はなまるうどん10月7日から始める「生こどもクーポンキャンペーン」が話題だ。12歳以下の子どもを連れて行けば、子ども1人を「提示」するごとに50円の割引を受けられる。

子ども自体が「クーポン」になるという、世界でも類をみないキャンペーン。「画像見てワロタ」「インパクト勝ちだなぁ」「なかなかシュールw」とTwitterでの反応は悪くない。

どのような意図でこうしたキャンペーンを企画したのか。はなまるのマーケティング担当部長・田中安人さんに聞いた。

 バカバカしいことを「徹底的に議論する」

 「正直言って、今回のキャンペーンも怖かった。ソーシャル でも何を言われるか…。でも、マジメすぎてもメッセージが伝わらない。ギリギリのところで企画しています」

田中さんはこう胸の内を明かす。はなまるユニークな試みといえば、2006年の「うどん定期券」が元祖だ。500円で購入すると、1か月105円割引となる定期券で、約14万枚売れたという。

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ほかにも、期限が切れた他社のクーポンでも割引になる「期限切れクーポン大復活祭キャンペーン」や、公的医療保険の保険証を提示するだけで割引になる「健康保険証割キャンペーン」など、ユニークな割引キャンペーンを打ち出してきた。

そうしたエッジのきいたキャンペーンが打ち出せる理由は、「バカバカしいことを真面目に」という社風からだ。

「バカじゃないか」「あり得ない」とけなされたら、特に若手社員は萎縮してアイデアを出さなくなってしまう。だがそうしたら、マジメで無難なキャンペーンか、声の大きい人が提案した身勝手なキャンペーンしか生まれないだろう。

だからどんな些細で、一見バカバカしく見える企画案でも、徹底的に議論するのだと田中さんは言う。その一例が、体長18メートルの「まるごとダイオウイカ天」を発売するという企画だ。

これは2013年エイプリルフール施策で、同年1月に放送され話題になったNHKドキュメンタリー「世界初撮影!深海の超巨大イカ」をもとにしたもの。特設サイトは細部までこだわっており、ユーザーからも通常の20倍以上のアクセスがあった。さらに、なんとNHKからも「丁寧に作ってくださって、ありがとうございます」と感謝の声をもらったという。

もとになった番組は、NHKが世界に先駆けて撮影し、放送したものだ。そうした「本質」に対して真摯に接し、徹底的に議論をして企画を丁寧に作るから、結果につながるのかもしれない。

 「お金をかけずに外食を楽しみたい」というニーズ

今回の「生こどもキャンペーン」も、そうした本質を大事にしている。

「調査では、12歳以下の子どもを持つ家族の約半数が、週に1回以上外食をしています。ただ、平均予算では7割近い方が『1人1000円未満』でした。つまり週末は、それほどお金をかけずに外食を楽しみたい、という方が多いことがわかったのです」(田中さん

しかし、さぬきうどんブランドは「安い、早い」というイメージが定着してしまっている。「食べたらすぐに店をでなければならない」と感じられているのでは、というのだ。

これを、今回のキャンペーンで変えたいという。はなまるではロードサイドの店舗を中心に、テーブルのゆったりできる席を増やしている。うどんの麺や天ぷらの油も、体にやさしいものに変えている。だから「子どもを連れてぜひ来店してほしい」という思いのようだ。

ただ、キャンペーンは成功ばかりではない。赤字になってしまったり、話題になっても売上が伸びないこともあるという。今回の「生こどもキャンペーン」はどのような結果をもたらすのか、見守りたいところだ。

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