2017年は森友学園問題、翌18年は加計学園問題、昨19年は「桜を見る会」問題、そして今年は検察官問題に国会は振り回された。

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 日本維新の会を除く野党(以下同)と、朝日新聞および同系列テレビなどによる倒閣狙いが根底にあった。

 籠池夫妻はマスコミ攻勢に辟易して東京へ脱出するが、東京ではさらに多くのマスコミに押し掛けられ困惑する。

 大阪にいた菅野完(たもつ)氏に電話すると、自由党小沢一郎共産党小池晃の予定を押えて会うように設定したという。

 しかし、会いに行ける状況でないと告げると、菅野宅(東京)へ向かうように指示され、すっかり取り込まれる。

 愛国心を植え付ける幼稚園を運営し、その流れで小学校を開校しようとした籠池泰典・同夫人を取り囲んだのは、共産党が庇護者で裁判費用を民団から工面すると公言する著述家の菅野氏や左派勢力で、籠池氏が国会の証人喚問で読み上げた文章も菅野氏が書いたものであった。

共産や民団をバックにした倒閣劇場

「家の前にマスコミが、溢れかえっていた。そもそもそこから、政権に喧嘩を売る構図をつくったのです。私達の知らない内に、仕組まれていました」(籠池夫妻)(阿比留瑠比「ご都合主義が過ぎるメディア」、『正論』令和2年7月号所収、以下同)。

「(自宅に来た政治家ら〈福島瑞穂森ゆうこ小池晃、今井雅人〉の)目的は、倒閣のためであり、その他のことはどうでもいいという感じ(であった)」(長男佳茂氏)

「総理夫人と父との関係は、非常にきれいな関係でした。しかし、それでは視聴率を稼げないのです。何か悪いことをしていた方がいい(とけしかけられた)」(同上)

「両親を自分たちの意のままにしている筆頭が、当時(フリーの)記者として私たちの前に登場した菅野完」で、彼は「理事長に後ろ足で砂をかけた連中を刺したくないか」「あなたたちは皆から砂をかけられていますが、僕は味方です」と語り、「安倍総理を批判する材料はないか」と、佳茂氏に持ち掛ける。

 菅野氏が引き合わせた人物は、朝日新聞の南彰、東京新聞望月衣塑子NHK相澤冬樹、TBS金平茂紀らで、阿比留氏は「そうそうたるアンチ安倍派の記者たちの結集である・・・これらメンバーを見るだけで、森友学園問題の本質が透けて見える。倒閣運動である」と述べる。

 泰典氏は「(菅野氏が)朝鮮総連や(在日本大韓民国)民団の資金を融通しようとした(のには反対した)」し、佳茂氏は「菅野完に疑問を持ち始めたのはかなり以前なのですが、決定的になったのは、(中略)『自分の庇護者は共産党である』とか、『弁護士費用は民団から工面する』・・・というような具体的な話をしていた時です」と語る。

「(森友問題は)単なる左派勢力どころか、いろんな外国勢力まで絡んできたのである」と阿比留氏はいう。

 籠池夫妻が左派勢力の縛りも薄れた今年(2020)5月頃から、「我々ははっきりと目が覚めた」と発信し始めた。

安倍首相だけが悪いのではなく、政権打倒のために動いた人がたくさんいた」(泰典氏)、「ふと思い出せば何かおかしい。『安倍犯罪だ』とか安倍がどうのとか、私たちも乗っかっていた」(同夫人)。

 長男が書いた『籠池家を囲むこんな人たち』を読まずに、「息子の本は嘘ばかり」と聞く耳をもたず「裏切者めが。安倍さんのポチに成り下がって」とまで言った籠池氏であたったが、ここにきて「大体は正しい」と評価したのだ。

 比較的冷静であった長男の発言まで、疑うようになっていった両親の姿からは、「洗脳」の怖さを改めて知る思いである。

 早い段階で真相を見抜いていた小川榮太郎氏と佳茂氏は対談(「〈籠池長男が反省告白〉 両親は安倍総理夫妻に謝れ」(『Hanada』2018年9月号所収)し、両親が洗脳されていく過程を振り返っている。

