浦和Lの猶本が2試合連続ゴールをマーク アシストも記録「良い守備があって良い攻撃」

 なでしこリーグ(日本女子リーグ浦和レッズレディースのなでしこジャパン(日本女子代表)MF猶本光は、21日のリーグ第11節INAC神戸レオネッサ戦にスタメン出場。FW菅澤優衣香のゴールをアシストしたほか、2試合連続ゴールも決めて4-1の勝利に貢献した。

 猶本は出身地福岡の、福岡J・アンクラスでなでしこリーグデビューした後、2012年に浦和へ移籍。その年の夏には、“ヤングなでしこ”の愛称で話題を集めたU-20女子ワールドカップ(W杯)で3位に入ったチームで中心的な存在として活躍した。18年夏まで浦和でプレーし、ドイツのフライブルクへ移籍して今年から再び浦和でプレーしている。

 その間に浦和は森栄次監督に交代し、堅守速攻というイメージのチームから流動的にポジションを変えながらボールを回していく攻撃的なチームに変貌した。森監督は第3節の日テレ東京ヴェルディベレーザ戦後に猶本の起用方針について、「ボールを回すというかコンビネーションのところは、まだ猶本の場合はうまく入りきれていません。パワーもあるし、キック力も持っているので、すごくいい選手だと思います。コンビネーションで周りと少しズレがあるので、猶本の場合は、ゲームを通しながらうまく使っていきたい」と、語っていた。

 猶本がドイツ移籍する前とメンバー自体はあまり変わっていないが、大きくやり方が変わっているだけに、自身もINAC戦後に「以前いたときよりはボールを大事につないで、という意識が強いなということは入ってすぐに感じました。サイドプレーしてもトップ下でプレーしても、距離感は以前いたときよりは近いかなと思っていて、そういうところは意識してポジションを取るようにしています」と話している。

 その言葉の通り、大きな変化はボランチというイメージの強かった猶本が2列目をメインに起用されていることだろう。自身も「良い守備があって良い攻撃があると思うので、そういう意味ではトップ下の位置で入るときは相手の攻撃をしっかり限定したり、相手の攻撃を規制するというか、後ろが奪いやすいように守備のスイッチを入れることを意識してやっています」と話すように、前線のプレスに参加しながら攻撃の仕上げに関わるところで存在感を放っている。

 INAC戦では1点リードの前半34分に、味方の最終ラインがロングボールを跳ね返したところに反応して、ワンタッチの浮き球で菅澤のゴールをアシスト。3-1となった後の後半15分には、DF清家貴子のマイナスの折り返しを右足でゴール右上に決めた。これで、前節の伊賀FCくノ一三重戦で直接フリーキックを決めたのに続く2試合連続ゴールになった。

ドイツ移籍を経験した猶本が世界に出て感じたこと 「日本にいた時よりは…」

 ドイツ移籍を経験した猶本は、違う文化に触れたことによる経験は人間的な成長につながったとも話している。

ドイツに行って一番感じたことは文化がすごく違うというか、ドイツ人の文化もありますし、語学学校に行ったときはほかの国の人とも触れ合うことがあって、いろいろな考え方やいろいろな価値観を日本にいるときよりも感じることができました。日本だと日本人の基準が当たり前ですが、ドイツでは人それぞれの価値観があって、それをしっかりみんなが理解して共存するというようなことを感じられたので、日本にいたときよりは広く考えられるように、広く物事を見られるようになったかなと思います」

 再び日本でプレーすることを選んだ猶本は、浦和で存在感を見せながらのシーズンを続けている。昨季からの積み上げも大きいチームは、新型コロナウイルスの影響で変則的な日程になった面もあるものの、10試合を終えて9勝1敗で勝ち点を27として、2位のベレーザとは勝ち点8差、この日に勝利した4位のINACとは勝ち点10差をつけて首位を独走している。

 なでしこリーグでの活躍だけでなく、来年に延期された東京五輪やその先の女子W杯などでなでしこジャパンでの活躍が期待される。ドイツ移籍で得たものと浦和でのトップ下という新境地が、猶本に新たな魅力を生んでいると言えそうだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

浦和レッズレディースMF猶本光【写真:Football ZONE web】