高松瞳が戻ってきた! 指原莉乃がプロデュースするアイドルグループ「=LOVE(通称イコラブ)」のデビュー3周年記念コンサート。パシフィコ横浜にファンが集結した久しぶりの有観客ライブで、昨年9月に開催された2周年記念コンサートから体調不良で休養していた高松瞳が実に1年ぶりに復帰した。デビューからシングルの表題曲5作連続でセンターを務めていた彼女の不在期間中、6枚目のシングル「ズルいよ ズルいね」では当時16歳の齊藤なぎさがセンターを担い、続く7枚目のシングル「CAMEO」ではなぎさと大谷映美里がWセンターを務めてきた。そして、新型コロナウィルス拡大防止に伴い、シングルの発売延期やライブの中止が相次いだ4月15日に妹分である「≠ME(通称ノイミー)」とのコラボ曲「次に会えた時 何を話そうかな」のMVが急遽公開されたが、総勢24名による歌唱で、レコーディングには休養中だった高松瞳も参加したが、6月27日(土)に開催された初の無観客配信ライブには不参加だった。
※「高松瞳」の「高」は、はしごだかが正式表記

開演前にはノイミーが出演した観覧の注意をまとめたVTRが流れていた。続いて、影アナを務めた山本杏奈と佐々木舞香が先導し、この日のために用意されたスティックバルーンの練習が行われた。Overtureが流れると、画面には1席ずつ空けて、立たずに座ってスティックバルーンを叩く観客の姿が映し出された。そして、佐竹のん乃から瀧脇笙古、野口衣織と一人ずつステージに上がっていき、最後に高松が登場。やや緊張した面持ちでハイトーンを響かせ、デビュー曲「=LOVE」でセンターポジションに立った。メンバーそれぞれに異なる個性を携えているが、彼女が12人の真ん中で、あの太陽のような笑顔を浮かべているだけで言いようのない安心感がある。彼女が「3周年いくぞ!」と叫んだ瞬間に銀テープが発射された。なぎさや佐々木は嬉し涙を浮かべており、早くもクライマックスの様相を呈していた。エンジのブレザーマフラーを巻き、手をつなぎ、体を寄せ合って歌った「僕らの制服クリスマス」、ハイタッチを交わして高くジャンプした「今、この船に乗れ!」、12人全員を引きで映した「アイカツハッピーエンド」。ここまでの4曲で、高松がセンターで輝く、いわば、イコラブの陽の面を存分に現した後、彼女たちの表情は一気に多面的になっていく。

なぎさが目を閉じ、情感たっぷりに歌った「ズルいよ ズルいね」では笑顔を封印。そして、「虹の素」からはユニットコーナーへと突入し、トップバッターの佐々木と野口はモノクロの画面で心の弱さや痛みをぶつけ合い、諸橋沙夏のソロ曲「My Voice Is For You」では、会場が彼女のイメージカラーである緑のペンライト一色なり、涙で歌えなくなる場面もあった。佐竹が「のん乃の好奇心旺盛コーナー」をコミカルに繰り広げ、アイドルファンの心理を実際のパフォーマンス映像を使って解説した「推しのいる世界」から、グループ初の対決コントを挟み、大谷、音嶋莉沙、齋藤樹愛羅、なぎさ、諸橋でガーリィーな世界観を見せつける「Sweetest girl」へ。さらに、佐々木がセンターを務めるスイートでキュートな新曲「しゅきぴ」から、なぎさ&樹愛羅のサイトウコンビが煽ってシャウトし、さっきまで可愛く“ずーっと見てて”と言っていた佐々木がドスを効かせるラウドロック「いらない ツインテール」、さらに、佐竹が「みなさん心の中で大好きコールいきますよ」と呼びかけ、なぎさが“大好きだよ”と告白する「届いてLOVE YOU」という、甘・辛・甘という構成。この激しいギャップに翻弄された人も多かったに違いない。

