「介護サービスって色々な種類があるし、似たような名称が多くて違いが分かりづらい・・・」なんてモヤッとしている人は多いかもしれませんね。

施設へ通い介護やリハビリを受ける「通所サービス」は、自宅にこもりきりになることを防ぐ効果があります。利用者さん自身だけではなく、介護する側の家族にとっても、心身ともにリフレッシュタイムをつくるきっかけとなります。無理のない在宅介護生活を送る上で、ぜひ知っておいていただきたいサービスです。

今回は、「通所介護(デイサービス)」と「通所リハビリテーション(デイケア)」の違いや強みにも触れながら、看護師の筆者がわかりやすく解説していきます。

通所介護(デイサービス)ってどんなもの?

通所介護(デイサービス)は、「福祉用具貸与」を除く在宅で利用する介護サービスで最も利用されているサービスです。(※1)

多くのみなさんが利用する「通所介護」の内容はどんなものか見ていきましょう。
(※1)「平成30年(2018年)度 介護給付費等実態統計の概況厚生労働省

通所介護のサービス内容

通所介護では施設の送迎車で送り迎えをしてもらい、以下のようなサービスを受けることが可能です。

  • 看護師による健康チェック

  • 入浴、排せつ介助、食事などの生活介護

  • 機能訓練(リハビリテーション

  • 趣味(生け花、囲碁、将棋など)、レクリエーション

  • 散歩(外出レクリエーション)

通常の「介護」だけではなく、他の利用者との交流や趣味といった、レクリエーション性の高い活動が用意されている点が人気の理由かもしれません。

通所介護(デイサービス)の日は「お出かけ」感覚で、他の利用者さんとのおしゃべりや、趣味に興じることが何よりの生きがい、と言ってくれる人も。「足腰が弱ってきて家に引きこもりがちになってしまうのが心配・・・」なんて人にはぜひおすすめです。

筆者の印象では、通所介護(デイサービス)にいらっしゃる人は、社交的でお世話好きの人が多いです。利用者さん同士が、若い頃の思い出話に花を咲かせたり、共通の趣味やを通じて親交を深めたり・・・といった楽しそうな光景を見てきました(時にはちょっとしたトラブルが起こることもあるのですが・・・)。

施設によって活動のメニューや雰囲気などはかなりちがいます。利用する前に見学し、ご本人が「行きたい」と思えるデイサービス施設を選んでくださいね。

また、日頃介護を頑張っているご家族にとっても、日中の時間帯を介護以外の用事にあてることができる、嬉しいサービスとなっています。

通所介護(デイサービス)の費用

通所介護の費用は一般的なもの(通常規模(※)の事業所で7時間以上8時間未満の利用)で以下のようになっています。
※通常規模・・・1ヵ月の平均利用延べ人数301人以上750人以内
おむつや食事代などは別途費用が必要です)

  • 要介護1・・・645円

  • 要介護2・・・761円

  • 要介護3・・・883円

  • 要介護4・・・1,003円

  • 要介護5・・・1,124円

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通所リハビリテーション(デイケア)って何をするの?

通所リハビリテーション(デイケア)は、先述の通所介護(デイサービス)と混同されがちですが、異なるサービスです。

「デイサービスとデイケアってどうちがうの?」

「通所介護(デイサービス)」「通所リハビリテーション(デイケア)」って、名前が似ていますよね。「明日はデイの日だね」という言い方だけでは、どちらを指すのか分かりません。

この二つが混同されるのは、通所介護(デイサービス)でも心身機能の維持向上のために「機能訓練」を行うからでしょう。

デイサービスでの「機能訓練」と、デイケアでの「リハビリテーション」の目的は同じですが、制度上では大きな違いがあります。

前者の機能訓練は介護スタッフの補助だけで行うことができ、医師の事前の指導は不要です。それに対し、後者の「リハビリテーション」は医師の指導が事前に必要となります。また、設定された目標が達成できるとサービス終了(通所リハビリテーション卒業)となる点も注意しておく必要があります。

ざっくり整理すると

に重きを置いている、と理解していただくとよいかもしれません。

通所リハビリテーションのサービス内容

では、ここからは通所リハビリテーション(デイケア)では実際にどんなサービスが受けられるのかを見ていきましょう。

  • リハビリテーション(歩行訓練、体操等)

