ウイルスから国民を守るのも国防や」──テレビやSNS、YouTubeで「ちょっと待て、おかしいやないか!」と日本の政治や社会問題を舌鋒鋭く斬りまくるお笑い芸人のほんこんさん。新型コロナウイルスの感染拡大によってあぶり出された日本の大問題とは? 国民の命と領土を守るという観点から忌憚なき主張を披露する。(JBpress)

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(*)本記事は『コロナと国防 ちょっと待て、こんな日本に誰がした!』(ほんこん著、ワニブックス)から一部を抜粋・再編集したものです。

自衛隊中央病院の奇跡、知ってまっか?

 新型コロナウイルス感染者を乗せたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」が横浜港にやってきたのは2月3日のこと。ボクは最初っから経産省やら厚労省やらが感染拡大を抑えようとしたって無理やと思っていました。

 ボクは防衛省がコロナ対策を担当するべきだったと考えています。ダイヤモンド・プリンセス号や武漢からのチャーター機で帰国した感染者112名を受け入れた自衛隊中央病院では死者はゼロで、4月上旬までにすべての患者を退院させたといいます。

 5月7日の時点で約220人の陽性患者を受け入れながら、院内感染者がゼロであることから「世界レベルの奇跡」だともいわれています。

 自衛隊中央病院のホームページには、ダイヤモンド・プリンセス号から搬送された新型コロナウイルス感染者(陽性)104症例について書かれています。それによると、17の国と地域の乗員、乗客104名の平均年齢は68歳、男女比半々。乗員は30~50代が中心で、乗客は70代中心でした。

 乗客のうち半数近くの48%に高血圧などの基礎疾患があったにもかかわらず、死者をゼロに抑えたというのですから驚きです。

 自衛隊の活躍は、よその国だったら「うちの軍隊では感染者がゼロですよ!」って絶対にアピールしてるでしょうね。

 5月8日の『Nスタ』(TBS系)で放送されてましたけども、自衛隊中央病院に入院していたドイツ人ご夫婦が「ほかの患者さんと『この病院に入院できて私たちはなんて幸運なんだろう』と言い合いました」「もう一度日本に行きたいです」とお礼の手紙を防衛省に送ったというニュースを取り上げていました。

 自衛隊中央病院の治療データにより、新型コロナウイルスという未知の病気に対しての基礎知識が日本の医療従事者に共有されたことは、その後の治療対策に大いに役立ったと思います。最前線で見事に未知のウイルスに対処した自衛隊自衛隊中央病院は、もっと評価されてもいいのではないでしょうか。

 自衛隊が見せた感染対処能力は、ある意味で日本の「国防」を見せつけました。生物兵器テロに対しても抜かりのない対応ができることも示したといえるでしょう。

 国防というと、どうしても日本の領土を守るという面に目が行きがちですが、感染症から国民を守ることももちろん国防に含まれます。

 その実効性を高めるためには、やっぱり「憲法改正」への議論は避けられません。少なくとも「憲法改正の議論を始めてや」と思いますし、「憲法改正の議論すら必要ないというのはやめてえや」と国会議員の方々にはお頼みしたいものです。

攻めて来たらタダではやられへんでという覚悟を見せるべき

 戦争抑止のために憲法改正の議論をしよう、そして軍事力についても議論しよう、さらにいえば核の保有についても議論するのはいいんじゃないか・・・と、これだけわかりやすく言っても、「ほんこん、おまえ戦争やりたいのか」「人を殺したいのか」「このネトウヨめ」って絡んでくる人らは必ずいます。議論すらあかんのか!?

 じゃあ、玄関の鍵を開けっぱなしで侵入されて、命を脅やかされてもいいんですか? 「おまえ、黙って強盗に入られるの?」って聞きたいですわ。

 今までなかったからって、これからもないとは限りません。日本各地が襲われている豪雨災害だって、3年に1回とか言われながら2年続けて起きたりしてます。

 外国が攻めてきたら、「逃げる」というバカも後輩におったけど、自分の国も家族も同胞も失って、自分一人だけ生き残ったところで意味がないやん。

 武器を手にしたからって、人を殺したいなんて誰も思ってないよ。殺されへんために、かかってこさせへんために自分が鍛えて、武装するだけの話やで。

 ほんまにごっつい体して金属バットを持ってたら、誰がかかって来んねん? 井上尚弥選手にケンカ売る子おる? 武力での抑止力っていうのはそういうこと。井上尚弥くんだって、強いからって路上でケンカするわけじゃないやん。