「保守派を標榜し、安倍総理を敬愛しているとまで言っていた籠池泰典前理事長が豹変して政権批判に及んだのは驚きでした」(小川氏)に対し、「経験したことのない渦に巻き込まれ、誤った選択やボタンの掛け違いを重ねて、事ここに至っ」たことを明かしている。

 この一事からも、国民が限られた情報で誤った選択をする危険性が浮かび上がってくる。森友に味を占めた野党勢力の洗脳はその後も続き、今も野党の国会対策委員長の発言などで繰り返されている。

国際情勢から目をそらせる暗愚の野党

 森友問題に始まった3年余は喫緊の北朝鮮対策もあったが、世界史的視点からは米国にトランプ政権が発足し、中国では習主席が世界一の軍隊で覇権国家を目指す方向にかじを切った時期で、日本は米中の角逐を中心に据えた世界情勢分析と対応方針に全力を投入しなければならないときであった。

 しかし、モリカケ等に捕らわれ大山鳴動したがネズミ一匹も出て来ず、他方で安倍政権の支持率低下をもたらし、国政を揺るがし、真に日本の安全にかかわる問題が等閑視され続ける結果をもたらした。

 以上から分かるように、「安倍政権は信頼がおけない」などは、ありもしない疑惑を作り出して、憲法改正が議論にならないように視点を他に向けさせてきた野党の方便に過ぎなかったのだ。

 野党は「9条を守れ」や「憲法改正阻止」に成功して支持者たちに応えているわけであるが、大多数の国民は新型コロナウイルスの蔓延という想定外の事案の被害に遭っている。

 慌てて法律論議が起きたが、こうした弥縫策を21世紀の初頭以来繰り返してきたのが日本の政治である。

 安倍政権では憲法改正論議はできないという野党は、その後の政権では憲法改正論議に乗るのか。そのようにはとても思えない。

 中国やソ連、あるいは北朝鮮といった一党独裁国家は、平和の祭典であるオリンピック・イヤーにことをしばしば構えてきた。

 香港をはじめとした中国の一連の行動も、日本開催の五輪を狙って企図していたのではないかと思いたくなるほどである。

 五輪に代わってコロナの来襲を受けた中国は強権をもって自国のコロナ制圧を宣言し、その後はコロナに苦しむ各国に医薬品や医療団派遣などの医療支援をやり、自国の横暴を大目に見させる戦略に転換したと思えなくもない。

 日本維新の会を除く野党は日本の安全についてどう考えているのだろうか。国民受けするゼスチャーだけが目立ち、今は合流問題で党首らの頭は一杯のようだ。何たる支離滅裂、何たる暗愚の野党であることか‼

歴史にも経験にも学ばない野党

 民主党は短い期間とはいえ政権を担った。しかし、日米中の等距離(三角)関係を指向したために日米同盟が揺らいだ。

 安保改定50周年の共同声明では、普天間飛行場移設問題で辺野古案を破棄して(沖縄)県外とした鳩山民主党政権に対する不信から首脳署名を米国が嫌がり、両国の外務・防衛大臣連名に変更された。

 すなわち、日本の安全に対して、米国の後ろ盾が意識的に低下したのだ。

 野党は憲法9条が平和を守ってきたとして憲法改正をかたくなに拒み続けているが、政権政党として米国が共同声明署名でクレームをつけたとき、9条が日本の平和を守っているとの認識に揺らぎを感じなかったのだろうか。

 憲法が日本の安全を守っているという考えは、「9条の会」など、日本共産党系の反戦団体に支えられている。

 その9条に憲法制定時に異議を申し立てたのはほかでもない共産党で、軍隊放棄で日本の防衛ができるのかと野坂参三議員が政府に質したのだ。

 当時の共産党は天皇を廃して共和制とする「人民共和国憲法草案」を有し日本国憲法を擁護していたわけではないが、自衛戦争や自衛軍は否定していなかった。

 それとの整合性からも、「(憲法9条は)一個の空文に過ぎない。・・・我が国の自衛権を抛棄して民族の独立を危うくする危険性がある」とし、「それ故にわが党は民族独立の為に此の(日本国)憲法に反対しなければならない」(昭和21年8月24日衆議院本会議)と明言した。

