ショックを隠せないファンが続出だという。

 アメリカではコロナ以上に「BLMブラック・ライブズ・マター=黒人の命も大切だ)運動」が世論の中心。一時の怒号も落ち着いてきたと思った矢先、新たにウィスコンシン州で黒人男性が警官から銃撃される事件が発生。またしても抗議デモや略奪騒動が勃発している。

 これを受け、同州に本拠を置くプロバスケットチームが試合をボイコットしNBAの試合が中止、メジャーリーグの試合も延期となった。その流れはテニス界にも及び、ニューヨークで行われていた「ウェスタン&サザン・オープン」の準決勝に進んでいた大坂なおみがボイコットを表明、当日の試合が全て中止となった。

 大坂選手はツイッターで「私はアスリートである前に、一人の黒人の女性です。私のテニスを見てもらうよりも、今は注意を払わなければならない重大な問題があります」「警察による黒人虐殺が続くのを見ていると、吐き気がします」などと強い口調で抗議、不快感を示した。

「大坂選手は今年5月にミネソタ州で起きた警察官が黒人男性を踏みつけて窒息死させた事件をきっかけに全米各地に抗議運動が広がった時も、率先して持論をSNSで発信、抗議デモにも参加しています。スポーツに政治を持ち込むなという苦言もありましたが、それにも彼女は敢然と立ち向かい、多くの人が他人事として沈黙することに対する違和を表明。こうした大坂の勇気ある行動には日本からも多くの支持が集まりました。ところが一方で目を疑うような投稿もあり、『日本人じゃなかったの』『自分は黒人代表であって日本代表なんて思ってないんでしょうね』などと、彼女のアイデンティティを攻撃するような心ないコメントが一部書き込まれているのです」(週刊誌記者)

 大坂選手はハイチ出身の父親と日本人の母親のもとに生まれ、アメリカで育った。多様な文化を吸収した反面、理不尽な差別も受けてきたことは想像に難くない。だからこそ、トップアスリートとなり発言力が増したいま、毅然として声をあげるのだろう。どんな批判や野次を浴びようと、大坂選手の反差別への姿勢は揺るぎない。

「大坂選手を罵った人たちは、もしもメジャーリーガーの日本人がボイコットを表明したら、それでも“日本人じゃなかったの?”と揶揄するのでしょうか。言わないでしょう。つまり結局、この国でも肌の色で対応を変える人が少なからずいるということ。こうした差別意識や排除思考は、コロナ以来さらに強くなってきたような気がします。最近では、寮でコロナクラスターが起こった島根・立正大淞南高校に『日本から出て行け』『学校を潰せ』と苦情の電話を入れた人がいたと報じられました。それが事実だとすれば、ゾッとするしかないですね」(前出・週刊誌記者)

 アメリカのBLM問題は、もはや対岸の火事ではないのかもしれない。

(飯野さつき

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