9月4日(金)に、『映画 きかんしゃトーマス チャオ!とんでうたってディスカバリー!!』が公開! ゲスト声優として、お笑い芸人の麒麟が出演します。ふたりが演じるのは、歌を愛するイタリアの古い機関車ロレンツォ(川島)と、そのロレンツォの歌のパートナーで客車・ベッペ(田村)。今回は、映画への思い、アフレコの裏側などについてお話していただきました。

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■お笑い芸人コンビ麒麟のお二人を直撃!
ーー今回の声優のオファーが届いたときの率直な気持ちを教えてください。

川島 ちょうど娘がトーマスにハマったタイミングでお話をいただいたので、うれしくて仕方なかったですね。娘が今、毎日起きたらトーマス、寝る前にもトーマスを見るっていう生活で。去年のクリスマスにはトーマスのプラレールをプレゼントしました。すごく楽しんでいるのですが、「パーシーは?」と言われて。すぐにパーシーも買いに行きました(笑)。今は、リビングをトーマスとパーシーがずっとうろうろ回ってますね。何もないときは、ハイボールを飲みながらその様子をずっと見ています。

田村 トーマスって大人気で、すごく知名度がありますよね。そんな人気のお仕事が、今の僕にくるはずがないので、まずは“川島、ありがとう!”って気持ちですね。絶好調、川島!!

川島 どう載せんねん、それ(笑)。

田村 名作にまつわるお仕事で、うれしかったです。ふだんの僕は、あまり家族に仕事のことを話さないんですけど、今回は、みんなを集めて。家族と、嫁さんのお姉ちゃんとそこの子ども、全員がいてるタイミングで、「みなさん、今日は発表があります。今度、『トーマス』の映画キャラクターをやることになりました!」って発表しました。

ーーそのときのご家族の反応は?

田村 みんな、「えええー!?」、「うおー、マジですか?」みたいな。ただ、「何役をやるの?」って聞かれて、キャラクターの説明をした瞬間、「大丈夫…?」って一気に空気が冷めました。みんな、僕が歌をヘタって知ってるんで。

川島 歌があるって、最初は知らなくて。僕もマネージャーに、「田村大丈夫? 田村も歌うで」って話しましたね。

田村 だって僕、歌の仕事はNGにしてるんで。ムリなんですよ。だから不安でしたけど、台本を見たら、ひとりで歌うところはなかったので。川島くんといっしょに歌ってるし。僕の歌唱シーンは一瞬なので、“最悪、僕の声じゃなくても大丈夫なのかな”と引き受けさせていただきました。もしも歌のシーンがほかの方の声になっても、家族には“俺が歌った!”って言おうと思ってましたけど(笑)。

ーー歌の練習はされたんですか?

川島 子どもが寝てから、自分の部屋でCDをかけたりして。文字で覚えるよりは、耳に入れて、雰囲気が出るようにしました。

田村 僕も子どもの前では練習せず、ひとりで。僕は不器用で、自分の中で完成してしまうともう修正できないタイプなんです。だから、ある程度の流れとか雰囲気をつかんでおいて、あとは本番でスタッフさんとしゃべって、作ろうって思いました。

川島 楽譜とかいただいたんですけど、読めないので。僕のキャラクターは、セリフにも音符がついてて、セリフがミュージカルみたいなんですよ。しゃべってる途中に、歌になっていく。これには、ひっくり返りましたね! もう田村くんといっしょ。声優の世界では、ド素人。現場でたたきあげてもらおうと思って、最初に、「なんでも言うてください! ケツはないので。ちょっとズレても、遠慮なく言ってください」って挨拶しました。

ーーアフレコで実際にキャラクターを演じられて、いかがでしたか?

川島 ロレンツォは、イタリア伊達男。けっこう助けてもらってるんですけど、あやまらなくて、“ボクのことを助けられて光栄だよね”みたいなキャラクター。こういう自信満々な人ってあまりいないので、演じさせてもらって気持ちよかったです。

田村 僕は、地のままでいけるキャラクター。スタッフさんたちも、「田村さんのままで大丈夫ですよ」って言っていただいたので、自然と楽しくやってみました。


ーー歌のシーンは…?

田村 僕のところは、すごく高音なんですよ。“こんなもん出るわけないやんけ”って思ってて。現場でも、「僕、たぶん声出ないですよ」って言ったんですけど、いざ歌ったら、歌の先生が「いいじゃないですか! 出てますよ!」って。「次はこれやってみましょう!」ってのせられて、僕もノリノリになったんですけど、最後には「もう大丈夫です。最初のやつでいきます」って言われましたね(笑)。

川島 田村くんのあとに、僕の収録があったんですけど、本番前にマネージャーとかスタッフさんが、「田村さんがよかったんです!」って言ってて。「思ってるよりもすごかった」ってホメるんですけど、全部に“思ってるよりも”っていう枕詞がついてましたね。どういう評価やったんや、それっていう(笑)。

田村 収録の前な。

川島 僕はアフレコのとき、先生が、のせ上手というか、ホメてくれる方で。盛り上げてくれたし、画面に映ってるロレンツォがすごく気持ちよさそうに歌うので、“楽しそうに歌わないと失礼やな”と思い、同じ顔で歌ってましたね。

田村 それは、ロレンツォと並べて顔を見たいな~(笑)。

川島 最後のほうは、ロレンツォと同じでヒゲが生えていたと思います。

田村 アハハハ!

