新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、経済、そして私たちの日常生活に大きな影響を与えています。帰省の自粛、学校の夏休み短縮など、これまで過ごしてきた夏との違いに、大人も子どもも戸惑っている、というご家庭も多いでしょう。
家計にもさまざまな変化が表れているようです。未だ外出自粛ムードが漂うこの夏、各家庭はどのようなお金の使い道を予定しているのでしょうか。調査データをもとに、詳しくみていきましょう。
夏休みの予算は過去最低に
明治安田生命保険相互会社は、2020年7月に「夏に関するアンケート調査」を公開しました。この調査は、全国の20~50代の1120人(一部の設問のみ20~70代の1680人)を対象に、インターネット上で実施したものです。調査の結果、「夏休みに使う金額」に対する回答は以下の通りとなりました。(カッコ内は昨年の金額)
【夏休みに使う金額】(20~50代)
ご覧のように、今年は昨年より全体で3000円近く下回った金額となりました。また、男女別でみると、女性は昨年とほとんど変わらない一方、男性は昨年より6000円近くも減少しています。
この理由の1つとして、昨年(2019年)の女性の落ち込み幅が大きく、すでに限界まで家計を切り詰めていたであろう、という点が挙げられます(2018年は9万755円)。それにより、やむを得ず夫のお小遣いの減額に着手した家庭が少なくないのではないかと考えられます。
そして今年の数字は、2006年の調査開始以来、過去最低となりました。最も高かった2015年の8万9296円(全体)と比べると、2万4139円も下回っています。このことからも、各家庭の経済状況は、かなり厳しいものであるといえるでしょう。
予算削減の背景には「ボーナスの減少」も
続いては、夏休みの予算が削減された背景を探っていきます。「夏休みに使うお金は、いつもボーナスを充てている」という家庭も多いのではないでしょうか。ここで、先ほどの調査のうち「夏のボーナスについて」の質問に対する回答をみてみましょう。
【夏のボーナスについて】(20~50代)
増える予定…3.0%
減る予定…24.3%
変わらない予定…40.4%
もともとボーナスはない…32.2%
このように、昨年よりボーナスが「増える予定」と回答した人は全体の3.0%という結果に。そして、24.3%が「減る予定」と回答しています。昨年の8.6%に比べると、ボーナスが減る予定の家庭が増えていると判断できます。夏休みの予算削減の背景には、このような事情も関与しているのでしょう。
実際のところ、「コロナの影響で勤務先の経営状況が悪化し、全社員のボーナスが一律カットされた」「飲食店に勤務している夫のボーナスが大幅にダウンした」という声も。夏休みに従来通りのお金をかけられない家庭が多いのも、無理はないのかもしれません。
帰省の中止で、お盆玉を「渡す予定」の人が半減
今年の夏休みは予算を削減するだけでなく、帰省を自粛する家庭も多く見受けられます。それに伴い、お盆シーズンに孫や親戚の子に渡す「お盆玉」事情にも変化が表れているようです。先ほどの調査の結果、お盆玉に関する回答は以下の通りとなりました。(カッコ内は昨年の金額)
「お盆玉」を渡す予定の有無(20~70代)
渡す予定がある…6.4%(12.2%)
渡す予定はない…79.4%(66.9%)
わからない…14.2%(20.9%)
このように、お盆玉を「渡す予定がある」と回答した割合は、昨年の12.2%から6.4%と半減しています。
お正月のお年玉と同様、専用のポチ袋が店頭に並ぶほど新しい習慣として浸透し始めている「お盆玉」。しかし、今年は帰省自体を自粛するために、渡す機会すらない、というケースが多いようです。さらに、COVID-19の感染拡大状況によっては、年末年始にも話題となる可能性も否めません。
今年の夏休みはお金をかけず、親戚や家族間同士のお盆玉のやりとりも行なわない家庭の多さがうかがえました。その背景には、COVID-19による外出自粛だけでなく、「ボーナスの減少」も大きく影響していることが考えられますね。
このような状況の終わりが見えない今、外出だけでなく出費そのものをガマンすべきだと考えている家庭が多いのかもしれません。
お金の使い方に大きな変化が見られる、2020年の夏。各家庭では、限られた予算内で、楽しく健康的に夏休みを過ごすアイデアが求められそうです。
【参考】
「夏に関するアンケート調査」明治安田生命保険相互会社
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