京都市にある金属会社に勤務していた男性が8月13日パワハラや長時間労働による精神疾患で休業したことによる損害など計約1300万円を求め、京都地裁に提訴した。男性の代理人弁護士明らかにした。

労災申請はすでに行っており、京都下労働基準監督署では認められなかったが、不服申立て(審査請求)の結果、京都労働局で業務に起因するものとして労災と認められた。

男性の代理人をつとめる塩見卓也弁護士は、「交渉段階で会社側は未払い賃金や損害賠償の請求を拒否したが、会社の安全配慮義務違反は明らか。裁判でその責任を追及したい」と話した。

上司によるパワハラで精神面が悪化

男性は1993年から会社の工場で勤務し、スクラップを集める運転業務のほか、工場内での業務にも従事していた。

塩見弁護士によれば、会社では長時間労働が常態化しており、改善傾向にはあったものの「過労死ライン」と呼ばれる月80時間や月100時間を超える時間外労働も珍しくはなかったという。

そんな中、2015年9月、「お客さんにアゴで指図した」ことなどを理由として、5時間以上にわたり、会社の管理職8人が男性を取り囲み叱責するというできごとがあった。

もっとも、男性は、自身の運転する車を誘導している上司に対し、上司からは見えていない客の存在を知らせるためにアイコンタクト程度の意識で顔を動かして合図したつもりだったという。しかし、反論を許してはもらえなかった。

男性が取り囲まれた際の状況は、ボイスレコーダーで全て録音されているといい、塩見弁護士は、「何度も大声を出し、個人攻撃や退職を促すような発言が記録されており、明らかパワハラ」と話す。

このパワハラを契機に、男性は精神面の調子が悪化。労働局でも認定された「適応障害」となった。

「男性は、体力的に少々しんどいと思うような状況でも、働き続けることに誇りを持っていたところ、上司のパワハラを受け、しんどくても耐えていたところが一気に崩れてしまったのではないでしょうか」(塩見弁護士

通勤に片道2時間半以上かかる工場への転勤命令も

さらに男性は2016年2月、通勤に片道2時間半以上かかる工場への転勤を命じられた。

転勤命令の翌日、男性は寝床から起き上がれなくなるなど体調がさらに悪化し、その日以降会社で就労できない状態に。有給休暇の使用後は欠勤扱いとなり、2017年3月、休職期間満了退職扱いとなった。

男性はなんとか就労できる程度に回復し、別の会社で働いているという。

今回の裁判では、転勤命令の翌日の就労できなくなった日から別の会社で働き始めた日までの間発生した、労災保険では補填されない分の休業損害などを請求する。

「精神状態の不安定さから家族関係の維持も困難になり、献身的に動いてくれていた元配偶者とも離婚するなど、とてもつらい目にあっています。

会社は現在もパワハラがあったことを認めていないが、男性の精神障害について、会社の安全配慮義務違反があったことは明らか。裁判でその責任を明らかにします」(塩見弁護士

管理職8人から5時間超の「パワハラ説教」で労災認定 被害男性が会社提訴