【J番記者コラム】3試合連続の逆転負けも…C大阪戦の内容にポステコグルー監督は手応え

 セレッソ大阪に1-2で敗れ、まさかの3試合連続逆転負けで3連敗を喫したにもかかわらず、横浜F・マリノスアンジェ・ポステコグルー監督は穏やかな表情で前向きな言葉を並べた。

「しっかりコントロールできたし、支配してチャンスをたくさん作った。最近の数試合とは見違えるようなサッカーをしてくれた。勝てなかったのは残念だが、自分たちのサッカーを選手たちが最後まで表現してくれた。自分たちのサッカーを出すことができたので、選手が誇らしい。自分は満足しているし、うれしく思う」

 字面だけを切り取ると3連敗後の言葉とは到底思えない。

 試合に敗れたことは事実で、しかも先制しながらの逆転負けは精神的なダメージも大きい。だが同じ黒星でも川崎フロンターレ戦(1-3)での完敗や、消化不良に終わった名古屋グランパス戦(1-2)とは内容がまったく違う。

 前節から採用している3バックの布陣で、明らかな進捗を見せた。中盤と前線の立ち位置を微調整し、攻守両面での約束事を再確認。その結果、C大阪戦の前半は出足鋭いアグレッシブなプレスで相手を押し込み、ほとんどハーフコートゲームを展開した。システム変更しても横浜FM自慢のハイライン&ハイプレスは健在だ。

 DF和田拓也とMF渡辺皓太のダブルボランチがゲームを制圧し、2シャドーの一角を担ったMFマルコス・ジュニオールが好機を創出していく。FWエリキが放ったバー直撃シュート2本のうちのいずれかが決まっていれば、と言わずにはいられない展開だった。

 後半に入って先制に成功しながらも、一瞬の隙を突いて同点に追いつかれ、さらにDF伊藤槙人の退場によって数的不利に。リーグ最少失点を誇るC大阪の老獪さに屈した形となったが、3バックに変更して2試合目とは思えないパフォーマンスを見せたことは強調したい。

 名古屋戦からC大阪戦の上昇度を考えれば、今後も3バックを継続していく選択肢も十分に考えられる。さらに戦術理解が深まり、攻撃がゴールという出口で完結すれば、おのずと結果もついてくるはず。15年ぶりに優勝した昨季とは異なる形での戦い方は、トリコロールの進化系と言っていい。

前半17試合で昨季終了時と同じ8敗目、J1連覇は風前の灯火

 ただしJ1リーグ連覇を目指すディフェンディングチャンピオンの立場で考えると、あまりにも痛すぎる3連敗だ。シーズン折り返しとなる17試合を戦い終え、これで首位の川崎との勝ち点差は「23」に開いた。数字上は逆転の可能性が消えていないとはいえ、この時点で昨季終了時と同じ8敗目を喫した事実が横浜FMに重くのしかかる。

 それでも自分たちのサッカーを貫くうえで、最重要項目は指揮官が語る内容やパフォーマンスだろう。過酷な連戦が続くのは承知のうえで、自分たちにフォーカスしていかなければ向上の道はなく、結果もついてこない。目先の結果に一喜一憂せず、勇猛果敢に突き進まなければならない。

 連覇の可能性が風前の灯火になったとしても、横浜FMの進むべき道は変わらない。(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

横浜FMの3バックはDFチアゴらで構成される【写真:小林 靖】