メジャーリーグMLB)のロブ・マンフレッド・コミッショナーは、今季実施したさまざまな特殊ルールのいくつかは来季以降も継続される可能性があると述べている。新型コロナウイルスの影響で多くの特例が導入された。中でも継続導入有力な一つが「延長タイブレーク制」だという。

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 海の向こうの話なのだが、実は日本プロ野球NPB)とも密接に関わっている。MLBで導入された新ルールは、1年遅れでNPBに輸入されるケースが実に多いからだ。

 近年でいえば申告敬遠、本塁や二塁での衝突回避(コリジョン・ルール)、脳振とう特例などなど。リプレー判定も、MLBの「チャレンジ」が、「リクエスト」と名前と中身をマイナーチェンジして導入された。

 延長タイブレークメジャーリーグで定着すれば、NPBへの導入も秒読みと言えるだろう。

 タイブレークは本来、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が積極的に推進してきた。それまでMLBは、延長戦は引き分けなしの無制限、というガチンコルール。ナイターで日付けをまたぎ、延長20回以降に突入したり、雨天中止も挟めば決着は明け方なんて試合まであった。

 タイブレークWBSC主導のため、年代別カテゴリーの国際大会や、アマチュア野球界で広まっていた。

 日本ではNPBは延長戦は10回のみ行うことで早々に固まった。だが、同様のシステムを用いたフォーマットは他団体ではあまり見られない。国内のアマチュア野球も大半がタイブレークに傾いた。延長戦を短くすると引き分け数が増加する可能性が高くなる恐れもある。新型コロナウイルスの影響が完全にぬぐい去れるとは思えない来季、NPBでもタイブレーク制導入が議論される可能性はある。

 その他、今季のMLBは両リーグDH制も賛否両論を集めた。こちらは国内では、発言力のある巨人・原辰徳監督がセ・リーグへのDH導入の旗振り役として知られる。セの他球団にいくつか難色を示すチームがあるが、議論再燃は濃厚な気配だ。

 またMLBではコロナと関係なく、今季から投手のワンポイント起用を禁止するルールが導入された。NPBは今季のメジャーでの運用具合を研究し、このオフに協議する構え。試合時間短縮をうたうが、実際に効果はあったのか。ただしMLBは60試合という異例のショートシーズンに短縮されたので、正しい評価が下せるのかは微妙なところ。

 そして現在行われているMLBのポストシーズンは、「ジャイアントプレーオフ」として10チームから16チームへ拡大された。レギュラーシーズン120試合を確保し、CSは短縮・中止としたNPBとは好対照なスタンスである。

 これもコロナ禍となる以前から、マンフレッド・コミッショナーが温めていた策の一つである。プレーオフはファンから注目度が高く、放映権料などお金が稼げる。プレーオフ進出チーム増を探っていたところ、コロナ禍に陥り、渡りに船とばかりに想定以上に拡大してみせた。

 実際に全30チーム中、半数以上の16チームが進出。アストロズブルワーズなど、中には勝率5割を切る借金チームまである。批判の声もあるが、ばく大な放映権料という甘い蜜をMLBは吸った。来季以降、元の10チームに戻る可能性はむしろ低そうで、12もしくは14チームあたりに落ち着くシナリオが有力視される。こちらも行く末が、NPBフォーマット作りに与える影響はゼロではない。

 多くの特例で異例のシーズンとなった今季のMLB。その何が元に戻り、何が継続されていくのか。未来のNPBに何らかの影響を与えることは必至で、今から注目しておいて損はない。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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