 こうして97年を生き延びてきた共産党と選挙協力などをしていると、いつの日か吸収されていたという危惧はないのだろうか。

首相は国民へ積極的に話しかけよ

 安倍首相の考え、地球儀をまたぐ外交や日本の安全、より身近なところでは対中関係やコロナ対策などについての政府の姿勢が国民にはなかなか見えてこない。

 モリカケ以降のテレビ同様に、間違いだらけの情報が飛び交っている。

 西村大臣のコロナ対処や菅官房長官の発表も断片的で、日本の全体像を浮き彫りにするものではない。

 ここは内閣総理大臣たる首相が官邸記者のぶら下がりに一言で答えるのではなく、どうした方向性をもって動かしているのか、例えば毎週では多すぎて大変かもしれないが隔週や月1回くらいの頻度で「炉辺談話」のような形でも国民に語り掛けるというのはいかがであろうか。

 緊急事態が発令された時などの特例ではなく、定例的な国政報告・国民への話しかけが、民主主義政治をより身近なところに引き付け、投票率の回復にもつながるのではないだろうか。

 対中外交や国会問答の内容が国民になかなか伝わってこない。靖国参拝も日本人拘束も、また尖閣や沖ノ鳥島などへの無法な行為が解決していないのに、一帯一路参加や通貨スワップ協定などで習近平の笑顔に懐柔されたのではないかと疑問に思っている。

 外交ではテーブル上で握手しながら下では蹴り合っているというが、その片鱗さえ見えてこない。

 他方で、モリカケや桜などのように朝から晩まで流し続けられると、実際とはかけ離れているが、あたかも本当であるかのように政権批判として否応なく国民に浸透していく。

 首相は時折、野党が「印象操作」している旨の発言をすることがある。しかし、時折ではなく、モリカケ以降の国会論戦はすべてが印象操作で行われてきたとしか思えない。

 そこで、いつも思うことであるが、首相は定期的にあるいは重要問題については臨機応変に、「国民に報告」されてはいかがであろうか。

 野党の質問が事実を抑えない架空の状況想定で行われ、無意味な論戦に終わっている現状からは、なおさら国民が現実把握の必要性、現実に即した国会論戦を促すことにもつながるのではないだろうか。

おわりに:
マスコミ仕立ての「世論」が健全「輿論」を隠蔽

 ロシア革命が起き、共産主義思想を拡大せるコミンテルンは世界同時革命を企図し、日本の支部も指令を受けていた。

 端的に言えば、日本の歴史と伝統の破壊で、「天皇制」(共産党用語)の廃止などである。

 共産主義思想の南下・伝搬を恐れた日本は大陸で阻止するべく立ち上がり支那事変となるが、米英仏などは自分たちが過去にやってきた侵略と思い込み、大陸からの撤退を日本に要求した。

 西欧諸国は日本の意図に反して中国共産党を生き延びさせさせ、その後の戦争では共産主義発祥国のソ連を連合国の一員に抱え込み勝利した。

 しかし、一連の戦争がコミンテルンの遠大な計画に基づくものであることには意識が及ばなかった。

 こうして、共産主義の妖怪はその本質が見抜かれることもなく拡大し、まずソ連が米国に対峙する力をもつに至り、次いで中国が米国に牙を向けてきた。

 日本は先人の努力も歴史の教訓も忘れ、天安門事件で中国が国家の本質を暴露したにもかかわらず支援の先陣を務めた。米国も中国が西欧諸国と価値観を共有できないことに半世紀ぶりに気づいた。

 今は価値観の転換を迫る中国にいかに対処するかの歴史の転換点である。

 その意義を洞察するには歴史に根づいた、万機公論に決する健全な「輿論」が不可欠であるが、軽薄なマスメディアによる「世論」に流されている。

 野党は「タイは頭から腐る」と陳腐な台詞でろくに議論もしない「世論」に訴えるのではなく、議事堂の中で「輿論」を喚起するべく、政府に問いかけなければならない。

 それが国会議員と国会の喫緊の責務である。

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議員会館側から見た国会議事堂(撮影:川嶋諭)