計画的に貯蓄することが大切だとわかっていても、現実はそう簡単にはいきません。それでも、毎日の暮らしの中で、お金を増やすことを意識している人は多いようです。

日本FP協会が実施した「働く女性のくらしとお金に関する調査」では、約46%の女性が自分自身は貯蓄上手だと回答。一方で、貯蓄は得意ではないと思っている人は54%で、貯蓄上手を上回っています。

では、貯蓄上手さんと貯蓄下手さんは、どこが違うのでしょうか?

貯蓄上手さんが貯蓄を増やすために行っていること第1位は?

同調査では、「生活の余裕や貯蓄を増やすために行っていること」のランキングも発表されています。その中で「貯蓄上手」を自認する人の結果は以下の通りです。

1位 家計簿をつける 46.7%
2位 変動費を節約する 40.1%
3位 固定費を節約する 40.0%
4位 仕事を始める・仕事に打ち込む 27.7%
5位 節税・税金対策をする 22.3%

このように、半分近くの貯蓄上手さんは家計簿をつけているという結果になっています。

家計簿は、いわば家計の「健康診断」のようなもの。これによって家計の収入と支出の状態を見て、問題のある部分を把握できます。何が問題か分かれば、どう改善したらよいか考えられますし、常に収支状況をウォッチすることで”健康な家計”を維持することができますね。

自称ズボラさんの家計簿のつけ方

筆者の知人で、自称ズボラのAさん。独身の頃は、洋服代や友人との食事代に浪費しすぎて思うように貯蓄できませんでしたが、結婚を機に「これはマズイ」と家計簿をつけ始めたそうです。

その甲斐もあり、今では順調に貯蓄が増えているというAさんですが、実はとても面倒くさがりやでマメに家計簿をつけるのは苦手。そんなAさんは、なるべく家計簿をつけないで済ますため、買い物に行く回数を増やさないようにしているそうです。

家計の支出は、毎月決まって出て行く固定費(家賃、水道光熱費、通信費、保険料)と、毎日出て行く変動費に分けられます。そして、変動費はお金を使う毎に記入しなければなりません。Aさんの場合、まとめ買いすることで無駄な買い物が減ったのも貯蓄が増えたことにつながっているかもしれませんね。

続ける秘訣はシンプルかつ楽なこと

最近は便利な家計簿アプリもたくさん出ています。しかもそのほとんどが無料で、レシートを撮影するだけで簡単に家計簿を作成できます。自分が面倒だと思うことは続けられません。色々な選択肢の中から、これなら続けられそうと思える方法を見つけるのが良さそうですね。

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2位 変動費を節約する・3位 固定費を節約する

貯蓄上手さんは、まず家計簿で家計の現状把握をした後に、支出の見直しをしている人が多いようです。そのうえ、変動費と固定費の節約のどちらも重視している点が特徴的です。

中でも、電気代や通信費、生命保険などの固定費は、見直しによっては、年間で10万円以上安くなることもあります。また、日々値段が変わる食料品などの変動費はマメな値段チェックが必要ですが、固定費は一度見直しを行えば節約効果が継続します。

生命保険や自動車保険の見直しは効果が大きい

固定費で見直しのしがいがあるのが各種保険料。最近、よく見かけるネット保険会社は、人件費や店舗にコストがかからない分、対面型の保険会社より安い保険料を実現しています。

また、ネット保険会社のメリットは、見積もりから申込までをネットで完結できる点にもあります。わざわざ店舗に出向かなくてもいいので、時間があるときに複数の会社で見積もりしてみるのもいいですね。

以前、筆者も自動車保険の見直しをしましたが、ほぼ同じ保障内容にもかかわらず年間保険料は半分ほどになりました。担当者と色々相談して決めたい人や、インターネットで手続きするのは不安だと感じる人には向かないかもしれませんが、価格の差を調べてみる価値はあるのではないでしょうか。

貯蓄下手さんは「まず節約」?

次に、自分は「貯蓄下手」だと回答した人の「生活の余裕や貯蓄を増やすために行っていること」ランキングを見てみましょう。

1位 変動費を節約する 41.6%
2位 家計簿をつける 33.9%
3位 固定費を節約する 27.8%
4位 副業で収入を増やす 23.0%
5位 仕事を始める・仕事に打ち込む 22.9%

このように、貯蓄下手さんの場合は変動費の節約が最も多くなっています。たしかに、節約しようと思いたって、すぐ始められるのが食費や娯楽費のような変動費を節約することです。特に、外食やレジャーを減らすと、かなりの節約ができるはずです。

ただ、節約をする前に、まずひと月の生活費と何にいくら使っているのかを調べておかないと、「どれくらい節約できたのか」、その結果「いくら貯蓄できるのか」を知ることができません。ただやみくもに外食やレジャーなどの楽しみを節約するだけだと、ストレスも溜まるでしょう。

節約効果をしっかり把握する意味でも、やはり家計簿は役に立ちます。”節約疲れ”してしまう前に家計簿をつけることで、これだけ貯蓄に回せるお金が増えたと目に見える達成感を味わえるのではないでしょうか。

おわりに

マイホーム購入や子供の教育費、自分の老後といったライブイベントごとに、まとまった資金が必要になります。簡単に貯められる金額ではないからこそ、計画的に貯蓄していくことが必要です。

家計の全体像を捉えることで、ローン返済や学費などの支出管理もしやすくなり、無理をしなくても貯蓄できる仕組みが作りやすくなります。家計簿をつけていないという人は、貯蓄上手さんを目指して、まずは家計簿をつけるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

【参考資料】「働く女性のくらしとお金に関する調査」(日本FP協会)