夏に開催された「超人総選挙2013」で、ゆでたまご先生が執筆を公約していた“ベンキマン”の読み切りが、いよいよ15日発売の「週刊プレイボーイ43号」に掲載される。

……と、その前に「そんなマニアックな超人なんて知らない」という人のために、ゆでたまご・嶋田隆司先生にベンキマンの魅力を教えてもらおう。

※「超人総選挙2013」結果http://wpb.shueisha.co.jp/annex/kinnikuman-result/

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ベンキマンの読み切りを描くと決まったときの正直な感想は?

嶋田 中井君(ゆでたまご作画担当の中井義則先生)は描きやすいって喜んでたみたいですけど、僕にしてみれば「なんでこいつやねん!」って(笑)。できるだけ多くの超人のスピンオフを描いていきたいとはずっと思ってることなんですよ。でも僕らももう50代やし、頑張ってもこの先どれだけ残せるかわからない。その貴重な一作分の時間と労力を「なんでこいつに使わなあかんねん!」って……もうガックリきましたね(笑)

―じゃあ、最初は渋々と描いていた?

嶋田 ええ。できればテリーマンとかバッファローマンが描きたかったなぁと思いながら、仕方なく部屋にこもって30年ぶりにベンキマンの素性を真剣に考え直しましたよ。釈然としないまま(笑)。でもだんだん「昔はこういうふうにギャグ考えてたな」って思い出してきてね。

僕は今でも『キン肉マン』はギャグマンガやと思いながら描いてるんですけど、ベンキマンって、そのエッセンスのかたまりみたいな超人なんですよ。相手を丸めて水に流すとか、やってること自体は実にバカバカしくてくだらないんだけど、当人はそれをいたって真剣にやってる。必死さとアホらしさが同居してるのが『キン肉マン』のギャグの基本なんですよね。

だから古代インカ出身とか、2000歳とか、「なんでこんなアホな設定にしたんや」って昔の自分を恨みながら、それをフックにしてストーリーを考えていきましたね。しょうもないギャグ(笑)

―でも今回の読み切りはただのギャグに終わっていないというか、感動のツボをキチンと押さえたストーリーの展開になっていますよね。そこがスゴいなと。

嶋田 彼の言動をよく見直すと冷静沈着で思慮深くて、なんとなくラーメンマンに通じるものがあるような気がしたんです。でも風貌は明らかに異形なんですよね。まさに鼻つまみモン。

でも大人から見たらそうでも、子供なら偏見がないというか、逆に子供ってそういうモンに興味を示してどんどん食らいついていくじゃないですか。だからこの話のカギになるのは子供やなって思ったんです。

子供やったら彼の本質がわかるかなって。それでマルコっていう子供が登場するんですけど、そのふたりの物語にしたら描けるかなって。キン肉マンに対してのミートとか、ラーメンマンに対してのシューマイとか、そういう線で考えてみたらどんどん話が膨らんできました。

―なかなか奥が深そうですね。

嶋田 いや、でも基本ギャグなんで。あんまり細かいことは考えず、笑い飛ばしてもらえたらそれでいいと思います(笑)マンガってそういうもんやと思うんで。そんな軽い気持ちで、読み切りをぜひ楽しみにしていてください!

(構成/山下貴弘 撮影/高橋定敬)

●嶋田隆司(しまだ・たかし



中井義則とのユニットゆでたまごの原作担当。1979年から週刊少年ジャンプで『キン肉マン』の連載開始。現在は『週プレNEWS』で連載中。JC最新44巻が発売中

10月15日(火)発売「週刊プレイボーイ43号」に、『キン肉マン外伝 ベンキマン~失われたインカの記憶~』を掲載!

「『なんでこんなアホな設定にしたんや』って昔の自分を恨みながら、ストーリーを考えていきました」と語る嶋田隆司先生