毎年恒例となっている、TIME紙が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」(Most influential people 2020)に2020年日本人女性2人が選出されました。過去には安倍晋三元首相やソフトバンクグループ孫正義氏が選ばれたことがあり、今回もアメリカトランプ大統領大統領選に出馬中のジョー・バイデン氏が選出されています。

今回は「世界で最も影響力のある100人」がどのように選出されているのか、また選出された伊藤詩織氏と大坂なおみ氏についての英語フレーズをご紹介します。

「世界で最も影響力のある100人 (The most influential people)」とは?

世界で最も影響力のある100人」が公表されるようになったのは約15年前。当時は企業の創始者など、何か大きなものを作り上げた人物が選ばれる傾向がありましたが、現在は環境活動家グレタ・トゥンベリ氏など、現代の人々が思想面で大きく影響を受けている人物が選ばれる傾向が強まっています。

TIME紙はTIME has always been a barometer of influence—and the nature of influence is changing.TIMEは常に、影響についての指標を持っています。そして影響の本質は移り変わります)」とコメントしています。

その時代に沿った影響色を持つ人物を独自に選定していると言えます。

女性の権利のために戦う伊藤詩織氏

Pioneer(先駆者)」部門で選ばれたのが、日本人ジャーナリスト伊藤詩織氏です。伊藤詩織氏は、自らのレイプ被害を実名と共に公表し大きな話題となりました。著書の『Black Box』には仕事を探している女性であれば当然のように行なうであろう、就きたい職についている人との食事がレイプ被害につながった経緯、その後警察にレイプ被害を伝える難しさ、訴訟を行うまでの数々の屈辱的な出来事が詳細に綴られています。

2017年の政府の調査によれば、日本の強姦被害者のうち警察に届け出たのはわずか4%。テレビなどに強姦のニュースが出てものちに取り下げられることが多いのは、提訴することにより受ける二次的な被害が大きいためであるとも言われています。

伊藤詩織氏は民事裁判で勝訴した後も、自らに対し継続してSNSなどにより誹謗中傷を続けた人物を名誉棄損で訴えるなど、これまでの日本にはなかった訴訟のあり方を体現している存在でもあります。また、彼女の活動はアメリカに端を発した「#MeToo」の運動を日本で広めるきっかけともなりました。

TIME紙にて公表されている伊藤詩織氏の紹介文は、日本におけるフェミニズムの先駆者であり社会学者である上野千鶴子氏が記しており、以下のように語っています。

Though the accused man, close to political power, escaped criminal prosecution, Ito won a civil suit against him in December.(政治に近く、刑事訴追を逃れた男性を告発し、伊藤氏は民事訴訟にて12月に勝利を勝ち取りました。)

黒人の権利のために戦う大坂なおみ選手

Icons(象徴)」部門で選出された大坂なおみ選手は、黒人の権利のため人種差別によって命を落とした人物の名前がプリントされたマスクを試合の前後に着用するなどの活動を行ないました。

TIMESにおける紹介文は、Seven matches. Seven masks. Seven names.(7試合、7つのマスク、7人の名前。)から始まります。

プロの世界におけるテニスの試合の多くはトーナメント形式ですので、用意した7枚のマスクを全て着用するためには、決勝まで勝ち進む必要がありました。そして彼女は実際に決勝まで進み、7枚のマスクを全て着用するとともに、全米オープンにて優勝を勝ち取ったのです。

自らの活動に対し向けられている「スポーツ選手は政治に口を出すな」という風潮に対しても、スポーツ選手はスポーツをして皆を楽しませていればいいという考え方に異論を唱えています。

恋人との写真や自らのセクシーなビキニ姿をインスタグラムに投稿し、スポーツ選手のあり方としての固定観念に疑問を呈し、自らを貫いています。そんな姿に多くの人が共感し、影響を受けているのでしょう。また、スポーツを通じて女の子たちの人生を変えるためのプロジェクトを立ち上げるなど、チャリティーにも力を入れています。

権利のために戦う2人の女性への世界の評価と日本国内の評価

今回、TIME紙により世界で最も影響力のある人物に選ばれた伊藤詩織氏と大阪なおみ氏。この選定には、二人の活動に対する世界的な評価が表れていると言えます。しかし日本国内で二人の活動を評価する人がいる一方、伊藤詩織氏に対しては名指しで誹謗中傷をする人物がいたり、大坂なおみ氏に対して活動の一環として行なった試合のボイコットを批判する声などが聞かれたりしています。

彼女たちの活動に勇気をもらう人も多いはず。

さまざまな意見が活発に交換されるのは良いことですが、自らの声を持って意見を発信する日本人女性たちの姿から学べることは性別を問わす多いはず。自らのためだけではなく、多くの人の権利や正義のために戦う女性たちを応援せずにはいられません。

文/山根ゆずか

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