近年の少女マンガの一つの傾向に、メイクおしゃれを指南してくれる、まるでシンデレラに魔法をかけてくれる“魔法使い系男子”(筆者が勝手に命名)がキーとなるお話がある。例えば、水沢めぐみの『キラキラ100%』はその先駆け的な作品だったし、東村アキコの『海月姫』も代表的な例だ。

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 背景には、美容やおしゃれに気を使う男性が市民権を得てきたことは大きいが、読者が理想とする幸せの形も変化したのだろう。「そのままの君がいいよ」と受け入れてくれる王子様ではなく、「そのままではダメだ」と叱り、ダイレクトに美しく変身させてくれる魔法使いのほうが、自らをより高めたいと願う現代女性においては、憧れの存在なのかもしれない。

 『マーガレット』で連載中の『マイルビッチ』(佐藤ざくり)もそうした一つだ。同級生たちから「毒キノコ」とあだ名をつけられるほど地味でパッとしない女子高生のまいるが、メイクアップアーティストを目指す学校一の美男子・天佑との出会いによって、メイクおしゃれに目覚め、理想の恋人を求めて悪戦苦闘する物語だ。主人公の変身ぶりが爽快であるとともに、陰ながら支える天佑の存在がなんとも羨ましい! また、少女マンガながら彼氏がコロコロ変わる展開は、往年の名作『ハッピーマニア』をも彷彿させる。しばしば、“魔法使い系男子”は、主人公とは結ばれないのが宿命だが、本作はどうなるのか? 楽しみだ。

文=倉持佳代子
ダ・ヴィンチ11月号「出版ニュースクリップ」より)

『マイルノビッチ』(佐藤ざくり/集英社)