不思議な口を持つオタマジャクシの親御さんを特定

不思議な口を持つオタマジャクシの親御さんを特定 image by:Benjamin Tapley, ZSL

 オタマジャクシはカエルの子。ナマズの孫ではないわいな。という童謡があるが、実際にオタマジャクシはカエルにはある手も足もなく、そうかと思えば尻尾があり、しかもエラ呼吸までする。親子なのにまるで種の違う生物のようだ。

 だから、ベトナムのように270種以上もカエルがいる地域では、どの子がどの親の子なのかを確かめるのはとても大変な作業だ。

 今回、ロンドン動物学会やインドミャンマー・コンサベーションなどのグループによって、その難問のいくつかが解き明かされたようだ。

 上の画像の口がぱっくりと割れた、まるで映画「エイリアン」のフェイスハガーの卵が開いた時のようなは、花が開いた時のような口を持つオタマジャクシの親御さんも特定された。

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親も子供も奇妙な姿のツノが生えたカエル

 
 「カエルとオタマジャクシはまるで似ていませんが、その親子関係を知るのは大切なことです。カエルの活動は季節ごとのもので、見つけるのが難しいので、子供の存在が種がいるという証になります。また、カエルの保護に不可欠な繁殖地を特定する手がかりにもなります。」と、ロンドン動物学会 べンジャミン・タプレー氏は語る。

 研究グループは、地理データの収集・写真撮影・形態学的測定・DNAの比較といった調査を行い、以下の6種のカエルの親子関係を特定することに成功した(※種名は英名を直訳したもの)。

・ファンシーパンサン・ツノガエル(学名 Megophrys fansipanensis)
・オオツノガエル(学名 Megophrys gigantica)
・ホアンリエン・ツノガエル(学名 Megophrys hoanglienensis)
・ジンドン・ツノガエル(学名 Megophrys jingdongensis)
・マオソン・ツノガエル(学名 Megophrys maosonensis)
アンナム・ツノガエル(学名 Megophrys intermedia)

 いずれも日本では「コノハガエル属(Megophrys)」として知られる仲間で、英名の「ツノガエル」が示すとおり親にはツノが生えている。

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特定されたコノハガエル属 image by:Benjamin Tapley/ZSL

口が水面に浮かぶ小さな粒子を食べることに特化しているおかげで、コノハガエルのオタマジャクシもまた奇妙な姿をしています。

これは他のオタマジャシでは食べることができないエサを食べられるよう適応した結果です。(タプレー氏)

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口に特徴があるコノハガエル属のオタマジャクシ image by:Benjamin Tapley/ZSL

生息地の減少による絶滅の危機


 コノハガエルは非常に多様な種であるそうだが、多くの動植物と同じく、絶滅の危機に瀕しているという。

 この仲間が生息する森の中には、地球上でももっとも伐採が進んでいる地域も含まれており、その生息環境は急激に縮小・劣化している。

 さらに最近発見された種の一部は、ごく限られた地域にしか生息しておらず、そのためにこうした脅威に対して特に弱い。

 また今年のコロナ禍は、生物の保全団体の資金繰りも悪化させており、そのことも絶滅の危機に瀕した生物を苦境に陥らせているのだという。なお、ロンドン動物学会のサイト(英語)では寄付も受け付けている。

References:Hadn’t the froggiest | Zoological Society of London (ZSL)/ written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52294379.html
 

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