日本と東南アジアを結ぶエアアジアXや日本とオーストラリアを結ぶジェットスターなどの国際線ではもちろんのこと、国内線でも関西空港を拠点とするピーチのほか、エアアジア・ジャパンジェットスター・ジャパンスカイマークなどのLCC(ローコストキャリア=格安航空会社)が定着してきて、今後ますます路線を拡大していきそうだ。

 LCCの就航路線拡大によって航空券の価格が下がり、手軽に旅行を楽しめるようになったが、問題なのがLCCの運航スケジュールの不安定さだ。

 機内サービスを最低限に抑えるだけでなく、到着から次の便の出発までの時間を短縮し、運航本数を増やして運用効率を高めることで低価格を実現しているLCCのビジネスモデルでは、どこかで遅延が生じると、その後の便にも影響が出てしまい、結果、遅延することも珍しくない。

遅延が多いLCCに搭乗する際に役立つのが
空港ラウンジが無料で使える「プライオリティ・パス」!

 そんなLCC時代に価値が高まりつつあるのが「プライオリティ・パス」だ。

「大手の航空会社のマイレージ・サービスの上級会員であれば、航空券を持っていれば空港のラウンジを利用できたんですが、LCCが普及して大手航空会社よりも安くチケットを買えるようになって、LCCで旅行することが増えてくると空港でラウンジを利用しづらくなりました。国内ならゴールドやプラチナのクレジットカード保有者はカード会社の提携ラウンジを使えますが、海外ではそうもいかない。それを補える『プライオリティ・パス』の必要性が高まっていると思います」と語るのは、航空・旅行アナリストで、帝京大学で「現代航空産業研究」の講師を務める鳥海高太朗さん。

「プライオリティ・パス」とは、世界300都市以上の600カ所を超える空港のVIPラウンジが利用できる独立系の空港ラウンジプログラム。

 確かに、通常、クレジットカードのゴールド、プラチナ保有者であれば日本国内の空港のラウンジを利用できるケースが多いが、海外の空港ではラウンジを利用することは難しい。

 また、飛行機に乗ることが多く、大手航空会社のマイレージ・サービス(マイレージ・プログラム)の上級会員であれば、空港のラウンジを利用できるが、その前提は「その航空会社での搭乗便が確定している」こと。つまり、LCCで旅行に行く際には、いくら大手航空会社のマイレージ・サービス上級会員でもラウンジは利用できなくなるのだ。

 ところが、「プライオリティ・パス」を持っていれば、利用する航空会社がLCCでも問題なく空港のラウンジが利用できる。

 乗り継ぎ時間のタイミングが合わなかったり、運航時間の遅れが生じることが多かたりして空港での待ち時間が長くなる傾向があるLCCを利用する場合、軽食が食べられたり、Wi-Fiなども無料で利用できたりする空港のラウンジを利用できるのは、遅延が生じることが多いLCCを利用する機会が増えてくると、とても利用価値が高いサービスになってくるというわけだ。

「プライオリティ・パス」の年会費399米ドルが
無料になるクレジットカードがあった!

 しかし、「プライオリティ・パス」を手に入れるには高額の年会費を支払う必要がある。「プライオリティ・パス」の年会費は1年間に利用できる回数などによって下記のように3段階に分かれている。

会員ランク 年会費 ラウンジ利用料金
スタンダード会員 99米ドル
(約1万円)
1回につき
27米ドル(約2700円)
スタンダード・プラス会員 249米ドル
(約2万5000円)
年間10回まで無料。
11回目以降は1回につき27米ドル
プレステージ会員 399米ドル
(約4万円)
年間何度でも無料で利用可能

年会費399米ドルの「プレステージ会員」になれば、年間何度でも無料で空港のVIPラウンジが利用できる!

「スタンダード会員」の場合、年会費は99米ドル(1米ドル=100円換算で9900円)ともっとも安く設定されているが、1回利用するのに27米ドル(2700円)が必要。一方、年会費399米ドル(3万9900円)の「プレステージ会員」なら1年に何度でも無料でラウンジを利用できるようになっている。

 とはいえ、仕事で定期的に海外に行くことでもない限り、約4万円の年会費を支払って「プライオリティ・パス」の会員になるのはハードルが高い。

 そんなときに便利なのが、年に何度でも無料で空港のラウンジが利用できる「プライオリティ・パス」の「プレステージ会員」資格をカード保有者へのサービスとして提供しているクレジットカードだ。

 どれもステイタスが高い「プラチナ」クラスのクレジットカードになるが、なかにはクレジットカードの年会費が「プライオリティ・パス」の年会費(約4万円)よりも安いカードが存在するのだ!

