楽天の三木谷浩史会長兼社長 楽天の三木谷浩史会長兼社長は2011年6月30日、ニコニコ生放送の『田原総一朗 談論爆発!』に出演。三木谷氏は、日本の国際競争力の低下について、フランス大統領のIT部門の右腕が27歳の若者であることを例に出しながら、日本の産業界の世代交代が進まないことを問題点として挙げた。一方、司会の田原氏から「なぜ年寄りはダメなのか?」と問われると、「年寄りの人ができることもある」と述べつつも、「地位や権力に固執する」と答えた。

楽天・三木谷社長×田原総一朗(3) 追い抜かれていく日本
http://news.nicovideo.jp/watch/nw81771

 以下、番組での三木谷氏と田原氏のやりとりを全文、書き起こして紹介する。

■仏大統領のIT分野における右腕は27歳の若者

田原総一朗氏(以下、田原): 先ほどのガラパゴスの話に戻りたい。サムスンはよく分かった。韓国勢にガンガンやられているのは、内向きだということもある。1990年には日本の国際競争力は世界一だった。これがどんどん落ちて、今は二十何位になっている。なんでこう落ちてきたんだろう。

三木谷浩史氏(以下、三木谷): マクロ(経済)的に言えば、ひとつには為替の問題も。

田原: 円高?

三木谷: 円高があると思うし、それからもうひとつは、怒られるかもしれないけど、世代交代が起こっていない。

田原: 年寄りなんだ、皆。あんまり人のこと言えないけどね。

三木谷: GoogleにせよFacebookにせよ、極端に言うと楽天もそうだが、今の世界の潮流はやっぱり若い人が作っている。そこを大企業でも本当はもっと活用してやっていく。今回すごく驚いたのは、フランスでeG8があったわけだが、そのサルコジ大統領のITの分野における右腕というのが27歳の若者で、ニコライというすごいイケメン。

田原: イケメン?

三木谷: 超イケメン(笑)。彼が、それこそエリック・シュミット(GoogleのCEO)やザッカーバーグ(FacebookのCEO)や僕と、こんなことをやりたいと、いろいろコミュニケーションする。すごいなって思ったのは、サルコジさんが27歳の彼を信じてやらせていること。

田原: その27歳が――まぁ、三木谷さんよりもだいぶ若いんだけど、会ってどこがすごいと思った?

三木谷: まずはひとつは、すごくマチュア。27才とは思えないくらい、非常に成熟している。発言にせよ、しゃべることにせよ、その後のフォローにせよ。ま、時々は若いなっていうのはあるが、驚きだ。

田原: 三木谷さんが「若いなって思うことがある」って(笑)。

三木谷: いいじゃないですか(笑)。

田原: 日本の財界ではね、三木谷さんのことを「若いな」って皆思っているんだよ。まぁ、いいや。その27歳が?

三木谷: 例えば、彼が情報相とかIT担当大臣とか3年後になってもおかしくないし、うちのフランスの社長、ナタリーが今フランスで大臣をやっているが、彼女は38歳。いずれ大統領になるんじゃないかと言われている。若ければいいというものではないが、やはり若いアイデアを活用していくんだ、若い活力を使ってやるんだというふうに変わらないと。

■年寄りは地位や権力に固執する

田原: 逆にね、僕は年寄りだから言うんだけど、日本の経営者、特に東証一部上場企業の経営者はみんな年寄り。年寄りはなぜダメなの?

三木谷: いや、年寄りの人ができることもある。そこは役割分担だと思う。

田原: どういうことか。

三木谷: 例えばいろんな会社運営の仕組みを作るとか、Googleなんかエリック・シュミットは結構若いから、年寄りって言うと怒られてしまうが、あそこも成熟した経営者と若手2人のタッグでやったわけだ。そういうふうにやっていったらいいと思うが。

田原: Googleの創業者のセルゲイ・ブリン、彼はいまだにスタンフォード大学に行っている。もともとスタンフォード卒業だが。しつこくて申し訳ないが、年寄りは、いや日本の年寄り、つまりダメな年寄りは、どこがダメなのか。

三木谷: 年寄りがダメというよりも・・・。

田原:  いやいや、ダメな年寄りはどこがダメなの?

三木谷: ダメな年寄りはどこがダメ?(笑)。うーん、ひとつにはやはり、地位や権力に固執する。

田原: 守りたいって思うんだ。攻めの経営から守りの経営になってしまう。

三木谷: 例えば60歳の人にFacebookが作れるかっていったら、それは正直に言って作れない。どんなに優れた技術者であっても。新しいフレッシュなアイデアというのは一般的に言うと、やはり若い人から生まれてくる。それから若い人の成長カーブの方が早い。だからアメリカなんかは、「多少未熟であっても社長にしてしまえ」と。地位が人を作るという考え方だし、現実にそうだと思う。日本も明治維新であったり、第二次世界大戦の後というのは、やはり若い人がリードしてきた。韓国もIMF革命でその後に若い人がどんどん出てきたわけだ。言い方は悪いが、昔の人たちはパージ(追放)されて強制的に若い世代になった。

田原: 今の話をもうちょっと次元低く言うと、1990年代に韓国は通貨危機を迎えた。アメリカからいっぱい借りていた。通貨危機のなかで例えば、金大中(キム・デジュン)大統領は、思い切っていっぱいあった企業を整理した。日本なんて電機メーカーが多すぎるんだ。それを韓国は思い切ってやった。で、再編成した。日本はやたら企業がいっぱいあって、なんでこれを再編成できないのか。

三木谷: 理由のひとつは、先ほど申し上げたように、やはり企業の経営陣が自分の城を守りたいと。小さな城であっても、居心地がいい。正直言って、そうだと思う。でも合併したら、社長のポジションは一つになるから、嫌なわけだ。たとえ株主にとって、あるいは日本の産業にとって正しい判断であろうと、やっぱり嫌だというのが仕組みとしてある。

田原: 釈迦に説法だが、サムスンの年間の利益高は、日本の全家電メーカーのそれを足したものより多い。全家電メーカーを足してサムスンに勝てない。なのに、なぜ再編成しようとしないのだろう。

三木谷: 例えば、合併や買収に対する抵抗感。

田原: 社長は減るかも知れないが、社員にとってはいいはずだ。駄目か?

三木谷: 社員にとってはいいだろう。そういう基準で経営されていない会社が多いということだと思う。

田原: では、何の基準で経営しているのか。

三木谷: 明確な基準はないのではないか。

田原: 僕は東証一部上場の大企業ほどよくないと思う。

三木谷: 本来であれば再編して合併した方が1+1+1が3になって、あるいは1+1+1が8にも9にもなることが分かっていても、嫌であると。それは例えば、うちとTBSの話だってそうだと思う。どう考えても、多分向こうにとっては合併してやった方がいい話だったと思うし、企業価値が上がったんだけど、嫌だと。

楽天・三木谷社長×田原総一朗(5) 経団連に失望・退会した理由とは
http://news.nicovideo.jp/watch/nw81776

(岩本義和、大住有、丹羽一臣、西川真帆、伊川佐保子)

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