主演俳優が、連続ドラマのメガホンを握る。ということが、もしかしたら流行るかもしれない。ムロツヨシが主演を務める「親バカ青春白書」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系)の第6話が、9月6日(日)に放送された。

【写真を見る】ムロツヨシ監督の演出は亡き妻・幸子(新垣結衣)とのシーンが多め!笑

主演のムロが自ら演出を担当するという今回は、出演者の芝居も全体に流れる雰囲気も素晴らしく朗らかであり、エンドロールのラストに出た「演出 ムロツヨシ」の文字テロップには貫禄が感じられた。(以下、ネタバレが含まれます)

■ 父と娘と友人たちによる“青春コメディ

親バカ青春白書」は、同じ大学に通う父娘と友人たちが送る青春ホームコメディ。ムロ演じる小説家の小比賀太郎(通称“ガタロー”)が、最愛の妻・幸子(新垣結衣)を亡くし、男手一つで育てた愛娘・さくら(永野芽郁)への愛情を爆発させながら、キャンパスライフを満喫する物語である。

コメディだけあって、とても明るくライトに見られる一方で、若者の恋愛や進路の悩みにも顔を突っ込んでいくガタローの優しい一面には、ほろりと泣かされてしまう今作。

大学生のさくら、ハタケ(中川大志)、寛子(今田美桜)、美咲(小野花梨)、根来(戸塚純貴)といった若者の中に、40歳過ぎのおっさんであるガタローが溶け込み、第6話ではシェアハウスをするほど仲が良くなっていることに、視聴者も違和感を抱かなくなってきている。

■ 若者たちの全力芝居で伝わる“愛と信頼”のムロツヨシ

ガタローが娘の友人たちから自然な形で愛されていったように、ムロツヨシという役者も周囲からの信頼をみるみる得ていく人柄なのだろう。

長年の信頼関係にある福田雄一監督に代わり、GP(ゴールデン・プライム)帯の連続ドラマ初主演でありながら自ら演出をしたムロ。その演出方法は、出演者たちへの愛に満ちていた。

一軒家をカメラが動き回って撮影された長回しシーンや、ガタローの再執筆を編集者・尾崎(谷口翔太)に友人たちがグルグルと畳みかけるようにアピールしていくシーンなどはすべて出演者たちの演技力と失敗が許されないスタッフの技術力にかかっている。ムロ監督の思いに応えるように、各人が仕事をきちんとこなしてピタッと合わさったような雰囲気が流れていた。

友人たちが「ガタローさんのおかげです」と口を揃えるセリフがあったように、このドラマには「ムロさんについていきます」といった揺るぎない一体感があるのが、よく伝わる。

だからガタローがいつも娘と彼氏・ハタケとのキスを強引に阻止したり、亡き妻・幸子とのラブラブ思い出シーンがこれでもかとたっぷり編集で組み込まれていたとしても、誰も怒らない。ゆずの歌う主題歌のタイトル通り「公私混同」気味の演出であっても、そこにはちゃんとガタローの視線を通じて込められたムロの登場人物への愛情ゆえなのだなと感じられるからであろう。

最終話にはガタローの母が登場!

楽しい「親バカ青春白書」だが、次週、9月13日(日)放送でいよいよ最終話。小比賀家でのシェアハウス生活が続く中、美咲がお酒の席でガタローにキスしたことに衝撃を受けたさくらが豹変。日常生活に支障をきたすほどの動揺を覚えていた。

一方、さくらの異変が自分への気持ちが冷めたためだと思い込む鈍感なハタケは、失恋の予感に心乱される。さくらと美咲は、ついにガタローをめぐり水面下のバトルへ。

さくらの異変にいち早く気づいたガタローの母・多恵(高畑淳子)が香川から上京してくる。さくら誰にも言えない胸の内を祖母に相談する。(ザテレビジョン

「親バカ青春白書」第6話より