昨年10月にアニメ『ゾイドワイルド ZERO』のヒロインであるサリー・ランド役で声優としてのキャリアをスタートさせ、同作のED主題歌「ヒカリ」でシンガーデビューも果たした千田葉月が、2ndシングル「名もなき旅」を配信リリースした。同アニメ第4クールのED主題歌に起用されている本作は、デビュー曲同様に数多くのアニメを手掛ける島崎貴光が音楽プロデュースを担当している。声優&シンガーの同時デビューから1年弱。彼女はどんな経験をしてきたのか。自問自答と覚悟を綴った力強く爽やかなロックチューンに込めた思いを聞いた。

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■ 先輩方のアドバイスから楽しんでいこうって思えるようになった

●アニメ『ゾイドワイルド ZERO』は放送開始から1年になろうとしていますが、千田さんにとってはどんな経験になりましたか。

私にとっては初めての現場なので、本当にいろんなことを教えていただいたなって思います。音響監督さんはもちろん、ベテランの役者さんたちにもいろいろなことを教えていただいて。本当にかけがえのない経験になりましたね。

●具体的にどんなアドバイスをもらいましたか。

アイセル役の日笠陽子さんには「楽しめばいいんだよ」って言ってもらいました。「技術や経験はあとからついてくるから。今、大事なのは瞬発力と臨機応変に対応すること。あとは、まず、自分が楽しむことだよ」と教えていただいて。そこから、楽しんでいこうって思えるようになったんです。アルドリッジ役の三木眞一郎さんにも、いろいろ教えてもらいましたね。「台本を自分が思っている倍以上は読んだほうがいい」とか、「ハートで芝居する」とか。そして、「終わった時にキャラクターが“ありがとう”って言ってくれるくらいの表現をしなさい」って。そこを目指していこうって思いました。キャラクターに寄り添って、キャラクターを愛して、最後の最後に、声をやってくれてありがとうって言ってもらえるくらいの役者になりなさいって教えていただきました。

●そう言ってもらえそうですか。

最後に言ってもらえるよう、頑張ってます!

●そして、第1クールに続いて、第4クールのED主題歌も担当してます。

ありがたいことですよね。すごい驚きがあったし、幸運だなって思ってます。

■ みんなの背中を押したいっていう気持ちがすごく強い

●「名もなき旅」を最初に受け取ってどう感じましたか。

最初のイントロのギターからカッコ良くて、覚悟を感じるロックっていう感じですごく好きでしたね。

●ロックも聴いてきましたか。

学生時代は、RADWIMPSさんにめっちゃハマってました。親と喧嘩したら、RADWIMPSさんの「五月の蝿」をかけて反抗したりしてて(笑)。カラオケでは、基本的に人前で歌うのが苦手なので、盛り上げ要員に徹していたんですけど、『Angel Beats!』のOPとED、あとは、ボカロ好きの友達が多かったので、カゲプロカゲロウプロジェクト)とかを歌ってて。最近だと、Mrs. GREEN APPLEさんやLiSAさんの曲が好きでよく聴いてました。前作のレコーディングの時にそんな話もしていたので、そこを考慮してくれたのかなと思ってうれしかったです。

●歌詞はどう捉えましたか。ご自身の心境と重なった部分はありましたか。

やさしさが込められているなと思うんですけど、やっぱり自問自答系だと思ってて……。私もコロナの時期はいろいろと考えることが増えていたんですけど、負けず嫌いなので負けないぞ!って思ったし、自分で聴いて励まされたりもしてて。自分もこの曲に助けられたし、思い入れが半端ないので、もっとみんなに聴いてもらいたい、みんなの背中を押したいっていう気持ちがすごく強いですね。

●負けず嫌いなんですか。

めちゃくちゃ負けず嫌いですね。“なにくそ!”と思いますね(笑)。アフレコが上手くできなかった時は、家に帰って、“くっ!”って思いながら、台本を開いて振り返ったりしています。ここはダメだったか、次は頑張ろうかなって思ったりしていますね。

●その芯の強さ、意志の強さが歌声にも現れてますね。

よかった! 最初、歌い出しをもっと弱々しく歌っていたんです。“描く未来には まだまだ届かない”っていうのをマイナスなイメージで捉えてしまって。でも、プロデューサーの島崎さんと歌詞について話して、「“まだまだ届かない”っていうのは、これから伸び代があるってことなんだよ。可能性の大きさなんだ」ってことを教えてもらえて。自問自答しながらも、自分の中でまだまだ答えを出していけるよっていう気持ちというか。いろいろ悩んでいることはあるけど、とりあえず、先に進もう、やったろうって感じで歌ってますね。私が吹っ切れちゃうタイプなんです(笑)。だから、たくさん仲間はいるから“大丈夫大丈夫、いたっれ!”っていう思いを込めました。根本的には、応援したい、誰かの気持ちに寄り添いたいっていうのがあるので、ちょっとでも前に進めたらなっていう頑張れを込めて歌ってましたね。

■ とにかく一回やってみるっていうのが私のポリシー

●細いところなんですけど、“大事な絆 離さないから”の1番と2番のニュアンスが違ってて。ちょっとこっちを振り向かれた感がありました。

レコーディングで一番時間をかけてこだわったところなのでうれしいですね。仲間にも言っているけど、自分自身に向けても言っているところでもあって。最後は、自分で前に進んでいるんだけど、一回振り返って、仲間たちに向かって、「行ってくるね」って手を振ってるイメージだったんです。だから、伝わってますね!

●伝わりました(笑)。タイトルはどう捉えましたか。

自分で旅の名前を決めていいんじゃない?ってことかなと思いました。人それぞれ、いろんな旅があると思うので、聴いていただいた方の旅の後押しをできたらなって。マイナスではなくプラスのイメージがありましたね。

●ちなみに千田さんの現在の旅に名前をつけるとすると?

「どんどんいったれ!」ですかね。アハハハ。(今回の)アーティスト写は爽やかなんですけど、私、太鼓を叩きながら進んでるイメージなんですね。猪突猛進タイプというか。とにかく進んで、折れたら、一回、振り返って冷静になる。でも、またどんどん行ったれっていう。壁はたくさんあると思うんですけど、とにかく叩いてみていいんじゃないかなって思ってます。何事も行ってみないとわからないと思うので、まず、一回はやってみて、ダメだったら修正すればいいっていう。とにかく一回やってみるっていうのが私のポリシーですね。

●これからの旅はどう考えてますか。

技術と経験がまだまだなので、いろんな体験をして、人間性を深めていきたいです。あと、もうちょっと思慮深くなりたいですね。さっきの言葉と逆になっちゃうけど(笑)、あまりにも考えなしに進んじゃうので、振り返る時間をちょっとずつ設けていきたいと思ってます。声優としては、今の現場でご一緒する方が本当に素敵な方ばかりなので、たくさんの目標が見つかって。一つには決められないんですけど、カッコ良い先輩方の背中を追いかけて、同じように進めていけたらなと思いますね。感情の深さを声だけに込められる先輩たちのように素敵な芝居ができるようになりたいですね。音楽は得意じゃないけど、歌うことは好きなので、続けていきたいなって思ってます。まだまだわからないことばかりで、どう進んでいくのかわからないので、まずは道を見つけるところから始めたいですね。ただ、「名もなき旅」のようなロックは好きなので、どんどんカッコ良い歌を歌っていきたいし、そのための技術を身につけたいなって思っています。

(取材・文 / 永堀アツオ)(ザテレビジョン

TVアニメ『ゾイドワイルド ZERO』のヒロイン / サリー・ランド 役の千田葉月