 「クレジットカードの年会費」が「プライオリティ・パスの年会費」よりも安い、主なクレジットカードは下記の3枚。

年会費
(税抜)
国際ブランド 家族カード
(税抜)
国内旅行傷害保険 海外旅行傷害保険 カードフェイス
【カード名】楽天プレミアムカード
1万円 あり
(年会費5000円)
最高5000万円
(自動付帯)
最高5000万円
(自動付帯)
【カード名】セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
2万円 あり
(年会費3000円)
最高5000万円
(自動付帯)
最高1億円
(自動付帯)
【カード名】MUFGカード・プラチナアメリカン・エキスプレス・カード
2万円 あり
(年会費無料)
最高5000万円
(自動付帯)
最高1億円
(5000万円は自動付帯)

 いずれも「プラチナ」クラスのカードになるが、一般的な「プラチナ」クラスのカードが招待制なのに対し、上記の3枚のカードは申込制。しかも、「プライオリティ・パス」の年会費399米ドルよりも、カード年会費のほうが安いというお得なカードだ。

わずか1万円の年会費で「プラチナ」クラスの
サービスが受けれられる「楽天プレミアムカード」

 特に「楽天プレミアムカード」は年会費が1万円(税抜)と最も安く、付帯サービスも充実しているのでおすすめだ。

■楽天プレミアムカード
還元率 1.0~5.0%
発行元 楽天カード
国際ブランド VISA、Master、JCB
年会費(税抜) 1万円
家族カード あり(年5000円、税抜)
ポイント付与対象の
電子マネー
モバイルSuicaICOCA
nanacoJCBのみ)、
楽天Edy(還元率0.5%)

 国内・海外ともに旅行傷害保険は自動付帯で、最高額は5000万円。年に2~3回、海外旅行に行く人なら保険だけで年会費のモトが取れる。

 そのうえ、国内の21の主要な空港でもラウンジが使え、「プライオリティ・パス」で海外の空港のVIPラウンジも利用できるのだからお得だ。

 さらに、例えば成田国際空港中部国際空港関西国際空港の3空港からの帰路では自宅やホテルに手荷物1つを無料で届けてくれるサービス(年2回まで)など、他の「プラチナ」カードと同レベルの充実した付帯サービスも年会費1万500円で受けられるのが「楽天プレミアムカード」の魅力。

 もちろん、「楽天プレミアムカード」利用額に1%の「楽天スーパーポイント」が付与されるほか、誕生日月に「楽天市場」を利用するとポイント3倍、毎週末の「楽天カード感謝デー」でもポイント3倍になるなど、「楽天スーパーポイント」がざくざく貯まる。

「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」で
「JALマイル」を貯めるコースを選べば還元率1.5%超に!

「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」と「MUFGカード・プラチナアメリカン・エキスプレス・カード」はともに年会費が2万円(税抜)だが、海外旅行傷害保険の最高補償額を比較すると「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」のほうが補償額が高く設定されている。

■セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
還元率 0.5%
発行元 レディセゾン
国際ブランド AMEX
年会費(税抜) 2万円
家族カード あり(年3000円、税抜)
ポイント付与対象の
電子マネー
モバイルSuicaICOCA

※1 「1マイル=1.5円」換算で計算した還元率

 また、「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」では、「SAISON MILE CLUB」に登録すると「1000円=10マイル」の「JALマイル」を貯められるのに加え、「2000円=1ポイント」の「永久不滅ポイント」も貯まる。

「永久不滅ポイント」は「JALマイル」にも交換可能(200ポイント=500マイル)なので、
①「SAISON MILE CLUB」登録分で「1000円=10マイル」
②「永久不滅ポイント」が「1000円=0.5ポイント=1.25マイル」
合計すると「1000円=11.25マイル=16.87円」(1マイル=1.5円換算)となり、実に還元率1.687%という高還元率のクレジットカードになる点も見逃せない。そのほか、「プラチナ」ならではの充実したサービスも受けられる。

 一方、「MUFGカード・プラチナアメリカン・エキスプレス・カード」は家族カードを年会費無料(1人目。2人目以降は3000円(税抜))でつくることができるので、家族でポイント(このカードの場合は「楽天スーパーポイント」や「JALマイル」などに交換可能な「グローバルポイント」)を集約することもできる。

 また、「MUFGカード・・プラチナアメリカン・エキスプレス・カード」なら、家族カードの会員でも「プライオリティ・パス」を発行してもらえるので、海外旅行によく行く夫婦、家族なら格安で海外の空港のラウンジが使えるというメリットもある。

MUFGカード・プラチナアメリカン・エキスプレス・カード
還元率 0.5%
発行元 三菱UFJニコス
国際ブランド AMEX
年会費(税抜) 2万円
家族カード あり(1人目無料、2人目以降は年3000円、税抜)
ポイント付与対象の
電子マネー

 どのクレジットカードでも「プライオリティ・パス」は1年ごとの更新になるので、期限が切れる前に申し込むのを忘れないようにしよう。

 2020年の東京オリンピック開催も決まり、今後はLCCの路線がさらに拡大することも考えられる。LCC時代の本格的な到来を前に、「プライオリティ・パス」が無料でもらえるお得なクレジットカードを検討してみよう!

「プライオリティ・パス」の実物。これさえあれば、世界600カ所以上の空港のラウンジが使い放題!