みなさんは、パートナーの収入額や貯蓄額を把握しているでしょうか? 筆者の知人の60代の女性は、「結婚して40年になるけど、一度も収入額を教えてもらったことがない」といいます。

収入額だけでなくボーナスの金額も貯蓄額も知らない、最近夫婦ともに年金生活に入ったものの、年金額もわからないそうです。さらには、支払いに関してもすべてパートナーが管理しているため、毎月食費や日用品代として受け取る金額以外の支出額も何となくしか把握していないとのこと。

「収支も貯金もわからないのは不安だと何度も訴えたけれど、詳しくは教えてもらえないしお金に困ったことはないから諦めている」とこぼしていました。

そんなことがあるのかと驚いたのですが、実はパートナーに正確な収入額や貯金額を教えていない人は意外に多いようです。

パートナーへの隠し事No.1はお金関係

今年6月に松井証券株式会社が公表した「夫婦の家計管理事情に関する調査」によると、全体の約4割の人がパートナーに何らかの隠し事があると回答しています。隠し事の内容と割合は以下の通りです。

  • お金関係:20 .9%

  • 恋愛関係:9.5%

  • 趣味関係:7.5%

  • 仕事関係:3.6%

  • 病気関係:1.8%

  • 親戚関係:1.8%

  • その他:0.3%

隠し事の内容はさまざまですが、お金関係の隠し事をしている人が突出して多いという結果が出ています。

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パートナーにも正確な所得額や貯蓄額はヒミツ!

「自分はちゃんと収入や貯蓄額を知っている」「夫婦の間に隠し事はない」と思っている人も、油断は禁物です。前述のアンケートによると、所得額についてパートナーと共有していない人が25.4%いるほか、「曖昧にサバを読んでいる」という人が12.5%もいます。

パートナーの収入証明書や確定申告書を見せてもらっている人であれば、正確な所得額を把握することもできますが、給与明細だけ見ている場合には、もしパートナーに給与以外の収入があっても気が付きません。

そして貯蓄額になると、パートナーと共有していない人が32.6%、曖昧にサバを読んでいる人が20.6%と、さらに「サバ読み夫婦」の割合が増えています。貯蓄額については、独身時代の口座やパートナーが見ることがない場所にこっそり貯めるなどしていたら、知りようがありませんからね。

このような夫婦に対し、サバを読んでいる金額について聞いたところ、所得額は3~5万円程度、貯蓄額は50~100万円程度のようです。それなりにまとまった金額なのですが、どうしてパートナーに隠すのでしょうか。

自由でいたい? お金の話をヒミツにする理由

先程のアンケートでは、パートナーに所得額や貯蓄額をヒミツにする理由については触れられておらず、他にこれといったアンケート調査も見当たりませんでした。

そこで、筆者が知人に話を聞いたりネットで調べてみたところ、所得額や貯蓄額をヒミツにする理由として以下のような答えが多く見られました。

  • 少しくらい自分の自由になるお金が欲しい

  • 実は収入が少ないので恥ずかしい

  • 高収入であることを知って相手が変わるのが怖い

上記の中でも1番多かったのは、「自由になるお金が欲しい」という理由です。趣味に使いたい、飲み代が欲しいという人もいれば、「こっそり実家に仕送りしている」という人もおり、使い道はさまざまでした。

「万が一離婚するとなったときに先立つものがないと困るから、独身時代に貯めた貯金の一部を隠している」という人も。また、高収入の女性で、過去にパートナーに「自分より稼いでいてプライドが傷ついた」と嫌がらせをされて別れたので、今回はヒミツにしているという人もいました。

あくまで筆者の調べた限りではありますが、パートナーにサバ読みをしている人の中には、隠すなりの理由がある人もいるようです。

お金関係の話をヒミツにするデメリット

お金についての考え方は人それぞれですし、家庭ごとのルールもあるので、一概に良し悪しが決められるものではありません。しかし、お互いに納得しているのであれば良いのですが、収入や貯蓄額を共有したいというパートナーに対して頑なにヒミツにしたり、ごまかしたりしていると、パートナーとの関係が悪くなることもあるでしょう。

また、「収入額や貯蓄額は知らないけど、ちゃんと管理しているだろう」と思っていたら、まったく貯蓄できていなかったり、多額の借金を作っていたりといったトラブルが起こる可能性もあります。

実際に筆者の周りでも「頑なに収入を隠すので信用できなくなった」「お金関係のトラブルで離婚した」という人がいたので、本当に今のスタンスでお互いが納得しているのかどうかを、あらためて夫婦で話し合ってみるのが良さそうですね。

おわりに

知人の女性の話を聞いたときには驚きましたが、調べてみると意外に収入や貯蓄についてパートナーと共有していない人が多いことがわかりました。

もちろん、人それぞれの考え方があるので、夫婦だから何でも共有するべきだとはいいません。しかし、お金の話は後々大きなトラブルに発展することがあります。

最低限、毎月何にいくらかかっているのか、貯蓄がどれくらいあるのか、生命保険や医療保険はどうなっているのか程度は、共有しておいたほうが安心かもしれません。

【参考】「夫婦の家計管理事情に関する調査」(松井証券株式会社調べ)