9月4日、映画「宇宙でいちばんあかるい屋根」の初日舞台あいさつが東京・新宿バルト9で行われ、清原果耶伊藤健太郎、藤井道人監督が登壇した。

【写真を見る】向き合って仲の良いやりとりを繰り広げた主演・清原果耶と伊藤健太郎

本作は作家・野中ともその同名小説を実写化したもの。家でも学校でも居心地の悪い思いをしている悩める14歳の少女・つばめ(清原)。書道教室の屋上で独り過ごす時間が好きだったが、ある夜、謎の老女・星ばあ(桃井かおり)と出会い、いつしか悩みを打ち明けられる関係になっていく。伊藤は、つばめが恋をするお隣の大学生・浅倉亨を演じている。

作品を見終えた観客の前に、3人が登場。清原が「皆さん、会場にお越しくださり本当にありがとうございます。いよいよ今日から映画館でこの映画が見られるというのは感慨深いなと思いつつ、ちょっと緊張が解けないまま、ここに立っています」と笑顔であいさつすると、伊藤も「こういう時期に皆さんの前に立つことができている状況がすごくうれしいです。初日という日を迎えられたこともすごくうれしいです。そんなうれしさを皆さんと共有できたらいいなと思ってます」と観客に呼び掛けた。

星ばあ役の桃井は欠席となったが、ロサンゼルスの自宅からビデオメッセージが届けられた。

「今日は行けなくてすいません。星ばあだったら飛べるんですけど、桃井は映画が終わったら飛べないので、しょうがないですね。大きい画面で皆さんとこの映画を見るのを楽しみにしてたんですが」と残念な気持ちを伝えた後、清原に「つばめ、今日はすまん。また現場で会えるのを楽しみにしてます。ちょっと長生きするから、時間はもう少したってから。“しぶとく生きろ!”」と劇中のセリフを使ってエールを送った。

伊藤には「今日は頑張ってね。つばめと監督に任せておくと、ちょっと暗くなっちゃうから。伊藤くん、今日が一番頑張らなきゃいけない日よ。今度は現場でお芝居しましょうね」と“盛り上げる”という使命を与えた。

以前、清原が伊藤の印象を「柔らかい波をまとった方」と表現していたことを受けて、司会者が伊藤に清原の印象を尋ねると「“柔らかい波”とかすてきな言葉を先に使われると後々こっちが困る(笑)。でも、うれしかった。ちょっと待ってくださいね…清原さんは、すてきな光をまとってる。いろんな光をまとってる方だな」と答えた。

そして、撮影を振り返り「当時17歳だったんですけど、本当、大人過ぎて。そこが一番ビックリしました。僕が17歳の時は『ギャー!』みたいな感じだったんですけど、そういう感じでもなくて、同じ場所に一生いられるんだろうなって思いました」と語ると、間髪入れず「それはどういう?」と清原にツッコまれ、「いい意味で!」と必死でフォロー。

撮影中の印象的なエピソードについては、伊藤が「撮影の待機中に寝てたら、セミが僕の頭に止まったらしいんです。それで飛んでったみたいで、僕が起きたらみんなクスクス笑ってたということがありましたね」と話すと、監督は「健太郎くん、本当に寝る。どこでも寝ます」と明かし、清原も「そのセミが止まった時の撮影場所は普通の外で公園にもならないような所のベンチでスッと寝てらして」と目撃談を語った。

「最近気付いたんですけど、忙しかろうがそうじゃなかろうが、ずっと眠いんです。成長期なのかな?(笑)」と眠気について語る伊藤に、会場から笑い声が起きていた。

■ 清原「初日」

そして、つばめが書道教室に通っているということにかけて、「宇宙でいちばん心に沁みる言葉」を書道による直筆で発表。

清原が書いた言葉は「初日」。「まんまなんですけど、今日、迎えられてよかったって心から思っていて、映画に携わってくださったスタッフの方もそうなんですけど、こうやってお越しくださった皆さん、本当にありがたいなって思いがいっぱいです。今日がないとこれからが始まっていかない大事な日でもあるので“初日”とつづらせていただきました」と理由を解説した。

また、伊藤は「しぶとく生きろ」。「星ばあの言葉ですけど、この言葉を聴いた時に僕の心にすごく刺さったんです。しんどい時とか、疲れた時とか、この言葉を思い出すだけで乗り越えられそうだなって。皆さんも刺さった方たくさんいらっしゃるんじゃないかと思うんですけど、この言葉を大切にしていきたい」と、星ばあの印象的なセリフを力強く書いた。

桃井からも「沁みる言葉」が映像で届けられた。書かれた言葉は「大人になれば、なんでも出来るようになる」。

50歳の誕生日に初めて鉄棒の逆上がりが出来るようになったことを例に挙げて、「出来なかったことが大人になったというだけで出来るようになっていた、という事実がございますので、この言葉をオススメします。年を食うということは、これからは小じゃれたことになります。皆さん、しぶとく生きましょう!」と、その理由はある意味、伊藤の言葉とリンクする内容になっていた。

それを聞いた清原は「しっかり日々を過ごして大人に近づきたいなと思いました。まだ大人と子どものはざまにいる感覚があるので、豊かな大人になれるように頑張りたいと思いました」とコメント。

続けて、伊藤が「僕、21歳の誕生日の日に大人になることをやめたんですよ。『大人になれない』と思ったので。でも、もう一回目指してみようと思います(笑)」と“大人宣言”をして会場を和ませた。

最後は、清原が「この作品は本当に出会えて良かったと思える人たちと出会えましたし、出会えて良かったと思える脚本、作品、現場だったので、私の中でものすごく大事な作品です。それを今日、皆さんに見ていただけて少し安心できたような感覚が降ってきました。この作品がどなたかの心に届けばいいなと思いますし、皆さまの手で育ててあげてほしいなと思える作品になりました」と言えば、伊藤は「この映画の中から出てくる言葉だったり、そういったものに心が救われる瞬間が何度もあると思います。見てない方にその言葉を伝えるでもいいですし、まずはこの映画を伝えていただきたいです。たくさんの方に見ていただきたいのでぜひご協力をお願いします」というメッセージを届け、舞台あいさつが終了した。(ザテレビジョン・取材・文・撮影=田中隆信)

伊藤健太郎が映画「宇宙でいちばんあかるい屋根」の初日舞台あいさつに登場した