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7年8カ月も続いた安倍政権。その象徴的だった政策がアベノミクスだ。だが、庶民から生活が楽になったという声はほとんど聞こえない。それもそのはず、嘘で塗り固められ政策だったのだーー。

アベノミクスは買いだ」

世界にそう喧伝していた安倍晋三首相。だが、8月28日の辞任会見で「アベノミクス」という言葉は最後まで使わなかった。『アベノミクスの終焉』の著書がある同志社大学商学部の服部茂幸教授が話す。

アベノミクスが中途半端で終わったことを表しています。アベノミクスは、日本銀行が国債をたくさん買い入れることにより、市中に大量の通貨が供給され、金利は下がり、企業活動が活発化。物価の上昇とともに賃金も増え、消費も拡大すると謳っていました。その景気回復へのシナリオはすべて頓挫したのです」

7年8カ月も続いた第2次安倍政権の根幹政策だったアベノミクス。その実態を検証しよう。

■消費も雇用も低迷した

「消費は緩やかな上昇傾向」と安倍政権は主張し続け(図解:ウソ3)、消費税の増税が強行された。『ツーカとゼーキン 知りたくなかった日本の未来』の著者である弁護士の明石順平さんはこう語る。

「しかし、民間消費の総額である実質民間最終消費支出は、’14〜’16年にかけて3年連続下落。これは戦後初のことです」

2度の消費税増税もあり、消費は低迷し続けている。

国内消費が6割を占めるGDP(国内総生産)だが、こちらの数値がかさ上げされている(図解:ウソ4)可能性がある。’16年12月、内閣府はGDPの算定方法を“国際標準の基準値”へ改訂している。

「しかし、国際標準とは関係のない『その他』という項目を操作して、アベノミクス以降のGDPを大きく膨らませました」(明石さん)

過去のGDPも新基準で計算し直され上昇したが、アベノミクス以降のほうが明らかに上昇率は大きくなっているのだ。辞任会見で安倍首相は「雇用の回復」を強調していたが……。

「就業者数は増加していますが、それとともに増えるはずの就業者全体の労働時間はほぼ横ばいです。その理由は、急増している派遣や契約、パートなどの非正規雇用の労働時間が短くなっていることにあります」(前出・服部さん)

“安定した雇用”(図解:ウソ5)はまったく回復していない。

最後に服部さんが語る。

アベノミクス失敗の原因をコロナ禍に求める人がいますが、’18年10月には景気が後退局面に入っていたことが今年7月になって明らかになりました。成長率も1%程度と低く、効果がなかったんです。国民はアベノミクスという幻想から目を覚ますべきです」

しかし、自民党総裁選への出馬会見(9月2日)で菅義偉官房長官は「アベノミクスをしっかりと引き継いで、前に進めていきたい」と語った。悪夢は“スガノミクス”として引き継がれていくのか。

「女性自身」2020年9月22日 掲載