 そこで中国や韓国、北朝鮮が好きな人らに聞きたいですけど、中国に核があるということは、彼らは原爆を落として人殺したいんですか? 韓国には核はないけども軍隊はあります。あれも人殺したいから持ってるんですか? 日本が軍隊を持ったら戦争をすると主張する人、それにまず答えてみって。

 結局、「軍隊を持つ=戦争したい」なんかじゃないんですよ。行き着くところはまったく逆で、「戦争をしたくないがため」なんです。もし敵が攻めてきたらタダではやられない、絶対に報復するでという覚悟を見せるということしか答えはないのよ。

 それでもまだなんかゴチャゴチャ言うなら、自分の家に鍵すんなや! 玄関開けて寝ときや。泥棒入って来いひん保証はないんやで。

 でも、警察が玄関前におったら泥棒が入らんのと一緒で、準備や覚悟があったら敵は簡単に攻めて来ないんじゃないかと言っているだけです。

自衛隊は違憲だ」と言っていても、もし敵が攻めてきたら自衛官の方に守っていただくわけです。護憲派はそこがまたフェアじゃないところですよ。戦争でも仕掛けられたら一番最初に矢面に立つのが彼らです。国のために命を懸ける人たちの存在が合憲か違憲かなんて論争に終止符を打つためにも、憲法改正の議論から始めましょうよ。

 本当に日本が憲法を改正したら隣国の出方も変わってくると思います。議会制民主主義で、憲法改正を掲げて与党は過半数を取ったのに、憲法改正の議論すらしようとしません。議論ぐらい堂々とやりゃええのに、なんでやれへんねん? いちばん大切なのは国民の命ちゃうんかいな。それは新型コロナ対策でも一緒でしょう。

外国が攻めてくることは絶対にないってなんで断言できるの?

 もし今回の新型コロナウイルスが日本で発生して広がったなんてことになれば、日本は世界に申し訳なかったと謝罪して、おとなしく反省もして、もしかしたら賠償金まで払っていたかもしれません。

 今回のウイルスは中国の武漢から広がったのは客観的な事実でしょう。しかし、中国は謝るどころか、その責任を認めようとしません。戦略的には、相手の嫌なことをするというのが鉄則やから、上手いやり方をしているなと感心しますよ。ある調査によると、さすがは国民の9割が「正直者は損をする」と回答した国だけあります。

 いくら「ボクらが戦わない」って言っても、来るものは来るというのは、新型コロナウイルスから学んだことです。

 みんな尖閣諸島なんて遠いと思ってるから危機感を感じてませんけど、日本の領土には間違いないですからね。佐世保の海とか、いや大阪湾にガンガン来ても、指をくわえて見てるだけでしょうか。

「離れ小島に外国船が来ただけで大騒ぎして。そんなん、放っときゃええやん」と思ってる人もいるけど、他国の軍隊が大阪の街を武装して歩いてるのと何も変わらないわけですよ。「大げさだ」って言う人らは、外国が攻めてくることなんて絶対にあり得ないって思い込んでるんでしょうね。

 たしかに、戦後75年はそういうことはありませんでした。日本も安心して平和ボケしていられました。しかし、この先はわかりません。

 ある日ワーッと上陸されて、周りがどんどん侵略されていくのを尻目に、「やっぱり間違うてた。ほんこんがいうてた通りやった」と思ったって手遅れやで。

 だったら上陸もさせない、向こうにも撃たせない準備をするのが最大の防御になるわけです。そのための抑止として軍隊を持つことの議論が必要です。

 戦争したないねん。それだけやで、ほんまに。ボクは平和な世の中で普通にお笑いの仕事がしたいだけやねん

 国防というのは、まさに「外敵の侵略から国を防衛する」こと。そこに「他国を侵略する」なんて定義は1ミリも入り込みません。

 未知のウイルスという外敵も含めて、国を守る対策をするのが当然ですが、今の憲法がそれを阻んでいる可能性もしっかり検証すべきでしょう。本当にそうであるなら、憲法の改正を議論した上でしっかり国防対策を練っておき、何も起こらなかったらそれが一番平和でいいやんって話です。

 例えば、子どもが空手を習ったりするのは、暴力の加害者になろうと思ってのことじゃないでしょ。心身の育成が目的で、人を殺すための訓練なんかじゃないわけですよ。万が一、ケンカになってしまった時は、空手が身に付いていれば急所をわかってるから、はよ終わるでしょ、相手を必要以上に傷つけることなく。

 軍備を整えるとは、そういうことです。世界平和のためなんです。

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