新型コロナウイルスの影響によって貧困に陥る人が後を立たない。結果、人間的な生活を営むために必要な“家”すらも奪われる人が増えているという。その一方で、意外なきっかけで「家なき中年」を脱出した人々がいる。生きていくために必要な「住まい」を得るためのヒントとは?「以前は職場に住んでいた」と言う35歳男性を取材した。

◆職場であるデザイン事務所をすみかとする日々

 都内にあるデザイン事務所に手取り15万円で勤務している中嶋友太さん(仮名・35歳)は、かつて職場をすみかとしていた。

「30歳から2年間、アパートで一人暮らしをしていましたが、薄給すぎて家賃の更新料を払うことができず、事務所に移り住むことにしたんです」

 中嶋さんの寝床は自分の机の下。出勤してきた人の邪魔にならないよう体を曲げて寝ていたという。だが、激務の事務所は深夜残業も当たり前で、夜中でも常に明かりがともる。とても熟睡できる環境ではなかったという。

「ただ、以前シェアハウスに住んでいた経験があるので、人がいる環境はあまり苦に思わないんです。でも、意外と辛かったのが、事務所なので自分の好きなように模様替えできないということ。枕元に観葉植物を置いて、気分転換していましたね」

 また、直に床で寝ていたせいで、体の節々が凝ってバキバキになり、気分転換のため格安ラブホや漫画喫茶に泊まることもしばしば。結局は貯金ができなかったという。

◆彼女との同棲開始で家なき中年を脱出

 そんな中嶋さんが家なき生活を抜け出したのは、事務所暮らしから2年たったころ。

「家なきキャラが周囲に定着してきたとき、僕のことを面白がってくれた仕事仲間の女性(35歳)とひょんなことで付き合うことになりました。彼女の部屋に転がり込む形で同棲を始めたんです」

 今は彼女との結婚も視野に入れ、充実した毎日を送っているという。中嶋さんいわく「家なき暮らしから抜け出すには、あえて生活を周囲に話すことが大切」だと話す。

「そのほうがコミュニケーションのきっかけになり、周囲と繋がれるチャンスになるんです。万が一また家がなくなったら、SNSなどに書いて話題にすると思います」

 家なきをネタに変えるくらいのコミュ力が大切なのだ。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[「家なき中年」衝撃ルポ]―


中嶋友太さん(仮名・35歳)