さらに、HVのパワーユニットを比較すると、意外にもハリアーの方が、モーター出力が大きくなっている。オフロード走行を行うRAV4の性格とは違っているようにみえる。

【前回は】都会派トヨタ・ハリアー&アウトドア派トヨタ・RAV4 その差は深い? どっちがいい? (1)

 しかし、RAV4パワーユニットの方がエンジンのトルクが低回転でフラットに発生しており、エンジンの低回転出力に頼っているようだ。これは、ランドクルーザーのような「道なき道」を行くのではなく、ある程度のラフロードを、ある程度のスピードで連続して駆け抜ける特性を示しているように見える。つまりクロスオーバーSUVの性格と言えよう。

 一方、ハリアーは街中の操作性に使いやすさを主に考えているのであろう。ギア比との関係で断言はできないが、駐車などでは扱いやすく出来ている。つまり「都会派」なのだ。

トヨタ・ハリアー HVパワーユニット

 エンジン排気量cc: 2.493

 最高出力〈ネット〉kW(PS)/r.p.m: 112(152)/5,700

 最大トルク〈ネット〉N・m(kgf・m)/r.p.m: 206(21.0)/4,400~4,800

 モーター

  

   最高出力kW(PS): 105143

   最大トルクN・m(kgf・m): 270(27.5)

  

   最高出力kW(PS): 50(68)

   最大トルクN・m(kgf・m): 139(14.2)

トヨタ・RAV4  HVパワーユニット

 エンジン排気量cc: 2.487

 最高出力〈ネット〉kW(PS)/r.p.m: 131178)/5,700

 最大トルク〈ネット〉N・m(kgf・m)/r.p.m: 221(22.5)/3,600~5,200

 モーター

  

   最高出力kW(PS): 88(120)

   最大トルクN・m(kgf・m): 202(20.6)

  

   最高出力kW(PS): 40(54)

   最大トルクN・m(kgf・m): 121(12.3)

 これらの性格付けを行って、市場では別の車両として認識できるレベルでありながら、製造ラインでは「同一の車両」として扱えることの凄さが感じられる。ここまで来るには、設計からサプライヤーを含めての統一した体制が必要であり、それが部品点数3万点とも思われる自動車産業で行われているから驚きだ。

 今後の第4次産業革命(インダストリー4.0)とも言われる生産革命において、ドイツBMWなどが試みているAIによる生産手配では、100種を超えるオプション部品の組み合わせに対応する生産現場を想像できない。これまで生産現場を知っている者ほど、想像が出来まい。

 ジャストインタイムを大原則にインダストリー4.0を推し進めるにあたって、トヨタがどれほどの実力をため込んでいるのか? 楽しみでもあり、驚きでもある。一方で、トヨタに匹敵する製造業を日本は育成していくべきであろう。その時、金融知識中心のグローバル経営者では、方向性を見定めることすらできないことを知っていてほしいものだ。

 現代はインダストリー4.0(第4次産業革命)の真っ最中である。「CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)」といった車両に要求される機能面のこととは違い、生産方式に関わる革命なのだ。

都会派トヨタ・ハリアー&アウトドア派トヨタ・RAV4 その差は深い? どっちがいい? (2)