雫井脩介の同名小説を堤幸彦監督が実写化した映画『望み』(10月9日公開)の舞台挨拶中継付き完成披露試写会が9月27日に神楽座で行われ、堤真一、石田ゆり子岡田健史、堤監督が登壇。家族を演じたことにちなんで、「もし堤さん、石田さんが、本当のお父さん、お母さんだったら、なにをしてほしい?」と聞かれた岡田が、息子としての“望み”を明かした。

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幸せに暮らしていた家族に突如、失踪した息子が殺人事件に関与している可能性があると告げられ、次第に世の中の憶測と誹謗中傷に翻弄される家族を映したサスペンス・エンタテインメント。

息子が行方不明となり、彼が犯人であっても生きていてほしいと望む母親、被害者であったとしても彼の無実を信じたい父親。それぞれの想いが交錯するなか、せつない真実が浮かび上がる。堤は「本当に辛かった」と本作の父親を演じることのヘビーさを明かし、「撮影以外ではとにかく楽しく過ごそうと思って、ベラベラしゃべっていた」と告白。石田は「撮影以外の堤さんは、いかに薪ストーブがすばらしいかという話をずっとしていた。いま、薪ストーブがほしくなっている」と語り、会場の笑いを誘っていた。

もし「本当の夫婦、親子だったら、なにを“望む”?」という質問が投げかけられるひと幕も。もし石田が本当の妻だった場合、堤は「なにもないです。たぶん1日に2、3回はおもしろいことをやってくれると思う。それを期待して。楽しいと思います」とニヤリ。さらに「(撮影でも)作業(の手順)を覚えていないことがあった。こんな人いるんだなと思った。天然記念物みたい」と石田の天然ぶりを明かすと、石田も思わず「忘れてしまうんです」と大笑い。「堤さんは、私がなにをやってもどんと来いと受け止めてくださる。思うように、好きなようにさせていただいて感謝しています」とお礼を述べていた。

岡田は「堤さんが僕のお父ちゃんだったら、これから寒くなってくるので、薪ストーブで家をまんべんなく暖めてほしい」と希望。堤が「あったまるのよ!ピザも作ってあげる」とうれしそうに話すと、岡田も「めっちゃいいお父さんです!」と大喜び。続けて「石田さんには、眠れない夜にクラシックギターを弾いてほしい」とお願いし、石田は「こんな息子がいたら、毎日やりますよ」と快諾していた。

家族を演じたメンバーが、息ぴったりにトークを繰り広げたこの日。堤は「母、父、息子、世間、マスコミなど、いろいろな視点で観られる映画」と語り、岡田は「(コロナ禍という)この時代になって、世界中の誰しもが家族のありがたみや、家族という存在がどういうものなのかを突きつけられた。そんな時代に、この作品が公開されることにも意味がある。少しでもこの世の中の救いになれるような作品になってくれたら」と望みを託していた。

取材・文/成田おり枝

『望み』の家族が息ぴったり!