  • 入浴、排せつ介助、食事などの生活介護

  • 家屋調査

  • 住宅改修・福祉用具の提案

  • レクリエーション

  • 看護師による健康チェック

リハビリを主に行いつつ、日常の介護も受けることができます。また、身体機能の状態を考慮し、自宅での生活の質を高めるために、福祉用具の使用や、住宅改修(手すりの設置など)についての提案を専門家から受けることもできます。

日常介護をあまり必要としない方は、身体機能の改善を目標にして、短時間利用のジム感覚で通ってらっしゃる方も。

先述の通所介護(デイサービス)と同様、利用者さん同士が活発に交流される傾向があります。1人でリハビリテーションをしようとするとめげてしまうこともありますが、一緒に頑張る仲間がいると楽しく続けられる、という方も多いです。

通所リハビリテーション(デイケア)での「予防サービス」について

通所リハビリテーション(デイケア)では介護予防サービスにも対応しています。

介護予防サービスとは、身体機能の低下が少ない要支援1.2の方が受けることができるサービスです。今後、介護が必要にならないようにリハビリなどを受ける内容となっています。

介護予防通所リハビリテーションでは、生活機能を向上させるための「共通的サービス」に加え、「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」に関するサービスを組み合わせて受けることができます。

通所リハビリテーション(デイケア)の費用

通所リハビリテーション(デイケア)の費用は以下のようになっています。

※事業所の規模や利用時間により料金が異なる場合があります。
おむつや食事代などは別途費用が必要です。

介護予防サービスとして利用(要支援1.2の方)※月額

共通的サービス

  • 要支援1・・・1,712円

  • 要支援2・・・3,615円

選択的サービス

  • 運動器機能向上・・・225円

  • 栄養改善・・・150円

  • 口腔機能向上・・・150円

通所リハビリテーション(デイケア)として利用(要介護の方)※1回につき

  • 要介護1・・・667円

  • 要介護2・・・797円

  • 要介護3・・・924円

  • 要介護4・・・1,076円

  • 要介護5・・・1,225円

その他の通所サービスについて

通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)以外には

  • 認知症対応型通所介護・・・認知症に対応したサービス

  • 地域密着型通所介護・・・少人数制で地域に密着したサービス

  • 療養通所介護・・・常に看護師による観察を必要とする難病、認知症、脳血管疾患後遺症等の重度要介護者又はがん末期患者さん対象のサービス

があります。

サービス内容の基本はデイサービスと同じです。そのうえで、それぞれの利用者さんのニーズに特化したサービスとなっています。

その他の通所サービスの費用

認知症対応型通所介護の費用(社会福祉施設等に併設されていない事業所で7時間以上8時間未満の場合)※1回につき

  • 要支援1・・・852円

  • 要支援2・・・952円

  • 要介護1・・・985円

  • 要介護2 ・・・1,092円

  • 要介護3・・・1,199円

  • 要介護4・・・1,307

  • 要介護5・・・1,414円

地域密着型通所介護の費用(7時間以上8時間未満の利用)※1回につき

  • 要介護1・・・735円

  • 要介護2・・・868円

  • 要介護3・・・1,006円

  • 要介護4・・・1,144円

  • 要介護5・・・1,281

療養型通所介護の費用※1回につき

  • 3時間以上6時間未満の場合・・・1,007

  • 6時間以上8時間未満の場合・・・1,511円

さいごに

「介護サービスって、どれを利用したらいいのか分からない・・・」そんな声を筆者はたくさん聞いてきました。確かに、似たような名称のサービスでも、それぞれの目的や特徴、そして利用対象者が異なってきますよね。

アマネジャーや医療機関などに勧められるまま選んだ、という人も多くいらっしゃいます。でも、せっかくなら、自分や家族にあったサービスや施設を、自分の目で確かめてから決めることができると安心感が増すかもしれませんね。

今回お話した予備知識を頭の片隅にでも入れておいていただけると嬉しいです。今後、家族やご自身が介護サービスの利用が必要となったとき、きっと力になるのではないかと思います。

【参考】
平成30年度 介護給付費等実態統計の概況厚生労働省
公表されている介護サービスについて厚生労働省