トランスファーリクエストを出したことで去就が世界中の注目を集めているアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ。数々のクラブが移籍先候補として挙がっている。

ブックメーカーを含め、最有力とされているのがマンチェスター・シティバルセロナで指揮を執ったジョゼップ・グアルディオラ監督がいることに加え、アルゼンチン代表のチームメイトであり友人のFWセルヒオ・アグエロが在籍していることもその理由の1つだ。


その他にはインテルパリ・サンジェルマン(PSG)の名前も挙がっているが、決してバルセロナメッシの退団希望を飲んだわけではない。

メッシ側の意見ばかりが報じられる中、バルセロナの新たなスポーツ・ディレクター(SD)に就任したラモン・プラネス氏は、メディアに向けてメッシの問題についてコメント。クラブとしての姿勢を明確に語った。

プラネス氏は「真実なのは、これがとても重要なニュースであったということだ」と語り、メッシの退団希望はクラブにとって重要案件だと認め、退団希望を出したことを認めた。

しかし、クラブとしての姿勢は変わらないと主張。残留に向けてクラブ全体で取り組むと語った。

「我々のアイデアは、世界で最高の選手を中心に、新しい勝利のサイクルを築くことだ。我々が望むのは、メッシが留まることであり、我々はいかなる退団も考えていない」

「レオはとてもリスペクトされるべきだ。バルセロナとレオは夫婦であり、両者はお互いに多くのことを与え、ファンに多くの喜びを与えた」

「私は近い将来がポジティブだと考えており、楽観的だ。メッシのような経験豊富な選手とチームの将来を担う選手は一緒にいる必要がある」

バルサメッシの関係が続くように全力を尽くす。レオを説得するために、内部的に取り組んでいる」

クラブとしては当然のことながらメッシの慰留に努めるとのこと。クラブとしても最大限メッシに歩み寄ろうと条件面でも交渉を進めていくことだろう。

一方で、メッシにとって何がトリガーとなり、今回のトランスファーリクエスト提出に至ったのかは、クラブも知るところではないはずだ。

一部報道では、ロナルド・クーマン監督がチームを改革していく中でのやり方に疑問を持ったともされているが、エルネスト・バルベルデ監督、キケ・セティエン監督とも良い関係ではなく、クラブ上層部のやり方に対して積もり積もったものもあるはずだ。

メッシは“王様”としてピッチ内外で与える影響は大きく、自身がプレーしやすい環境、選手の獲得を求めることもあるとも言われている。そういった点では、近年は自身の望みが叶っていない部分もあるだろう。

ワガママと一言で片付けることもできるが、プロキャリアで731試合に出場し634ゴール285アシスト、15年間で34ものタイトルをチームにもたらした功績を考えれば、クラブとしても大きな見返りをもらっている状況だ。

しかし、近年はクラブの弱体化が叫ばれ、バルサの哲学も失われたと一部のファンは怒りの矛先をジョゼップ・マリア・バルトメウ会長に向けている。今回のメッシが退団を希望する件も、ここ数年にわたるクラブの姿勢が原因だとし、会長を槍玉に挙げている状況だ。

バルセロナは2021年3月に会長選があり、そこでは現職のバルトメウ会長の再選はないと見られている。トップが変わればクラブも変化し、環境が大きく変わる可能性もある。

偉大なるエースとして良い時も悪い時も矢面に立たされるメッシバルセロナの“王様”が望むものはなんなのか。本当にバルセロナというクラブ、自身を応援する人々へ嫌気がさしたのか。クラブは、その胸の内を聞くところからスタートすることになりそうだ。

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