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 ソーシャルメディアは毒にも薬にもなる。誹謗中傷が飛び交い、懲罰感情を煽って個人攻撃するといった悪い面もある一方で、困っている人に皆が救いの手を差し伸べたり、見知らぬ誰かの投稿に励まされたり、心癒されたりすることもある。

 イギリスに住む19歳女性は自閉症を抱えており、うつ病を患っていた。だが見事それを克服した。うつ病は人によって症状が異なるし、誰も話したがらない。

 そこで女性は自身の体験が同じ病に苦しむ人の力になればと、うつ病の症状について自身のTwitterアカウントに投稿したところ、大きな反響を呼んだという。

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自閉症でうつ病経験者の女性が自身の体験をシェア

 イギリスに住むエミリーさん(19歳)は、自閉症を抱えており、過去には長い間うつ病に悩まされていた時期があった。

 心の病に関することは誰も口にしたくないものだ。だが、エミリーさんは誰かの助けになればと、自身の経験をもとにして、うつの症状についてツイートした。すると多くの人から共感の声が上がったという。

誰も話したがらないうつ病の症状をツイートしていくわ。


うつ病になるとね、脳が絶えず闘っていることから完全に精神が疲弊するの。

それによって集中力の欠如や物忘れ、慢性疲労の他、締め切りが遅れたり、社交からの離脱、不眠症、また身体的病気に対するより高い感受性に繋がる可能性があるの。



うつ病には「解離」という症状があるわ。人生を歩んでいるように感じても実際にはそうではなく、あなたの周りで起こっていると感じる物事も、実は本物ではないの。

心が体から離れた感じ。外から自分を見ているような気分だったり、切断されてしびれている感じだったり。何もリアルに感じないの。



前向きに生きるという考えはほぼ不可能に思えるわ。毎日を乗り切るには、多大な肉体的エネルギーと精神的努力が必要だから。

うつになると朝起きて更に別の日に直面するだけで、魂が破壊されるように感じるの。



一時的なものなら問題ない行動でも、例えば頻繁にお酒を飲み過ぎたり、自身を危険な状況に陥らせたり、また無防備な性行動をしたり、浪費したり、衝動的な決断をしたりと長期的にこれらを行えば、明らかに自己破壊する可能性があるわ。


胃痛。ズキズキする頭痛。食欲の欠如。生理不順。便秘もしくは下痢。慢性疲労。吐き気。体重増加または体重減少。体のあらゆる部分が痛む。不眠症といったうつ病の身体的影響。


圧倒的な恥ずかしさ。これは、他の人に判断されていると感じたり、通常できることを達成できなかったり、綺麗に整理整頓して衛生的に心がけることに苦労したり、環境を整えたりすることができなくて、人生を失敗してしまったかのように感じてしまうの。


何にも集中できないと感じて、ずっとベッドに横になっていたり、1日中ずっとSNSを眺めていたリして、何時間も過ごしてしまう。


罪悪感。おそらくこれは、他人の要求や期待に応えることに常に葛藤しているから、約束事をキャンセルしたり、自分が言ったことを実行できなかったりして、他人をいつも失望させていると感じてしまうのよ。


全てが大丈夫なふりをしなければならないような気がすること。

普通に服を着ておしゃれをして、ヘアメイクもちゃんとして、外出して、笑顔でいて、何も悪いところがないように振る舞うの。誰かに大丈夫かどうかを尋ねられても、「私は元気よ」と言ってしまうの。



なぜ自分が今その場所にいるのかはわかっていても、どうすればその場所から逃げられるか、どうすれば変えることができるかはわからないの。

何が気分を良くするのに役立つかを知っていても、それそ実行するだけのエネルギーがない状態なの。



将来について考えることすらできない、ましてやそれを計画することさえできない。うつになると、全てが非現実的に感じてしまうの。

自分がいつか成し遂げられるだろう物事も想像することすらできないから、前もって計画することなんてただただ不可能だと思い込んでしまうのよ。



ゴミ箱を空にするどころか、ベッドメイキングするエネルギーさえないから、部屋や家が嫌なほど散らかってしまうの。


自分に対する怒り。貴重な時間を無駄にしているような気がするから。物事を修正できるようにしたいけれど、できないの。

自分が今感じていることを他の人に上手く説明できなくて、前に全く進めないように感じているから。


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多くのユーザーらがエミリーさんのツイートに共感


 エミリーさん自身のうつ病の経験をもとにしたこれらの症状は、多くのユーザーらの共感を得て、大反響を呼んだ。

 インタビューでエミリーさんが語ったところによると、13歳の時に祖父を亡くした直後、パニック発作に見舞われ、以降長年うつ病と闘ってきたという。

外出が怖くなり、自宅で自傷行為をするようになりました。その後OCD(強迫性障害)にもなって。なんとか不安をコントロールしようとしたけど、手に負えず、16歳の時にうつ病と診断されました。

精神科病棟に3か月入院したのをきっかけに、それから2年間は自傷行為で入退院を繰り返しました。

でも、今はもうあの時のような暗い場所に自分はいません。毎日癒されながら、目的を持って未来に向かって生きています。


 現在は、看護師になるためにトレーニングをしながら自身の経験をブログに綴っているというエミリーさん。自閉症と向き合いながらも強く生きている。

私は自閉症ですが、これは自分を定義付けるアイデンティティのようなもので、恥ずかしいとは思っていません。だから隠すこともしていません。

うつ病から立ち直り、今では乗馬や読み書きが大好きになりました。友人や家族と過ごす時間も大切にしています。でも、ここまで来るのには長い時間と治療を必要としました。

本当言うと、Twitterで自身のうつ病のことを明かすつもりはなかったのですが、私の心の中には言いたいことがたくさんありました。自分に起こったことを処理するために自身で口にしてみることが必要だったのかもしれません。

Twitterでシェアして、他の人が私の投稿に共感すればするほど、心を開いて話すことができました。

SNSのパワーは今更ながら凄いと感じさせられました。世界中の人々と様々な経験や文化で繋がることができるのですから。

毎日多くのことを学び、自分と似たような経験をした人を見つけることで、多くの安心感を得ることもできるし、何より「自分はひとりじゃない」と思うこともできるのです。


 エミリーさんのツイートには、多くのユーザーらからそれぞれの経験の声が寄せられている。

 なお、WHOの報告によると、世界で2億6400万人以上がうつの影響を受けているという。毎年、80万人近くがうつ病で自らの命を絶っており、15歳~29歳の年齢間でうつ病による自殺は2番目に多い死因となっている。

written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52295141.html
 

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