万引き家族』(18)の是枝裕和監督が、次回作として自身初となる韓国映画演出作『ブローカー(仮)』を手がけることがわかった。

【写真を見る】是枝監督は前作『真実』で仏の大女優カトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎えていた

本作は、子どもを育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていくことができるように設置された“ベビーボックス”を巡る人間模様を描いた物語。『パラサイト 半地下の家族』(19)のソン・ガンホ、『ゴールデンスランバー』(19)のカン・ドンウォン、そして監督とは『空気人形』(09)以来のタッグとなるぺ・ドゥナら韓国を代表する俳優が出演する。

是枝監督は「企画のスタートは、今から5年ほど前に遡るかと思います。始まりは、やはり、役者さんでした」とコメント。また、釜山国際映画祭でのガンホとの出会いなど、出演する3人の俳優とのこれまでの交流について触れ、「最初はご挨拶程度でしたが、お話を重ねていくうちに、一緒に映画を、という流れに自然と変化していきました」と、製作のきっかけについて明かしている。

本作は現在はシナリオの準備段階で、2021年にクランクインの予定となっている。フランス語と英語で演出した前作『真実』(19)に続き、母国と母国語から離れての映画作りで監督はどんな新しい世界を見せてくれるのか。続報を楽しみに待とう。

<スタッフ コメント>

是枝裕和(監督・脚本)

「この『ブローカー(仮)』は、コロナ自粛中に『愛の不時着』や『梨泰院クラス』にハマったからやることになったわけではもちろんなく(ハマったのは事実ですが)、企画のスタートは、いまから5年ほど前に遡るかと思います。始まりは、やはり、役者さんでした。ソン・ガンホさんとは最初は釜山映画祭で、カン・ドンウォンさんは仕事で東京に来た時にお会いして以来、お二人と、東京や、ソウルや、釜山や、カンヌで交流を続けてきました。最初はご挨拶程度でしたが、お話を重ねていくうちに、一緒に映画を、という流れに自然と変化していきました。ペ・ドゥナさんとは2009年にご一緒してから、『また必ず一緒に、次は人間の役で』と固く誓っていたので、10年越しの夢が叶ったことになります。この3人はもとより、今回は尊敬する韓国のキャスト、スタッフの皆さんの胸を借りる気持ちで撮影に臨みます。

『ブローカー(仮)』はベビーボックスを巡る話です。頭の中で3人の名優を動かしながら、いま脚本を書いているところで、僕自身が多分いちばんワクワクしております。このワクワクを皆さんに共有していただけるような、スリリングで、ヒリヒリする、それでいてせつない映画にしたいと思っています。今回は、僕にとっては前作に続いて母国と母国語を離れての映画作りになります。言語や文化の違いを超えていったいなにが伝わり、共有できるのか?そもそも監督とはどういう存在なのか?作品作りを通して、もう少し踏み込んで模索してみたいと思っています」

文/足立美由紀

上段左より是枝裕和監督、ソン・ガンホ(CJエンターテインメント提供)、下段左よりカン・ドンウォン (YGエンターテインメント提供)、ぺ・ドゥナ(ジョルジオ アルマーニ ビューティー提供)/