メガロドンの詳細なサイズが明らかに

メガロドンの詳細なサイズが明らかに /iStock

 今日、この地球上に存在する最恐のサメは、ホホジロザメだと言われている。体長は6メートルを超えることもあり、2トンもの凄まじい力で噛むことができる「白い死神」と呼ばれるサメだ。

 だが、過去を振り返れば、死神すら逃げ出すだろうモンスター級のサメがいた――ホホジロザメの倍も大きかったとされる「メガロドン」だ。

 この度、イギリスの研究グループは、数理モデルに基づき、生態学的・生理学的にメガロドンに近いとされる現生の近縁種と比較することで、この太古の怪物の体の詳細なサイズを割り出した。

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噛む力は10トンを超える、まさにモンスター

 ホホジロザメの近縁にあたり、その噛む力は10トンを超えたという。三角形をしたその歯の化石は、人間の手よりも大きいという巨大さだ。

 その区分には諸説あるようで、ネズミザメ目に属すと考えられているものの、学名は「カルカロクレスメガロドン」「カルカロドン・メガロドン」「オトドゥス・メガロドン」など定まっていない。

 ちなみにカルカロドン・メガロドンホホジロザメと同じ属という解釈になる。ただし今回の研究では、絶滅した古代ザメの系統であるオトドゥス・メガロドンとして紹介されている。

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現生の近縁種と比較しサイズを割り出す


 ハリウッド映画にまでなったメガロドンだが、現代まで残された手がかりは往々にして、歯だけということが多い。そのために、メガロドンの本当の大きさを推定することはそれほど簡単ではない。

 そこでブリストル大学(イギリス)の研究グループは、数理モデルに基づき、生態学的・生理学的にメガロドンに近いとされる現生の近縁種と比較することで、この太古の怪物の体のプロポーションを割り出そうと考えた。

 これまでの似たような研究ならばホホジロザメと比較されるだけだったが、さらにアオザメネズミザメ、ニシネズミザメなど、現生のサメ5種も比較対象に加えられた。

メガロトンの大きさ(成長別)
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a)大人のメガロドンは16メートル b)新生児のメガロドンは3メートル c)子供期は8メートル d)大人のメガロトンと人間の比較
image by:OLIVER DEMUTH

 このことを踏まえて分析した結果、体長16メートルのメガロドンならば、頭は4.65メートル、背びれは1.62メートル、尾びれは3.85メートルであると推定された。

 つまり背びれだけで、人間の大人くらいあったということだ。万が一、ダイバーが遭遇するようなことがあれば、さぞ恐ろしい思いをすることだろう。

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image by:OLIVER DEMUTH

生まれたときから体の比率は変わらず


 研究グループによると、調査を進めるにあたってまず行わねばならなかったのは、成長するにつれてサメの体の比率が変化しないか確かめることだったそうだ。

 たとえば人間ならば、赤ちゃんのときは頭が大きく、手足が短いが、大人になるにつれて、こうした比率が変わってくる。

 だが調査からは、少なくとも比較対象となったサメは、生まれたときから体の比率が大人と同じで、そのまま大きくなることが判明したという。

 ならばメガロドンの場合も比較的シンプルにその体型を推測してもいいと想定することができる。

 今回メガロドンの体の詳細が判明したことで、その生理学的な特徴や絶滅してしまった理由などを推測する手がかりにもなるそうだ。

この研究は『Scientific Reports』(9月3日付)に掲載された。

追記(2020/09/14)本文を一部修正して再送します。
References:sciencedaily / iflscience/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52294413.html
 

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