1973年に英国で初公開され、奇祭映画の元祖とされる『ウィッカーマン』のfinal cut版が、10月17日より全国順次公開されることが決定。併せて予告編が解禁された。

【写真】動物や魚のマスクをかぶった人々も『ウィッカーマン final cut』謎の奇祭を写す場面写真

 ケルト神話に支配された禁断の島をロビン・ハーディー監督が描いた本作は、今年日本でもヒットした『ミッドサマー』の監督アリ・アスターもその影響を公言するなど、一部で熱狂的に支持されてきたカルト作品。8月に新宿K’s cinemaにて開催された「奇想天外映画祭 vol.2」で全回満席の大反響を巻き起こした元祖“奇祭映画”が、日本でようやくの単独初公開となる。

 ある島で少女が行方不明になったと書かれた匿名の手紙が、スコットランド本土のハウイー警部のもとに届く。警部は早速、島に上陸し捜査に取り掛かるが、島民たちは誰もその少女を知らないと言い張り、少女の母親までが娘の存在を否定している。翌日から本格的な聞き込み調査を開始するが、怪しげな出来事ばかりが起こる中、この異教ケルトの神々を信仰する島の人々を統治するのがサマーアイル卿であることが分かり、屋敷を訪れる。しかしそれは狂乱と神話の儀式にハウイーが巻き込まれる幕開けだった…。

 劇中で強烈な印象を残すサマーアイル卿を演じているのは、『ロード・オブ・ザ・リング』や『スター・ウォーズ』で知られるクリストファー・リー。彼は2005年5月のインタビューで、本作を「この映画こそ私の最高傑作」と語っている。

 しかし、本作が公開されるまでにはさまざまな悲劇があった。1973年当時、完成したその作品を映画会社ブリティッシュライオンのトップが気に入らず、宣伝告知などを一切せずにニコラス・ローグ監督『赤い影』と併せて公開。しかもそれは、ハーディー監督が編集した102分バージョンではなく、88分の短縮版だった。ネガフィルムも紛失し、長らく行方不明の状態が続いていたが、40周年記念となる2013年にフィルムが見つかり、ハーディー監督自らが再編集をした94分のバージョンが今回のfinal cut版となる。

 予告編は、行方不明の少女を創作するためハウイー警部が島に上陸する場面から始まり、動物や魚のマスクをかぶった人々や、娘に生きたカエルを飲み込ませる母親など、この島の奇妙な風習が描かれている。

 映画『ウィッカーマン final cut』は、新宿K’scinemaにて10月17~23日、アップリンク吉祥寺にて同月24日より公開。以降、全国順次公開。

映画『ウィッカーマン final cut』場面写真 (C)2019 CANAL+