「女性の気持ちって難しいですよね」

 会社員の彰さん(仮名・32歳)が、数年前に起こった明治神宮外苑の花火大会での出来事を語ってくれた。

◆花火大会のチケットをオークションで落札

 当時付き合っていた彼女は8歳年の離れた女子大生。共通の友人を通じて知り合った。

「社会人の俺が引っ張っていかなくちゃ!そんな想いでいっぱいでした」

 彼女の喜ぶ顔が見たくて、誕生日にはブランド品と高級ホテル、レストランは口コミ評価の高いところを選んだ。とはいえ、一般的な会社員の彰さん。収入が決して多いわけではなく、支払いが間に合わないときはキャッシングを利用するなどしたこともあったそうだ。

「当時は好きだったので良かったのですが、今思うと…何やってんだかって感じですが、今回お話しする花火騒動は、彼女を喜ばせようと思って起きたことでした」

 明治神宮外苑の花火大会といえば、毎年行われる大規模なものである。都心というアクセスの良さもあり、多くの人でにぎわっている。花火だけでなくアーティストによるパフォーマンスがあることでも有名だ。

「思いつきでこの花火大会に誘いました。なのでチケットを持っていなかったんです」

 会場に入るためには事前に発売されているチケットが必要。持っていない場合は、会場の外で見ることができるそうだが、花火を楽しむには十分でない。

「そこで思いついたのがオークションサイトでチケットを購入することでした」

 できるだけいい席で観たいという想いから、当日ギリギリまでチケットを探した。そして無事に落札までこぎつけた。日にちが迫っていることもあり、出品者と当日現地で手渡しの約束をした。

「彼女には、“かわいい浴衣で来てね!”と言いました。結構いい席だったので、喜んでくれるだろうなぁと思っていたのですが…」

◆安く済ませようとしたの?彼女の不満

 花火大会当日、チケット取引時間を迎えた。「ちょっと知り合いがいるから…」と言い、取引相手の元へ。彼女もついてきたそうだ。

「“こんにちは~、彰の彼女の…”って言いだしたときはドキっとしました」しかし取引のみなので、1分もかからずに終了。その様子を怪しげな表情で見ていた彼女。

「実はね、花火大会のチケットを取引していたんだよって伝えたんです。そしたら、“え、オークションでチケット買ったの?もっと事前に入手するものでしょ。なんかガッカリ。安く済ませようとしたの?”って言われたんです」

 彼女曰く、一連の流れを“手抜き”だと感じたよう。実際には数日かけてチケットを探したり、ほぼ定価の金額が発生しており、決して手を抜いていたわけではなかったのに。

「チケットをオークションで入手したっていいですよね?一気に萎えましたよ…」

 彰さんにブツブツと文句を言っていた彼女であったが、会場での花火にはノリノリだったそうだ。彼女のほうはオークションサイトの件はすっかりと忘れていたようだが、彰さんの心には深い傷が残ったとのこと。

◆その後、破局。意外な別れの理由とは?

 その後、彼女とは花火とは無関係の別れ方をしたそうだ。

「キャッシングしていることがバレました。督促の手紙を机に置きっぱなしで…。お前のために金を借りていたのに…とは思いましたね。それ以来、彼女とは会っていません」

 意外な形で別れてしまった彰さん。

「まるで花火のようにあっけなく終わりましたよ。あんなにお金をかけた自分がバカでした」

 彼女のためを思って用意したチケット。しかしオークションサイトを利用したことでちょっとしたトラブルに発展してしまった。筆者も女なのだが、“女性の気持ちは難しい”と思った。<取材・文/吉田みく>

【吉田みく】
ルポライター。得意なジャンルは恋愛にまつわる人間関係。好きなことは潜入取材。twitter:@yosmiku

―[シリーズ・夏の悲惨な思い出]―


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