BS12 トゥエルビにて2020年3月に放送された「生前葬TV-又吉直樹の生前葬のすゝめ-」が、第10回衛星放送協会オリジナル番組アワードの番組部門<バラエティ>において最優秀賞を受賞。その授賞式が9月1日に東京・よみうり大手町ホールにて行われ、MCを務めた又吉直樹らが登壇した。

【写真を見る】相方・綾部祐二の生前葬に向けた壮大なプランを語った又吉直樹

同番組は、“見届人”又吉直樹がゲストの「生前葬」を執り行いながら、「その人の半生がいかなるものだったのか」をゲストとともに振り返っていく新感覚バラエティー。

3月の放送では、芸能生活50周年を迎える間寛平と、ホラー作家・岩井志麻子がゲストで登場。又吉がプロデュースした2人の生前葬では、ゲスト本人の口から知られざるエピソードが続々と語られた。

■ 「生きている時にその方の魅力を伝えることは価値がある」

同賞の受賞に際して、又吉は「僕がMCとして呼んでもらえたのは、たまたま葬儀が似合う雰囲気だったのが大きい」と自虐を交えつつ、「放送後は周囲から反響がありました」と手応えを口に。

番組の印象については、「誰かがお亡くなりになった後に、追悼番組などでその人の魅力が伝えられることがあるけれど、生きている時にその方の魅力を伝えることができるのは価値のあること」とテーマに共鳴していた。

受賞にあたり、番組にはトロフィーと米俵一俵が贈呈されるが、「この後に米俵一俵をどう分けるか、番組側と協議したい」とユーモアたっぷりに笑わせた。

「自身の生前葬を行うとしたら」という話題では、「お笑い芸人、小説家、ピースという3つを上手く組み合わせたい。半生を朗読している最中にバイクの音が聞こえてきて、壁を突き破って相方の綾部祐二がハーレーで登場する」と地味さと派手さをリクエスト。

参加したい生前葬はやはり相方・綾部のもので、「自分がプロデュースできるのならば、熟女1万人パレードの生前葬をやってみたい。怒られそうだけれど、綾部さんらしさを出したものが出来たらいい」と、相方の嗜好をしっかりと反映した生前葬を妄想していた。

■ 番組を企画したきっかけは“おみおくり”で感じたジレンマ

第10回衛星放送協会オリジナル番組アワードの審査委員を務めた田中早苗氏は、番組について「生前葬という切り口でゲストを深掘りするのは面白い。朗読やインタビュー、取材を通してゲストの半生や死ぬまでにやりたいことを炙り出す構成は見事」と絶賛。

MCの又吉については、「誠実さを持ってゲストと対面し、深い話を心地よく聞かせる。素晴らしい司会者あっての番組。企画・構成・内容ともに素晴らしい」と高評した。

BS12の渡辺文乃氏は、同番組を企画立案した経緯に自身の祖父の死があったそうで、「通夜・葬儀をするにあたり、いい遺影がなくて現場が混乱しました。また祖父は寡黙だったために、生前のエピソードを亡くなった後に聞くということもありました。

葬儀・葬式は亡くなった方が主役のはずなのに、上手くハンドリングできないジレンマがあり、そのジレンマ生前葬で解決できればと思った」と制作にあたっての思いを吐露。

また、番組の方向性については、「死を扱うからといって暗くなり過ぎないように、明るいテイストのバラエティーにしたいと思い、細心の注意をはらって制作しました」と工夫を明かした。

なお、今回の受賞を記念して、11月4日(水)夜8:00より同番組がBS12にて再放送されることに。ゲストが語る「人生のターニングポイント」や「死ぬまでにやりたいこと」などを通して、人生の“これまで”と“これから”に思いを馳せてみよう。(ザテレビジョン

「第10回衛星放送協会オリジナル番組アワード」の授賞式に登壇した(左から)又吉直樹、渡辺文乃氏(BS12 トゥエルビ/事業開発部兼営業部)、池上直樹氏(同/編成部)