018年の『のび太の宝島』を手がけたコンビで水田は「このふたりがつくる作品は笑いと泣きのバランスが絶妙です!」と笑顔を見せる。

起承転結がハッキリしていて、笑いと泣きのバランスがすごく優しく描かれている気がします。川村さんの小説は他の作品でもすごく読みやすくて、読書をあまりしない人も川村さんの本を読んだら、きっと読書が好きになる。そんな方が書いた脚本と、笑いや泣きをハッキリと描く今井監督のセンスはすごくバランスがいいんです」(水田)

「前々回の宝島も含めてなのですが、今回の新恐竜も川村元気さんの脚本は感情を揺さぶられるシーンがとても多いと感じました。そして感情の振り幅の大きさをどれだけ出せるか、言葉にならない繊細な心の動きをどうやって表現するかが課題でした。のび太くんは元々、喜怒哀楽がはっきりしている子なので、喜んでいる時と落ち込んでいる時の振り幅を大きくして観ている人たちの感情を揺さぶって惹きつける脚本のような気がしています。

台本を読ませていただいた時はドキドキワクワクしたり、ハラハラしたりで、たくさん心が動いたので物凄くエネルギーを使いました。演じる上では最高のコンディションでアフレコに挑みたかったので収録の前日は家事以外は何もしないようにしています(笑)」(大原)

監督脚本家が自身の想いや得意分野を持ち込んでも“映画ドラえもん”として成立するのは「藤子F先生の作品が多種多様だから」と水田は分析する。「藤子F先生の作品にはコメディもあればホームドラマもあって、恋愛も歴史も環境の話もある。本当に同じ人が描いたの?って思うぐらいガラッとテイストが変わるので、映画の監督さんが描くものも自然と多種多様になるんだと思います。そこがシリーズが続いている所以だと思いますし、私たち的にはいつも新鮮!なんです(笑)

しかし本作は漫画連載開始から50周年、映画40作目。いつもよりも特別な作品になりそうだ。

「50周年という記念すべき時に私なんかが居させていただいて本当に大丈夫なんだろうかと……藤子F先生に聞きたいです(笑)」(水田)

「1作目が『のび太の恐竜』で、『のび太の恐竜2006』があり、今回が『のび太の新恐竜』ですから……原点に帰ってると感じますよね。2006の時に藤子先生のお嬢さんから“(『のび太の恐竜』で)のび太がピー助にお刺身をあげるシーンは、お父さんと私たちとのやりとりが基になっている”と聞かせていただいた時に、『先生のお嬢さん達に対する愛情が込められてる作品なんだと気づいてすごく心にしみました。なんて優しいお父さんなんだろうって。今回の映画はそんな原点に戻った感じがしています」(大原)

50年前に『ドラえもん』のすべてを生み出し、長編作品の礎、その広がりを描き出した藤子・F・不二雄はすでにこの世にはいない。ふたりはいつも“原作者の声を聞くことができない”ことに向き合ってきたようだ。

「藤子F先生の言葉を直接聞けないからこそ、とてつもないものを背負っている感覚はありますし、その責任は本当に大きいと思っています。だからこそ軽々しいことは絶対にできないですし、藤子F先生が私たちを見てどう思うか……これは永遠の課題ですね」(水田)

「“先生、私の表現するのび太君はこれで合ってますか?大丈夫ですか?何かヒントをください”って空に話しかけちゃう時があります。迷った時は心の中で対話してますね」(大原)

本作も作品の随所に生前、藤子・F・不二雄が描いた面白さや考え、展開の妙が盛り込まれている。本作はオリジナル作品だが、その根底には『のび太の恐竜』に対する多大なリスペクトが感じられる展開で、50年続いてきたシリーズの豊かさを凝縮した作品になった。

「藤子F先生が終わりを描いていないって時点で『ドラえもん』という作品は無限大だと思います。日常ではなければ悪者をやっつければ終わるんですけど、この作品は必ず最後は日常に戻るので、この構造がある限り、これからもまだまだ新しい発見があると思います。だから、これからもやったことないことってまだまだ出てくるんでしょうね」(水田)

映画ドラえもん のび太の新恐竜
8月7日(金)公開
(C)藤子プロ・小学館テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020

(写真左から)大原めぐみ、水田わさび