今、腐女子に大感染して猛威を奮っているものがある。それが、語尾が「ジャン」になってしまうというジャンフルエンザだ。感染源は、『進撃の巨人』(諫山 創/講談社)のジャン・キルシュタイン。彼は巨人と戦う調査兵団のうちのひとりで、主人公であるエレンライバル的存在なのだが、さまざまなMADが作られたり、同人誌が作られるなど、腐女子を虜にしてやまない。そんなジャン・キルシュタインの魅力とは何なのか?

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 まず、ひとつめは彼がとにかく不憫なキャラであるということ。訓練兵団として入団してすぐ教官から頭突きをくらうし、調査に出れば自分だけ馬に逃げられる。一目ぼれした相手にもあっさり失恋。しかも、その彼女は自分が「とても綺麗な黒髪だ…」と褒めた直後に、エレンから「この髪長すぎはしねぇか? 立体機動の訓練で事故になるかもしれんぞ」と言われて「わかった切ろう」と返す。そんな恋敵のエレンには、喧嘩でも成績でもかなわない。さらに、唯一の理解者である親友・マルコも早々と亡くなってしまう。こんなに不憫な彼を、見守りたいという女子がたくさんいるのだ。

 しかし、それとは裏腹にツリ目三白眼で、金髪刈上げ。いかにも強気で生意気そうな彼は、「抜き身すぎる」と言われるほどバカ正直で歯に衣着せぬ物言いをする。教官に兵士になった理由を尋ねられると、安全な「憲兵団に入って内地で暮らすため」と答えるし、巨人に立ち向かおうとするエレンには「死に急ぎ野郎」とあだ名をつけたりする。たしかに不憫な人ではあるのだが、そんな生意気さも相まって、おもいきりいじめて泣かせてやりたいと思う人も多いようだ。

 そして、ジャンはこの作品の中で普通の人代表のような存在として描かれる。成績は優秀だが、それ以外は弱さを持った普通の人。それに仲間思いで、マルコからも「ジャンは強い人間ではないから、弱い人間の気持ちがよく理解できる」と評価されている。巨人に勝てるわけがないと思っていても、仲間が立ち向かうなら「オレ達は仲間に一人で戦わせろと学んだか!? お前ら!! 本当に腰抜けになっちまうぞ!!」と周りを鼓舞して引っ張っていけるのだ。ときに仲間を見捨てて作戦を遂行しなければならなくなったとしても、そのことに対してきちんと胸を痛めて悩む。だからこそ共感できるし、そういった人間味あふれるところも、人々を惹きつけるのだろう。

 こんなジャン・キルシュタインを知ってしまったら、あなたもジャンフルエンザへの感染からは逃れられない!?

文=小里樹
ダ・ヴィンチ電子ナビより)

『進撃の巨人』(諫山 創/講談社)