インドの川でワニが100匹以上の我が子を背中に乗せて移動する珍しい光景が撮影された。この写真はロンドン自然歴史博物館が主催する野生動物写真コンテスト「Wildlife Photographer of the Year competition」にエントリーされ、高い評価を受けている。『Select News 91』『The Sun』などが伝えた。

インドを拠点に活動する写真家のドリティマン・マッカージーさん(Dhritiman Mukherjee)は、インド北部に位置する国立チャンバル保護区を数週間かけて撮影のために巡回していた。その際に我が子を運ぶガビアルという種類の雄のワニに遭遇してシャッターを切った。

その写真には、ワニが自分の子供100匹以上を背中に乗せて移動する驚きの光景が写っていた。ロンドンの自然歴史博物館で爬虫類専門のキュレーターを務めるパトリック・キャンベルさん(Patrick Campbell)は「通常ワニは子供を自分の口の中に入れて運びます」と語っている。

さらにパトリックさんは「しかし今回撮影されたガビアルという種類のワニは、鼻口部の形が他のワニと異なるので口に入れて運ぶことは不可能なのです。そのためガビアルの子供達は親の頭の上や背中にしがみついて運ばれるのです」と説明した。

ガビアルの雄は鼻先に球体のコブが付いているのが特徴で、この部分は“ガーラ”と呼ばれる。繁殖シーズンにはガーラを使って大きな鳴き声を出したり泡を吹いたりして雌ワニを誘う。

ドリティマンさんは「この見事なワニは100匹以上の子供を授かるために7、8匹のメスと交尾しなければならなかったはずです」とコメントしており、立派なガーラを持つ今回撮影されたワニは繁殖に大成功したようだ。

この写真は、ロンドンの自然歴史博物館が主催する野生動物写真コンテスト「Wildlife Photographer of the Year competition」の候補作品の一つとなり、高い評価を受けている。このコンテストは総数5万点の作品がエントリーし、今回のワニの写真を含む高評価を得た合計100点の作品の中から入賞作品が選ばれる。10月13日に大賞作品やカテゴリー別の優秀作品が発表される予定だ。

ちなみにガビアルは絶滅の危機に瀕しており、インドネパールの淡水地域において約650匹の成体がいると推測されている。今回ドリティマンさんが撮影したワニは、国立チャンバル保護区に生息する約500匹の成体ワニのうちの1匹だ。この100匹以上の子供たちが無事に成長し、次の世代を繋いでいくことを願いたい。

画像は『Daily Star 2020年9月5日付「Patient crocodile dad lets his 100 babies hitch a ride on his back in stunning photo」(Image: Dhritiman Mukherjee)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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