ハノイの旧市街には高層ビルはなくて、低い建物と狭い路地が入り組んで、ちょっとだけ冒険心をあおるような雰囲気です。夜になると店の灯がともって、オレンジ色の街灯と共に、ちょっと懐かしいような趣になってきます。世界50カ国以上を一人旅した筆者が、世界で出会い心に残った料理をご紹介。今回はベトナムの首都ハノイの名物料理「チャーカー」です。「魚の油鍋」と呼ばれてもいるようです。

チャーカーの専門店に出かける!


「チャーカー・タンロン」というチャーカーの専門店に出かけました。場所は早朝から朝ごはんを出す店が並ぶ通称「朝ごはん通り」にも近いダウンタウン。

夜の早い時間なら、ハノイでは身の危険を感じることも、なんとなくやばいかもと感じることもなく、とても安全。きちんと注意していれば一人で歩いても不安を感じることはありません。10時を過ぎると閉めるお店も多く、町全体が暗くなるので、それまでにはホテルに帰ったほうがいいかと思います。



さて、お店に到着してみると、やっぱり間口が狭めで奥行きのある建てつけ。数名のグループやカップルで賑わっていました。さすがに一人客はおらず、どうなることかと思いつつ、テーブルに案内してもらいます。
あらかじめ焼いた魚を油でまた焼く


すでにチャーカーを食べようと決めてきたので、1人前を頼みました。鍋というと何人かでつつくものという先入観というか、日本の鍋のイメージがありますが、こちらは1人分で全く問題ありません。

炭火が入ったコンロの上に鍋、青ねぎとディルが入った丼、パクチーミント、白ねぎ、ピーナッツに、3色のチリが入った小皿に、ヌクチャムというベトナムの万能つけダレ、茹でたコメの麺「ブン」も一緒に運ばれてきます。



あまりにもいろいろ運ばれてきたので、ちょっと呆然としている雰囲気を察したのか、店員さんが、「じゃ今から作りますね」と目の前で調理を始めてくれました。

鍋には大さじ2強くらいの油が入っていて、そこに白身の川魚にターメリックをまぶして、あらかじめ炭火で焼いたものを投入。揚げ色を付けていくとともに、ねぎとディルも一緒に炒めていきます。

「油鍋」と聞いていたのですが、「ちょっと多めの油で炒める」というほうが適当なようです。野菜も炒めれば量を食べやすくなります。思っていたよりもヘルシーな鍋でした。
オン・ザ・ブンでいただきます!


魚がいい色になって、野菜に火が通れば、ボールにまずはブンを乗せ、そこに鍋から温かい具と、白ネギミントパクチー、チリとピーナッツをトッピングして、ニョクマム(魚醤)とライム、お砂糖で作ったヌク・チャムというソースをかけます。

具からの油と、ヌクチャムの旨味をブンが吸ってくれて、まるで白ご飯においしいたれが浸みたような印象です。ハーブ類が新鮮なので、全体をすっきりとまとめてくれます。食べ方も、しっかりヘルシーでした。価格は12万ドン(約550円)です。
Chả Cá Thăng Long
住所:21 - 31 Đường Thành, Cửa Đông, Hoàn Kiếm, Hà Nội, ベトナム
営業時間:月〜日10:30〜21:30
デザートはやっぱりチェーにする!


「Che 4 Mua (Chè Bốn Mùa/チェーボンムア)」は夜11時まで開いているチェーのお店。食事の後はのんびり歩いて、甘いものを食べに行きました。



「Chè thập cẩm(チェー・タップカム)」という、蓮の実、仙草ゼリーあずきにたっぷり練乳、そこに氷がが入った定番のチェーです。甘いんだけど、ちょっと苦味もあって、氷を溶かしながら味の変化も楽しめます。2万ドン(約90円)です。



ふと、ほかのお客さんを見ると、何やらぜんざいのようなものを食べてるんです。しかも、どうも温かいみたいで気になります。さっきのチェーもあまり大きくなかったし、こちらは小さな椀だし、ということで食べてみます。

この「Chè đỗ đen(チェー・ドーデン)」は黒豆のぜんざい。甘い餡にやっぱりコンデンスミルクをかけますが、なかなかおいしい。温かいので、チェーで冷えたおなかが温まってうれしいんです。こちらも2万ドン(約90円)でした。

そうこうしているうちに、だんだん夜も更けてきたので、まだ人通りが多いうちにホテルに戻りました。
Chè Bốn Mùa
住所:4 Hàng Cân, Hàng Bồ, Hoàn Kiếm, Hà Nội, ベトナム
電話:+84 984583333
営業時間:月〜日10:00~23:00
ハノイ夜歩きは10時くらいまで
ハノイは比較的安全な街。のんびり歩いて、おいしいものを食べに出かけるのも楽しめます。でも、10時を過ぎるとお店が閉まりだし、人通りも少なくなります。街の中心の表通りでも、このくらいの時間を過ぎたら、早めにホテルに帰ったほうがよさそうですよ。

[All photos by Atsushi Ishiguro]

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