今回は産後クライシスについて理解を深め、乗り越えるコツをご紹介します。


■産後クライシスについて知ろう!
産後クライシスは実際にどんなものなのでしょうか。うつ病との違いもご紹介します。




・産後クライシスってどんなものなの?

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産後クライシスとは、産後2〜3年の間に育児に関する夫婦間のすれ違いなどが要因となって夫婦間の愛情が急激に冷え込み、夫婦仲が悪化する現象のことを指します。この産後クライシスという言葉は2012年にNHKが提唱したもので、比較的近年になってから認知され始めた印象ですね。

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自分が産後クライシスに陥っているかどうかわからないという方向けに、インターネット上に産後クライシスチェックなどもあります。




・産後うつなどのうつ病とは違うの?

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うつ病は、過度なストレスなどから脳の機能障害が起こることで、気分が落ち込む、やる気が出ないなどの精神的症状や、不眠、疲れやすい、体がだるいなどといった身体的症状が現れる病気です。
また、産後うつも、うつ病と同じような症状が現れますが、出産に伴うホルモンバランスの変化や育児への不安なども原因となります。 このようにうつ病は心身に症状が現れ、薬や治療法もある病気ですが、産後クライシスは産後に夫婦仲が悪くなるという現象そのものにつけられた名前なんです。




・産後クライシスはいつからいつまで続くの?

基本的に産後クライシスは産後すぐから産後2〜3年ほどの間と言われますが、一概には言えません。ママは産後のホルモンバランスの乱れのせいでイライラしてしまい、それが原因で夫婦仲が悪くなり、産後クライシスに陥ることが多いようです。 そのホルモンバランスの乱れが落ち着いてくるのが産後半年ほど。
ホルモンバランスが落ち着いてくるとともにイライラすることが少なくなり、夫婦関係が改善に向かう夫婦もいれば、生涯に渡って夫婦関係に大きな溝を作ったまま産後クライシスが終わらないという夫婦もいます。また、産後クライシスがひどいと離婚に至ることもあります。




・産後クライシスに陥る夫婦の割合は?

産後クライシスは多くの夫婦が通る道です。産後すぐから産後3カ月以内に夫婦間の愛情の冷え込みを感じたことのあるママはなんと7割以上。
産後3カ月以上〜産後半年以内と答えたママの割合を含めると9割以上のママが夫婦間の愛情の冷え込み、すなわち産後クライシスを経験したことがあるそうです。


■産後は夫への愛情が減少してしまう

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産後、夫への愛情が減少してしまうという調査結果があります。2011年に行われたベネッセ教育総合研究所の調査によると、「夫といっしょにいると本当に愛していると実感する」と回答した妻の割合は妊娠中74.3%、子どもが0歳のとき45.5%、子どもが2歳のときには34.0%と減少していきます。
そしてそのまま減少し続ける傾向にあるんです。また、離婚率が最も高いのはこの愛情がどんどん減少していく子どもが2歳までの間。3〜5歳までの間に離婚した家庭も含めると全体の半数を超えているそうです。いかに産後の夫婦関係が大切かわかる数字となっています。

■産後クライシスの原因はさまざま
産後クライシスの原因となるママのイライラや不安。これらを知れば改善への糸口が見つかるかもしれません。




・妊娠中から産後にかけてのホルモンの急激な変化

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妊娠、出産によるホルモンバランスの乱れで、女性がイライラしてしまうというのはよく知られている話ですよね。女性は妊娠すると、お腹の中で赤ちゃんを育てるためのホルモンが分泌されます。
そしてそれらのホルモンは出産をすれば不要になり、急激にホルモンバランスが乱れてしまいます。このホルモンバランスの乱れによって、ママ本人も理由がよくわからないままにイライラしてしまうことが多いんです。




・まとまった睡眠が取れない産後の睡眠不足

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赤ちゃんが生まれて育児が始まると、ママは本当に睡眠時間の確保が大変ですよね。授乳や夜泣きの対応をし、寝ている間に家事をこなし、数時間ずつの細切れ睡眠しかできないことがほとんど。
育児中でなくても睡眠不足イライラの原因になりますが、夫が手伝ってくれないならなおさら。同じ親なのになんで自分だけ…と夫へのイライラが積もっていきます。




