緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開されたら一段落……そんな安心感は幻想にすぎない。経済対策の効果が切れ、企業の体力が尽き、大量の失業者が生まれる「雇用崩壊」はむしろこれから本格化する。リーマンショックはるかに超える「コロナ氷河期」。その最悪のシナリオと生き残る術を探っていく。

テレワークのディスタンスは、「セルフマネジメント」で補う

 対面での面接中止や業績悪化などから、大打撃を受けている20代の採用市場。特に「新卒採用は、深刻なものになる」とFeelWorks代表・前川孝雄氏は指摘する。

「今年採用に影響が出たという企業は、リクルート就職みらい研究所の調査で9割に到達。特にスケジュールの遅延の影響は大きく、秋に先送りとなった大企業の採用が中小企業とバッティングし、大混乱を起こしそうです」

 とはいえ、5月の求人倍率は2.03倍。そこまで求人に影響は出ていないのではと思いきや「求人倍率は遅行指標なので、景気悪化後に遅れてやってくる。’22年度卒以降から本当の氷河期が到来する」と前川氏は続ける。

 一方、すでに就職済みの20代は安泰かといえば、新卒減で業務負荷がのしかかる可能性は十分にある。そこで重要になるのが「セルフマネジメント」だ。

「まず求められるのが、テレワークに慣れていない上司の曖昧な指示をきちんと補完し、自分の中でマネジメントできる『曖昧耐性』。ここでキレて上司とやり合っても損をするだけです」(組織人事コンサルタント・曽和利光氏)

 さらに、溜まったストレスは自分でケアすべきとも。

「密なコミュニケーションが減り、上司から部下へのケアが減るため、20代は自分でメンタル面のマネジメントをする必要があります。会社の言いなりになって働いた末、心を病んでも、誰も責任を取ってくれません」(人材育成コンサルタント・片桐あい氏)

◆若手を放置する会社からは転職も

 また、前川氏は働き方の変革が迫られる現在、20代こそ自身のキャリアについて真剣に向き合うべきだと続ける。

20代社会人としての土台をつくる大切な時期。社内教育システムが確立されている大企業はその意味でメリットがありますが、もし今いる会社がコロナ禍で若手を放置しているようであれば、自分が成長できる業界や企業に転職するのもひとつの選択肢です。

 最近はSDGsの流れもあり、キャリアプランが明確な人ほど社会貢献とビジネスを両立させるソーシャルベンチャーを志望する傾向があります。今後は会社の名前ではなく、自分自身が仕事を通じて何を果たすかが問われる時代。キャリアプランは自分の手で常に描いておくことが重要です」

 働くことの意味を問う20代。彼らの期待に応える背中を先輩社員が見せなければ、瞬く間に見切りをつけられる可能性も。そんな会社に未来はあるのだろうか。

コロナ氷河期サバイバルの心得
・上司に頼らない、セルフマネジメント力を養え
コロナで放置されるなら、成長できる場所に転職すべし
・仕事を通じて何を果たせるかを問い、10年後、20年後のキャリアを描く

FeelWorks代表・前川孝雄氏】
青山学院大学兼任講師。「上司力」「50代からの働き方」研修で400社以上を支援。著書に『50代からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書)など多数

【人材育成コンサルタント・片桐あい氏】
カスタマーズ・ファースト代表取締役、産業カウンセラー。外資系企業を経て独立。著書に『これからのテレワーク 新しい時代の働き方』(自由国民社)

【組織人事コンサルタント・曽和利光氏】
人材研究所代表取締役社長。リクルートの人事採用部門を経てさまざまな業種の人事・採用部門の責任者を担当。著書に『コミュ障のための面接戦略』(星海社)など

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[コロナ氷河期の衝撃]―