川島 じつはそのとき、(スタッフがいる部屋とは逆側の)壁側を向かって歌っていたので、顔は見られへんだろうと思ってて。終わった
あとに、壁のそばにカメラがあってビックリしました。“全部、見られてるやん!”って。

田村 アハハハ!

川島 あと、ロレンツォは、最後にストーリーを全部説明してて、感情がすごく変わるんです。なんで僕が、トリを任されのかわかんないんですけど(笑)。感情がむっちゃくちゃになるので、ほんまに頭から煙が出てましたね。トーマスみたいになってました。こっちは湯気ですけど。

田村 アハハハハ!

川島 でも、人生で出したことのないくらいのキーが出たんで、楽しかったです。

田村 あとは、世の中に出たとき、みなさんの反応を聞きたいですね。いいか悪いか聞かへんとゴールじゃないんで。僕は、今も自信がないんです。スタッフのみなさんも、なんとなくやけど、“これ以上、ないやろ”と感じてたんじゃないかな。

川島 アハハハ! 妥協!

田村 “田村の天井、こんなもんやろ”ってことで、(アフレコ収録を)オッケーしたと思うんですね。“ほんまにオッケーですか? いいんですか? 知りませんよ”みたいな気持ちのまま、今もいてます。

ーー今回、イタリアを愛する機関車・ジーナ役を山口もえさんが演じられています。何かお話はされたのでしょうか?
川島 去年、このお話をいただいたときは、ほかに誰が演じるのか知らなくて。年末くらいに番組の収録でお会いしたときに、もえさんが急に「あっ!」ってなって。「いっしょですよ!」って握手されたんです。でも、なんの主語もないから、なんのことかわからへんで。

田村 “今日(の収録のこと)か~?”みたいなね。

川島 もえさんに「トーマス!」って言われて、共演することを知りました。そこでは、「ドキドキしますね。緊張しますね」みたいな話をしてて。アフレコ終えられてからまたお会いしたときに、「めっちゃ緊張しましたね」って言うたら、ほんま猫背になって、「いや…ダメです…わたしもう1日やらんとダメなんです」って。握手したときと顔が全然ちがったんで、“大丈夫かな”って思いました。

田村 1日で録りきる予定やったのが、2日間になったって言ってたもんね。

川島 もえさんは、ほぼ主役のようなキャラクターで、僕らとはセリフの量がちがうから。もえさんも僕らふたりも、経験値が同じなんですね。ほぼゼロ。公開アフレコが終わったときには、3人で飲みに行きたくなりましたよ。3人で峠を乗り越えた感がある。

田村 だから、もえさんになんか親近感がわきました。

ーー映画の見どころを教えてください!

川島 正直、ロレンツォは、子どもたちに好かれるかどうかは賛否両論なところ…(笑)。今、遠慮ばかりしたり、空気を読むっていうことが大事やとは思わないんですね。“自分が主役”っていう気持ちも大事やと思うんです。ロレンツォは、最後にトーマスをほったらかして、“自分の映画でした!”っていうシメをします。そういうところは、今のコに見てほしい。“人生、もっと自分が主役でいいよ”って。みんなが、その気持ちやったらいいと思います。

田村 この作品は、怖いことでも勇気を持って飛びこんでみると、ひとつの発見につながるっていうテーマがあると思うんです。だから、子どもたちに“いろんなことに挑戦してみる”、“やってみるのも大事なんだな”って感じてほしい。そういう部分で成長してくれたらいいですね。

川島 あとは見終わったあとに、子どもたちが、僕が歌ってた歌を口ずさんでくれたら勝ちやと思ってます。

田村 おおおお! それはすごいねぇ。

川島 もしもそんなコがいたら、うれし泣きすると思いますね。

田村 ほんまやな、抱きしめたくなるな。

川島 うん。かつ丼くらいやったらおごってやりたくなる。

田村 かつ丼って(笑)。

ーー後編へ続く


■プロフィール
麒麟きりん
1999年10月結成、NSC大阪20期生(1999年)。
2003年に第23回「ABCお笑い新人グランプリ」で優秀新人賞を受賞、第34回「NHK上方漫才コンテスト」優秀賞など、ほかにも多数の受賞歴を誇る人気お笑い芸人コンビ。

田村裕(たむらひろし) 左
大阪府吹田市出身。

川島明(かわしまあきら) 右
京都府宇治市出身。


撮影/齊藤僚子  取材・文/ぶにお  企画・構成/mamagirlWEB編集部
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掲載:M-ON! Press