・子育てへの不安から精神的に不安定な状態に

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子育ては誰でも不安がつきまとうもの。特に第1子となると、何もかも手探りで不安な毎日ですよね。そんな不安を夫にぶつけても理解してもらえなければ、さらにイライラの原因になります。
だからといって相談することすら諦めてしまえばさらに夫婦の溝は深まってしまいます。ママは約10カ月の間、お腹の中で赤ちゃんを育てていたとはいえ、生まれてからの子育てのスタートはパパもママも同じだということを、パパにもしっかりと認識してもらうことが大切です。




・疲労や痛みも続く産後の体の不調

妊娠、出産は本当に命がけの大仕事です。赤ちゃんを産めば体が妊娠前に戻るわけではありません。悪露と呼ばれる出血も続きますし、会陰切開や帝王切開の傷の痛みも続きます。
骨盤もグラグラしている状態で休む間もない日々の育児、家事に追われて心身ともにボロボロな状態。そんな状態なのに、労う素振りもない夫であれば不満も溜まってしまいますよね。




・産後は子ども中心の生活に急変!

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ママの日常は産後すぐに子ども中心の生活へと急激に変化します。何をするにも子ども優先で、自分のことはもちろん、夫のことは二の次です。夫はそんな妻に対して自分に構ってくれない、冷たいと感じ、すれ違いが生じることも。




・子どもが生まれても夫の生活は何も変わらない

ママは妊娠、出産によって生活に大きな変化が訪れますが、さほど生活に変化のないパパも少なくはないと思います。いつも通り仕事に行き、帰宅し、家にいても家事も育児も妻に任せっきりだったり、変わらずに趣味を楽しんでいたり。
家にいるときくらい何か手伝ってほしい妻と、何をやればいいかわからないし、家でくらい休ませてほしいという夫。お互いにイライラする状況が生まれてしまいます。




・育児は妻に頼りっぱなしの夫

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ミルクじゃないの?」「うんちしてるよ」「泣いてるよ」と、なんでもママを呼んで自分では何もしないパパにはうんざりしますよね。ママだって育児は初めてだらけ。第2子以降だろうと上の子と同じようにはいかないものです。
少しくらい自分で考えて協力してほしいと思ってイライラしてしまうでしょうが、まずはやり方をレクチャーし、役割分担をすることから始めてみましょう。妊娠中から知識の共有をしておくことも大切です。

■パパができる産後クライシスへの対処法

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産後の妻はずっとイライラしていて接し方がわからない、自分までイライラしてしまう、というパパも多いのではないでしょうか。しかし、急に変わってしまった妻が悪いと責めたり、極力関わらないようにしたりするのはNG。
ママは毎日不安を抱えながら家事や育児を必死にこなしているのです。イライラしているのも、そういうものだと受け入れて積極的にコミュニケーションをとり、歩み寄ってください。
2人の子どもですから「手伝う」ではなく「自らやる」という意識を持つことも大切です。オムツ替え、寝かしつけ、ゴミ出し、洗濯物…なんでもいいので自分にできることを探して自主的に協力していきましょう!


■ママができる産後クライシスへの対処法

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不安を抱え、イライラしてしまうことは仕方のないことです。自分を責める必要はありません。辛いときは積極的にパパを頼りましょう。協力してくれてもやり方が違っていてイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、まずは感謝の気持ちを伝えることが大切です。
不満や不安はパパでなくても、両親や友人、自治体の相談窓口でもいいので、誰かに相談してみてくださいね。

■産後クライシスを乗り越えることで絆が深まる!
産後クライシスを乗り越えるには、夫婦でしっかりとコミュニケーションをとることが大切です。不安や不満を打ち明け、協力して育児や家事をこなすことでお互いが頼れる存在になっていきます。
産後クライシスという夫婦の危機を乗り越えることで、この先何か問題が起きても、お互いを頼って協力し合いながら解決していけるような絆が生まれるはずですよ。


■産後クライシスは愛情を深めるチャンス!

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育児が始まれば、ママは子どものことで頭がいっぱいになりますが、夫婦共にお互いの存在にも目を向け、協力し合える関係を築いていけるといいですね。産後クライシスをいっしょに乗り越えることは、夫婦間の愛情を深めるチャンスにもなりますよ。
ただ、産後クライシスは夫婦の問題ではありますが、夫婦だけでは解決できないこともあると思います。悩んだ時や辛いときは、自分の周りの信頼できる人に相談してみてくださいね。
(mamagirl
掲載:M-ON! Press