現代美術界の巨匠、ゲルハルト・リヒターの半生をモデルに祖国ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”に迫った映画「ある画家の数奇な運命」の日本公開日が10月2日(金)に決定。

【写真を見る】主人公のクルトは、幼少時のクルトに多大な芸術的影響を与えた叔母と「退廃芸術展」を訪れる

彫刻家・奈良美智や小説家・平野啓一郎をはじめ、アイドルとして活動しながらも美術史を学ぶ和田彩花、アート好きで知られる吉岡里帆、音楽プロデューサー・藤原ヒロシら、さまざまなジャンルの“表現者”たちから本作を絶賛するコメントが寄せられている。

「ある画家の数奇な運命」は、長編初監督作「善き人のためのソナタ」で第75回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品し高評価を獲得、アカデミー賞外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督による作品。

ゲルハルト・リヒター現代美術界の巨匠であり、ときにオークションで数十億円の価格がつくアーティスト。そんな彼の半生をモデルに、祖国ドイツの“歴史の闇”と“芸術の光”に迫っていく。

そして今回、主人公のクルト(トム・シリング)と同じデュッセルドルフ芸術アカデミーで学んだ画家・彫刻家の奈良は「歴史に翻弄(ほんろう)される人生映画と、真剣に美術に向かい合う1人の青年の成長の描き方が、数々ある素晴らしい映画以上のものにしている」と、本作についてコメント。

また、ナチ政府が彼らの美の概念にそぐわないとみなした近代美術や前衛芸術に「退廃芸術」の烙印を押し、さらしものにした「退廃芸術展」を、幼少時のクルトに多大な芸術的影響を与えた叔母と訪れる彼にとっての芸術の原体験となるようなシーンや、悩みながらも“自分にとっての真実”を求めるクルトが、西ドイツデュッセルドルフ芸術アカデミーで実験的な絵画に触れ、自身でも挑戦する様子を捉えたシーン写真も解禁となった。

■ さまざまなジャンルの“表現者”たちからの絶賛コメント

奈良美智(画家・彫刻家):歴史に翻弄される人生映画と、真剣に美術に向かい合う1人の青年の成長の描き方が、数々ある素晴らしい映画以上のものにしている。

平野啓一郎(小説家):リヒターを誤解していたのではと疑い、また、やはり正しく理解していたのだとも思う。韜晦の隙間に真相がちらつく。

前田エマ(モデル):「芸術は無くならない」、その意味を教えてくれる苦しくも美しい、戦いの日々がここにありました。

滝本誠(映画評論家):ナチス「退廃芸術展」以降、リヒターの目、行動を通しての20世紀西欧美術史3時間フルコース、前菜がヘビー!

椹木野衣(美術批評家):ナチスの退廃芸術から戦後ドイツ、東の社会主義リアリズム、西の現代美術、そして伝説のヨーゼフ・ボイスの講義までが再現される、激動の20世紀美術史=映画。

SYO(映画ライター):魂を溶いて描いたような、無二の力作。戦禍も災厄すらも、芸術の前では養分なのだ。

吉岡里帆(女優):ずっと出会いたかった映画。さまざまな幸せの捉え方があるが、真実に希望を見いだす人生はその中でも最も強くたくましく揺るぎない。最高の1本でした。

和田彩花(アイドル):立場を超えて、生活から見いだされる人間の営みや苦悩に寄り添う本ストーリーの姿勢に、心を揺さぶられた。

小野正嗣(作家):画家自身は言葉にしない創造の原風景に、想像力を携えて近づくこと。そのとき絵は、映像は、人の絆を破壊する暗い力に屈しない生命の脈動で、私たちを震わせる。

藤原ヒロシ(音楽プロデューサー):官能的で感動的。激動の時代を客観的に眺めた少年の心が、芸術を通してあふれ出る。

■ 映画「ある画家の数奇な運命」ストーリー

ナチ政権下のドイツ。少年クルトは叔母の影響から、芸術に親しむ日々を送っていた。ところが、精神のバランスを崩した叔母は強制入院の果て、安楽死政策によって命を奪われる。

終戦後、クルト東ドイツの美術学校に進学し、そこで出会ったエリーと恋に落ちる。元ナチ高官の彼女の父親こそが叔母を死へと追い込んだ張本人なのだが、誰もその残酷な運命に気付かぬまま2人は結婚する。

やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、ベルリンの壁が築かれる直前にエリーと西ドイツへと逃亡し、創作に没頭する。

美術学校の教授から作品を全否定され、もがき苦しみながらも、クルトは魂に刻む叔母の言葉「真実はすべて美しい」を信じ続ける。(ザテレビジョン

映画「ある画家の数奇な運命」の日本公開日が10月2日(金)に決まり、“表現者”たちから本作を絶賛するコメントが寄せられている