マイナビウーマンで結構な数の「仕事にまつわる記事」を書いていますが、その中でもコミュニケーション関連の記事は多いです。ど直球で「コミュニケーション能力とは? 」という記事も書きました。

「依頼が多い=悩んでいる人が多い」という図式です。ビジネス曖昧語ながら「コミュニケーション能力」は、それだけ重視されているのでしょう。

特に「伝え方」は、報告・プレゼンテーション・商談・調整・日々の会話など多くの場面でその人の見え方に直結するため、上手な伝え方を身に付けたいものですね。

■仕事において「伝え方」が大事な5つの理由

「コミュニケーションが大事」「伝え方が重要だ」。ありふれた言葉ですが、ありふれるほど重要なことともいえます。なぜ、仕事において伝え方が重視されるのでしょうか。

◇(1)自分の意図が正確に伝わる

「上手な伝え方」というと、柔らかいニュアンスや人と衝突せずにやり過ごすなどの受動的な印象を受けませんか? しかし「伝え方」を考える上で最も重要なことは、「自分が伝えたいことが、齟齬なく相手に伝わるか」です。

回りくどい言い方や、結論が分からずに議論がまとまらないなどの「無駄」を省くためにも上手な伝え方が重要なのです。

◇(2)不要なもめ事を生まない

「言い方が悪い」といった批判は本質的ではありませんが、同じメッセージを発していても伝え方によって衝突が発生することはあります。自分の伝えたいことが上手に伝えられると、意図しないもめ事を避けることができます。

◇(3)スムーズに仕事が進められる

「上手な伝え方」とは相手にとって心地良いコミュニケーションであるともいえます。

理解力が乏しい、重箱の隅をつつくようなことばかり言ってくる……などの厄介な相手にも心地良いコミュニケーションを提供することで、スムーズに仕事を進めることができます。

◇(4)信頼・信用を引き出せる

「伝え方が上手い」と意思疎通がスムーズになるだけでなく、相手から見て「分かりやすく話してくれる人」になります。それが信頼につながり、信用される人間になれます。

◇(5)相手のモチベーションを下げない

「宿題やりなさい!」「今やろうと思ったのに!」論争は家庭内での言い方問題の代表例ですが、「やってほしいこと」をそのまま伝えた結果「期待している行動」につながらないことはよくあります。

伝え方が上手であれば、相手のモチベーションを下げず、むしろ上げる形でのコミュニケーションが取れます。

■仕事で使える上手な伝え方

伝え方の重要性は前述の通りですが、「上手な伝え方」とは具体的にはどんなものでしょうか。

◇(1)話のゴールと方向性を示す

「何を話すか」を事前に共有した上で話すと、相手は受け取りやすくなります。会議でアジェンダを最初に示すのは「今日はこの道筋で話すので理解してね、聞いてね」という共通認識を作るためです。

その道筋通りに話し、同じ方向を向けているかを考えながら話すことで伝えたいことが齟齬なく伝わります。

◇(2)結論から話し、後から詳細を説明する

いきなり詳細から説明する人は意外と多いです。「自分がやったこと」をアピールしたくなるのは人のサガですが、本当に伝えたいことは「やった上で出た結論」のはずです。

最初から結論を話すのは少し気後れしますが、伝わりやすさを考えると初めに結論を言い、その後必要であれば詳細を伝えるようにしましょう。

◇(3)無駄に「いただく」を使わない

きちんと話そうとして回りくどい表現や妙な敬語を使う人は多いです。その代表が「いただく」の多用です。

「〇〇を××していただくためにご承認いただく機会をいただいてありがとうございます」。

上記の例文では短い文章の中に3回「いただく」が入っていますが、このように過剰に「いただく」を使ってしまう人は珍しくありません。

ぶっちゃけ分かりにくい上に、ばかっぽいので癖になっている人は直しましょう。メールも同様です。

◇(4)つなぎ言葉や、周りくどい表現を避ける

(3)と関連しますが、使いがちな言葉として以下があります。

・~に関して
・~の方から
・~といたしましては
・~として、~こととして
・けど、ちょっと

私自身も使ってしまうことがありますが、意識して排除すると伝えたいことが鮮明になります。日本語は文章を無意味に長くするのが容易な言語です。気を抜くと「丁寧に話す」ことが「無駄な文字数を話す」ことにすり替わっていることもあるので注意しましょう。

■伝え下手でも上手になれる4つのコツ

伝え方が上手い人がいれば、もちろん下手な人もいます。しかし、ビジネスでは求められる型があるため、下手な人でもトレーニング次第で伝え方が上手になります。ここからは、すぐに実践できる伝え方のコツについてお伝えします。

◇(1)言いたいことを一言で伝える練習をする

「要するに〇〇だ」という〇〇部分を伝える練習です。これは訓練するほどスキルが上がります。伝わりやすく話すということは、自分の言いたいことがメッセージ化できているか? にかかっています。

話している相手から「何が言いたいのか分からない」と言われることがありますが、「要するに〇〇」の〇〇に入る言葉を、伝える側がちゃんと理解できていないのが原因です。
「よく分からない」と言われた時に一言で「つまり、〇〇です」と返せるかどうかは日々の訓練と、伝えたいことをしっかりと考え抜いたか? にかかっています。

◇(2)伝わる言葉に置き換える

専門性が高い説明において、相手が同等の知識を持っていない場合は「伝わる言葉に置き換える」ことが非常に重要です。技術者の説明が専門用語のオンパレードでよく分からなかった……などはありがちな「伝え方」のミスといえます。

もちろん、受け手側の勉強不足はありますが、相手の知識レベルに合わせた言葉を選択すると伝わるハードルはぐっと下がります。

◇(3)事実・要望・相談を分ける

伝え下手な人は、事実・要望・相談が曖昧かつ混線しやすいです。自分が何を伝えたいのか、どのカテゴリの話をしているのかを意識し、整理して話しましょう。

◇(4)聞き手の気持ちに共感する

相手の表情や態度を観察する癖を付けましょう。相手の気持ちに共感する習慣を付けることで、状況に合った話をすることができます。

自分が話したいことだけを話さない、興味が無い態度の相手にレジュメの目次通りの説明をしないなど、状況に応じた話の切り出しができると「伝え上手」への道が開けます。

「上手な伝え方」は訓練で身に付く!

プレゼンやメール・チャット・日常会話など、仕事上のコミュニケーションは、口頭・文面のどちらでも「伝え方」に依存します。同じことを言いたくても、伝え方の上手さで結果に雲泥の差が出るのです。

日常的な会話力は明るい人柄や快活なコミュニケーションが取れるかなどの要素が大きく、一朝一夕で身に付くものではありません。しかし、ビジネスコミュニケーションスキルは訓練次第で向上させることができます。

伝えたいことを明確にして、情報量を絞り、短くシンプルな言葉で伝える点にフォーカスすれば、結果につながりますよ。頑張ってください。

ぱぴこ

※画像はイメージです

人間関係を円滑にする4つの伝え方