ここからは大人と子供の間で揺れ動く心情を表現していた。「CAMEO」ではミステリアスで強気な大人の女性像を示し、「記憶のどこかで」では椅子を使った艶やかなジャズダンスも披露。膝を崩して両手をあげるフリが印象的な「手遅れcaution」では、重いストリングスの調べに乗せて激情的に歌い上げ、野口がセンターを務めたシャイニーサマーソング「「君と私の歌」」と、大場花菜がカメラに向かって“どこにいても私たちと目合うよね”と語りかけた「「部活中に目が合うなって思ってたんだ」」では青春の輝きと甘酸っぱい恋心をお届け。そして、胸キュンソング「Want you!Want you!」では、スティックバルーンを使った音ゲーを展開し、「探せ ダイヤモンドリリー」では配信ライブならではの1カメショーにチャレンジした。

本編最後のMCでは、リーダーの山本が「12人みんなでステージに立てて嬉しいです。=LOVEは12人がいちばん最強なときなんじゃないかと思います」と胸を張り、「すべての皆さんに、=LOVEの良さ、絆や勇気を届けられるように気持ちを込めて歌います」と語り、それぞれの直筆メッセージをバックにピアノバラード「次に会えた時 何を話そうかな」を力強く歌い上げ、結成時のアーティスト写真を同じポーズで本編を締め括った。

そして、ライブTシャツにデニムスカートに着替えアンコールでは2周年記念コンサートのために書き下ろされ、年始の冬ツアーのタイトルにもなっていた「866」を一人ずつ丁寧に歌い継ぎ、スウィングする「ようこそ!イコラブ沼」では大場が「やっぱり12人のイコラブが最高だよね」とコメント。「樹愛羅、助けに来たぞ」では樹愛羅の“でゅくし!”も人間跳び箱も飛び出し、出会いの喜びを歌った「スタート!」で文字通り、4年目のスタートを勢いよく切った。配信は全員が画面の右と左に分かれてステージを去ったあと、最後の二人となった高松となぎさが目を合わせ、笑顔を送り合い、再び出てくるか……というところで切れてしまった。最後まで見られなかったのは残念だったが、なぎさの「12人でパフォーマンスすることができて本当に嬉しいし、一生の思い出になるし、100年先も一緒にいたいなと思います」という言葉をそのまま体現したような、12人のメンバーの固い絆と純粋な喜びを感じるステージだった。

なお、=LOVEはこの日のMCで、3作ぶりに12人で歌うニューシングルをリリースすることを発表した。高松がセンターにカムバックするのか。彼女が不在の間にセンターで歌い踊る覚悟と自信を身につけたなぎさや大谷が続投するのか。それとも、ソロ曲もある諸橋や、デュエットで歌力をぶつけあう佐々木と野口か……。これまで以上にフォーメーションに注目が集まりそうな次作が今から楽しみでならない。

文 / 永堀アツオ

◆『=LOVE 3rd ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT
2020年9月6日 パシフィコ横浜 国立大ホール

セットリスト

1. =LOVE
2. 僕らの制服クリスマス
3. 今、この船に乗れ!
4. アイカツハッピーエンド
5. ズルいよ ズルいね
6. 虹の素
7. My Voice Is For You
8. 推しのいる世界
9. Sweetest girl
10. しゅきぴ
11. いらない ツインテール
12. 届いてLOVE YOU
13. CAMEO
14. 記憶のどこかで
15. 手遅れcaution
16. 「君と私の歌」
17. 「部活中に目が合うなって思ってたんだ」
18. Want you ! Want you !
19. 探せ ダイヤモンドリリー
20. 次に会えた時 何を話そうかな
EN1. 866
EN2. ようこそ!イコラブ
EN3. 樹愛羅、助けに来たぞ
EN4. スタート!

=LOVE 約2時間半のパフォーマンスから伝わるグループの絆。ニューシングルリリースも告知された、12人全員がそろった有観客+配信の3周年記念コンサート。は、WHAT's IN? tokyoへ。
(WHAT's IN? tokyo)

掲載:M-ON! Press