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V8ツインターボのファミリーカー

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)

普段使いのスーパーカーが欲しいけど、5人家族で1万ポンド(134万円)以上のクルマには手が出せない、そんな時に何を買うか?

【画像】アウディRS6(初代~現行モデル) 全87枚

一見すると、不可能な難問に思えるかもしれない。だが答えはある。

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アウディRS6(初代C5系/英国仕様))

少ない予算で絶大なパワー(と家族の承認)を得たいのであれば、アウディRS6の中古車はどうだろうか。

初代RS6が中古車市場で最大の掘り出し物の1つであることは、よく知られている通りだ。

そこで今日は、ファミリーカーの概念を大きく変えた初代C5系のRS6を紹介する。

S6に搭載された4.2L V型8気筒エンジンをツインターボ化したもので、450psと57.1kg-mを発揮し、0-100km/h加速を5秒以内で駆け抜け、最高速度は時速250kmに達する。

昨今のスポーツカーと比較するに、やや保守的な数値に見えるかもしれないが、冷静に考えてみてほしい。

十分すぎる。

アウディの高性能モデル「RS」シリーズでは、ポルシェがエンジニアリングに関与したRS2とRS4に続く3台目にあたる。

2002年から2004年までのわずか2年間だけ生産され、V10エンジンを搭載したC6系に跡を継がせて第一線を退いた。

幸いなことに、限られた生産台数と6万ポンドという新車価格にもかかわらず、中古車市場に出回る台数はそれほど少なくない。

希少性はあまりないが、選択肢は豊富にある。

高性能モデルゆえの頭痛の種

RS6は、決して安く乗れるクルマではない。

本物のハイパフォーマンスモデルを1万ポンド(134万円)で購入するというコンセプトには惹かれるが、ぜひ覚えておいてほしい。

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アウディRS6(初代C5系/英国仕様))

このクルマはアウディ製なので、アウディならではの問題点や修理代が発生する(伝えるまでもなかっただろうか?)。

もしトランスミッションに不具合があれば、交換ユニットに3500ポンド(47万円)が必要だ。

サスペンションにも気を付けたい。

C5系RS6は、アウディダイナミック・ライド・コントロール(DRC)システムを初めて搭載したモデルで、加速、ブレーキング、コーナリング時にポンプを使って個々のショックアブソーバーの圧力を調整し、乗り心地に影響を与えることなくハンドリングを向上させる。

デビュー当時は画期的なシステムだったが、経年劣化には耐えられず、多くのオーナーは頭痛の種を避けるために、従来のストラットに交換しているようだ。

トルクコンバーターの故障には、大金がかかる可能性がある。

定期的な点検の履歴がない車両には手を出さず、できれば正規ディーラーアウディに詳しいエンジニアを見つけよう。

不具合を起こしやすいポイント

エンジン

8.5km/L以下の燃費を我慢できれば、V8はむしろ扱いやすい代物だ。愛想のいいモンスターである。

タイミングベルトは5万6000kmごと、カムベルトは6万4000kmごとに交換する必要がある。

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カムチェーンテンショナー、O2センサー、電圧レギュレーター、カムシャフト位置センサー、スターターアセンブリの交換が理想的。

この点については前のオーナーが気を配っていたかどうかを確認しよう。インタークーラーが漏れてターボの故障につながることがある。

サスペンション

ダイナミック・ライド・コントロール・システムが故障するのは、時間の問題だ。すでに交換されている場合もある。

その場合、コニ、ビルシュタイン、KWといったブランドの従来型コイルオーバーに交換するのが一般的だが、どんなパーツが使われているのか、品質と状態は要チェック。

オリジナルのDRCシステムが残っている場合は、ショック上部付近の液漏れに注意しよう。

トランスミッション

トルクコンバーターは走行距離が多いと故障しやすくなる。

症状としては、シフトの不調、不規則な回転、加速時の抜けなどが挙げられる。簡単なフルード交換で対処できたオーナーもいる。

内装

スイッチ、ボタン、トリム類の多くはノーマルのA6のものを流用しているため、耐久性が高く、交換も簡単だ。

インストゥルメントクラスターは経年劣化で画素数が低下するが、交換用の液晶パネルや中古ユニットは簡単に手に入る。

ステレオ、シート、エアコン、ウインドウがすべて期待通りに動作することを確認しておくと良いだろう。

ボディ

バルクヘッドのドレンホールが塞がっていたり、花粉フィルターのシールが切れていたりすると車内に水が侵入するので、カーペットに濡れた跡がないかチェックしたい。

事故による損傷や塗装不良、表面のサビなどがないか、全体をくまなく点検しよう。

電気系統

ドレンホールが詰まっていると、クーラント膨張タンクの後ろに隠れているメインヒューズが腐食することがある。要チェック。

オーナーの意見を聞いてみる

アダム・ブロードウェイ

「走るのに安いクルマではありません。アウディではなく、スーパーカーだと思ってください」

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アウディRS6(初代C5系/英国仕様))

「走行距離の少ないものよりも、トランスミッションを交換したのものを探してみてください」

「RS6は、タイヤとブレーキを食べるように消耗します。ブレーキディスクはそれぞれ500ユーロ(6万円)です。パーツを購入したら、プロのエンジニアに渡しましょう」

「不具合には常に備え、心構えをしておいてください」

知っておくべきこと

450psでは物足りないという方は、RS6のプラス・エディションを探してみてはどうだろう。

2004年に少量生産のスペシャルモデルとして発売されたプラス・エディションは、30psの出力向上、ロー・サスペンション、クロス・ドリルド・ブレーキを装備している。

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生産台数はわずか999台。価格は2万5000ポンド(337万円)以上になると予想される。

いくら払うべき?

7500ポンド(101万円)~8999ポンド(121万円)

外観上の問題や電気系統の不具合を抱える多走行車。

9000ポンド(122万円)~11999ポンド(161万円)

走行距離は多いが、オプションが充実している。ほとんどが整備記録も残っている。

12000(162万円)~19999ポンド(269万円)

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豊富な整備記録と魅力的なアップグレードを備えた後期モデル。

20000ポンド(270万円)以上

よく整備され、見た目も美しい。走行距離も少なく完璧。

英国で掘り出し物を発見

アウディRS6アバント 登録:2003年3月 走行:13万km 価格1万5995ポンド(215万円)

ボディカラーはムジェロブルー。パフォーマンスを向上させる後付けのアップグレードが施されており、お手頃に見える。

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フロントシートはわずかに摩耗しており、DRCシステムはコイルに交換されているが、内部に潜むトラブルを示唆するものは何もない


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