創刊号は○○円、今すぐ書店へ! デアゴスティーニ!」のCMでおなじみの「デアゴスティーニ」。歴史や科学、芸術、乗り物などさまざまなテーマの中から、1つの分野に特化したシリーズを週刊や隔週刊で販売する、1冊ずつ購入して集めていくと“百科事典”ができたり、1つの作品が完成したりする「パートワーク(分冊百科)」最大手ですが、1つのテーマについて、初回から最後まで購入を続ける“完走率”はどれくらいなのでしょうか。

 デアゴスティーニ・ジャパン東京都中央区)の広報担当、長谷川慎一郎さんに聞きました。

採算が取れるようシミュレーション

Q.なぜ、週刊や隔週刊でシリーズを出版する形式を取っているのですか。

長谷川さん「膨大な量の情報を小分けにして提供することで、無理のないペースで学習できるようにするためです。いきなり、分厚い百科事典を手渡されると読むハードルが高くなってしまいますが毎週(隔週)、少しずつの情報量であれば読み進めやすく、費用面も分割になるため、お財布にも優しいと考えています。

また、模型など組み立て物の商品はパーツを分割して提供することで、通常にはないスケール(サイズ)の模型等を組み立てることができます」

Q.初回ばかりを購入したり、途中でやめたりする人もいると思います。最後まで続けてもらう工夫として、どのようなことをしているのでしょうか。

長谷川さん「毎号、飽きさせないような内容にすることはもちろんですが、ある程度継続していただいたタイミングで、読者プレゼントを行うなどの工夫をしています。また、組み立て物の商品などでは、読者同士が交流できるようなコミュニティーサイトを設ける場合もあります」

Q.初回は特別価格のことが多く、初回だけ買っているという人もいそうです。初回だけの人はどれくらいいるのでしょうか。

長谷川さん「創刊号(初回)はほぼ全てが特別価格となっています。初回だけ購入されるお客さまもいらっしゃいますが、商品によって販売部数や継続率も異なるため、一概にどれだけということはお伝えできません。ご了承ください」

Q.最終号まで購入する、いわば“完走率”はどれくらいなのでしょうか。

長谷川さん「こちらも商品によって異なり、数十パーセント程度でかなり幅があります」

Q.初回と最後の落差が小さい、つまり、完走率が高いのは組み立て物のシリーズなのでしょうか。

長谷川さん「こちらも商品によって異なりますが、組み立て物のシリーズは継続率が高い(初回と最後の落差が小さい)傾向があります。組み立てものについては、全号そろえないと完成しないことから、途中でやめてしまうと『作りかけの中途半端な状態』の物だけが手元に残ってしまいます。それもあってか、10~20号くらいまで続けたお客さまや定期購読を申し込まれたお客さまは、ほぼ最後まで継続されます」

Q.初回の特別定価分ばかりを買う人がいた場合、採算的にはどうなのでしょうか。

長谷川さん「創刊号だけ購入されるお客さまばかりであれば、採算的には厳しいですが、そのような人がある程度いらっしゃることも想定して売り上げのシミュレーションを行っており、シリーズとして採算が取れるようにしています」

Q.コレクションというと男性ファンが多そうなイメージがあります。読者の男女比や年代を教えてください。

長谷川さん「こちらも商品によって全く読者が異なるため、一概にはお伝えできませんが、全体としては男性向けの商品が6~7割程度、年齢層としては40~50代向けの商品が多いです。ただ、あまりイメージはないかもしれませんが、女性に人気のシリーズや若年層の読者が多い商品もありますよ」

Q.次々と違うシリーズが出てくるのですが、どなたが企画しておられるのでしょうか。今後、どのような分野に力を入れていくかなどもお願いします。

長谷川「企画については社員、アルバイト等関係なく、誰が出してもいいことになっています。また、取引先などから企画が持ち込まれる場合もあります。そこから、マーケティング部が中心となってさまざまなリサーチを行い、企画の絞り込みやブラッシュアップをして商品化を進めています。アルバイトさんの企画が採用されることもあれば、社長の企画がボツになることもあります。

今後の注力分野ですが、特定の分野があるわけではなく、お客さまの趣味や好奇心に幅広く応えられる商品を企画してまいりますので、ぜひ一度、デアゴスティーニのホームページをご覧いただければと思います」

オトナンサー編集部

「アイアンマン」創刊号の表紙(デアゴスティーニ・ジャパン提供)