「周囲の人の気持ちに左右されてしまう」「音や光などに敏感になってしまう」といった、日々生きづらさを感じている…。
そんなあなたはもしかすると ”HSP” と呼ばれる気質を持つ人なのかもしれません。
周囲を気にしすぎて疲れてしまう、気持ちが落ち着かないなど、「生きづらさ」を感じる特徴に着目されがちですが、実はその感受性の豊かさから才能を発揮する人も多いと言われています。
HSPを個性として捉え、生かしていく。そんな視点から、HSPについて紐解いてきたいと思います。
「人一倍繊細な人」
HSPとはアメリカの心理学者 エレイン・N・アーロン博士が提唱する「Highly Sensitive Person(ハイリーセンシティブパーソン)」の頭文字をとった言葉で、日本語にすると「人一倍繊細な人、敏感な人」といった意味です。
人口の20%、つまり5人に1人がHSPではないかと言われています。しかしHSPとは「気質」を表す言葉で、決して病気ではありません。
HSPの人には次のような4つの特徴があります。
ものごとを深く考える
刺激を受けやすい
感情の面で反応しやすく、共感しやすい
かすかな刺激に対する感受性が強い
アーロン博士は、「この4つの特徴に全て当てはまる人がHSPである」定義していますが、病気ではないので明確な基準はありません。上記の特徴の他にも、「一人の時間が必要な人」「人見知りの人」など、誰にでも当てはまりそうな気質を持つ人がHSPの人といえるでしょう。
これらの特徴のネガティブな面にだけ着目してしまうと、職場や学校など組織に属することが難しくなってしまいがちです。そのため、中には自分が悪いと思いつめてしまう人も。
でも、HSPの特徴とは本当に「生きづらさ」だけなのでしょうか。ある芸能人は、多彩な才能を発揮しながら、自身がHSPであることを公表されています。
HSPの気質が強みに
お笑い芸人、ビジュアル系バンドのボーカル、作家、経営者など、様々なジャンルで活躍し、人気を博しているロンドンブーツ1号2号の田村淳さんは、自身がHSPであると公表されています(※田村淳さんTwitter)。
テレビなどで見かける彼の姿は、MCをしながら多くの人と積極的に話すなど快活な様子が多いです。そのため、一見HSPとは縁遠いように見えるかもしれませんね。
実はMCの仕事では、特に「感情の面で反応しやすく、共感しやすい」というHSPの特徴を生かすことができるといいます。田村さんは、出演者一人ひとりの表情や声の温度がとても気になるそうです。そんな風に「気がつくことができる人」だからこそ、絶妙なトークを回していく上の“気配り”という形でHSPの気質を前向きな形に変換できているのではないでしょうか。
MCに限らず、さまざまな職種で、HSPの気質は武器になり得ます。
「ものごとを必要以上に考えてしまう」という特徴は、発想を転換すると「知らないと気が済まない性格」。研究や調査など、知識を深く追究していくことが必要な分野で、強みを発揮できるかもしれませんよね。
感受性の豊かさは、芸術家や文筆家といった、クリエイティブな発想が求められる仕事においては最大の武器となるのではないでしょうか。
また、カウンセラーや教師、介護士といった、人の対話が多い分野の仕事では、共感性を力として発揮する人も多いといいます。
そして、職種を問わず、プレゼンテーションや物事を伝える場、日頃の同僚とのやりとりなど、相手の気持ちになって対話ができる共感性は、人間関係を築く上で武器になるでしょう。
大切なのはHSPの気質を前向きに捉えること、そしてそれを自分自身が知ることです。
「個性」として認めていく
どんなに優れた個性や資質を持っていても、自分自身が理解していなければ、それらを最大限に発揮することはできません。相手の気持ちを察し、気を配ることはもちろん素晴らしいことですが、気を遣いすぎて自分自身が辛い思いをしては、生きづらさの解決にはならないでしょう。
HSPは生まれ持っての気質です。そのため、「HSPである」ということと上手につき合っていく必要があります。対処の方法としては、自分自身で限界を知ること。その限界を超えそうになったなら、自分から「刺激の量を減らす」「刺激を予測する」などの行動を起こすことが、自分を守ります。
淳さんのように「HSPである」と周囲に伝えることは、生きづらさを感じる場面で「HSPの人だから、そんな風に感じるんだね」と、深刻にならず対処できるというメリットもあります。もっとも大切なことはHSPを個性として認めていくことなのでしょう。
さいごに
人一倍繊細だからこそ生きづらさを感じてしまうことが多いHSP。けれどその特徴を自分自身で理解し、「HSP=個性」として認めていくことで、その気質を才能として最大限に発揮できるのではないでしょうか。
「あなただからこそできること」
肩の力を抜いて一度向き合うことで、それが見えてくるかもしれません。
【参考】
Highly Sensitive Person
「HSPとは」新宿ストレスクリニック
「芸人らの告白で注目『HSP』ってどんな人たち?」神戸新聞NEXT
「ロンブー田村淳さんのHSP処世術」ダ・ヴィンチニュース
※田村淳さんTwitter
「漫画で知る「HSP:敏感すぎる人々」。あなたは”1人が一番楽”と思いますか?」LIMO
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