
ジュラシック・パークでは琥珀に閉じ込められていた蚊が吸った血液から恐竜が復活したが、ミャンマーのカチン州では琥珀の中から1億年前の巨大な精子が発見されたそうだ。
それは「貝虫」と呼ばれる2枚の貝殻がついたミジンコのような生物のもの。性の進化をめぐる謎を解き明かす大きなヒントになるようだ。
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1億年前に閉じ込められた39匹の貝虫
中国科学院をはじめとする国際的グループが琥珀の中から発見したのは、白亜紀(約1億年前)の貝虫39匹だ。そのメスの生殖器の中には、巨大な精子まで残されていた。精子と断定されたものとしては最古の化石であるという。
また31匹は「Myanmarcypris hui」という新種で、幼虫から成虫への個体発生的な流れをうかがうことができるとのこと。
貝虫にはさまざまな種が知られているが、体は0.2~30ミリ程度で、二枚貝のような左右に分かれた殻で身を守っているのが特徴だ。
メスは卵が成熟するまで精子をためておく容器を持っており、精子が発見されたのもそこからだ。
メスは交尾後まもなく琥珀に閉じ込められたものと考えられている。
琥珀からは数匹の昆虫のほか、39匹の貝虫が発見。そのうちの1匹の体内に世界最古の精子が残されていた
太古の貝虫を3Dモデルで再現
研究グループがメスの体をX線で解析し、それを3Dモデルで再現してみたところ、小さな手足や生殖細胞の形状が浮かび上がったとのこと。
ほかにもオスの把握器、精子のポンプ(ツェンカー器)、交尾で生殖口に挿入されたオスの生殖器(ヘミペニス)も再現されており、その当時に交尾によって受精が行われていたという最古の直接的な証拠と考えられるそうだ。
メスを3Dモデルで再現したもの
以前に見つかっていた最古の精子は1600万年前のもの(こちらも貝虫)だったので、それよりはるかに古い時代の性についてヒントが得られたことになる。
今日まで営まれている交尾による生殖は1億年前からずっと変わらずに続いてきたということだ。
交尾をするMyanmarcypris huiのイメージ。右がオスで、左がメス
巨大な精子による生殖戦略
貝虫やミバエなどは、卵子の受精率をあげるために、巨大な精子を作るという戦略を選んできた。しっぽの部分まで含めれば、ときにそれは自分自身よりも大きいこともある。この点、人間をはじめとする動物が、小さな精子を大量に作る戦略を選んだのとは大きく違う。
こうした巨大な精子で生殖するためには、それだけ大きな生殖器が必要になるために、その生物にとっては負担になる。そのため、この戦略を採用する生物はすぐに絶滅してしまうのではないかという見解もあった。
しかし1億年前からこの戦略を続けてきた生物が発見されたことで、十分長い間種として生存できるらしいことが判明したとのことだ。
現代の貝虫の一種の映像
Ostracods under the microscope
この研究は『Proceedings of the Royal Society B』(9月16日)に掲載された。
Exceptional preservation of reproductive organs and giant sperm in Cretaceous ostracodsReferences:sciencedaily / ancient-origins/ written by hiroching / edited by parumo 全文をカラパイアで読む:
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2020.1661
http://karapaia.com/archives/52294880.html
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