都市部の列車では、区間や時間を指定して女性専用車両が設定されますが、京阪電車には女学生と児童を優先した車両が存在します。どのようなものでしょうか。列車には優先であることを表す標識板が掲出されます。

淀屋橋7時37分発 区間急行樟葉行きの1本のみ

都市部の鉄道では女性専用車両を見かけることも多く、その名の通り「女性」のための専用エリアとなっていることは広く知られているでしょう。しかし、さらに限定した「女学生」のための列車が運行されています。

列車を運行しているのは京阪電車です。淀屋橋駅大阪市中央区)を午前7時37分に発車する上り区間急行樟葉行きの1本のみですが、学校で授業が行われる期間に運行されます。なんとも珍しい「後部2両 女学生・児童優先」という標識板が車両に掲げられます。

実はこの列車の「女学生・児童」とは、途中の香里園駅大阪府寝屋川市)が最寄りの香里ヌヴェール学院に通う小中高生を指すとのこと。この学校は共学ですが、2017年までは大阪聖母女学院という女子校だったため、その名残を受けて今もなお、この標識板が利用されています。また、かつては「優先」ではなく「専用」車両として運行されており、学生登校時の指定列車になっていたといいます。ちなみに戦前には阪急電鉄で「神戸女学院・貸切車」も運行されていたという記録もあります。

京阪電車では2002(平成14)年より、平日朝ラッシュの特急に女性専用車が導入されています。専用車ではない「後部2両 女学生・児童優先」を、どれだけの人が気にかけているかは分かりません。女性専用車両については賛否両論ありますが、児童優先に関しては、多くの人で混雑する朝ラッシュ時は安全で良いかもしれません。

京阪電車の8000系電車(2017年5月、恵 知仁撮影)。